日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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今月のテーマ(総論):胆道狭窄病変の診断とドレナージup to date
  • 川嶋 啓揮, 石川 卓哉, 山雄 健太郎
    2024 年 121 巻 4 号 p. 251-257
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル 認証あり

    画像診断,医療機器の進歩にもかかわらず胆道狭窄の診断・ドレナージは困難であることが多く,解決すべき問題が山積している.鑑別診断・進展範囲診断は生検病理診断に頼ることが多いが,感度が低いことが問題である.膵炎など偶発症の観点からも,肉眼型,想定術式など症例に応じて生検すべき場所・個数・方法などメリハリをつけた検査施行が必要である.ドレナージは,従来の経乳頭的アプローチに加え,超音波内視鏡ガイド下でのアプローチも導入されてきた.播種の可能性や患者の生命予後,苦痛などを考慮して方法を選択する必要がある.患者の生活の質と予後を改善するために,内視鏡医はさまざまな内視鏡検査法を理解し使いこなす必要がある.

今月のテーマ(総説):胆道狭窄病変の診断とドレナージup to date
  • 鈴木 耕次郎
    2024 年 121 巻 4 号 p. 258-265
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル 認証あり

    胆管狭窄は胆管もしくは胆管外病変で生じ,それぞれ悪性と良性疾患がある.画像診断はこれらの鑑別が重要で,悪性疾患と診断した際は病期診断も必要となる.胆管癌では,CTとMRIで胆管狭窄部に壁肥厚と濃染を認め,上流胆管の拡張をともなっている.MRCPは胆管狭窄部の部位と形状の評価が容易で,MRIの拡散強調像は異常部位の同定に優れている.胆管癌と鑑別を要する疾患にIgG4関連硬化性胆管炎がある.両者は類似した画像所見を呈するため,複数の画像所見から総合的に鑑別を進める必要がある.またPET-CTはリンパ節転移や遠隔転移の診断能がCTやMRIよりも優れており,進行した癌病変では考慮される検査である.

  • 内藤 格, 吉田 道弘, 堀 寧
    2024 年 121 巻 4 号 p. 266-274
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル 認証あり

    胆道狭窄をきたす疾患は多岐にわたり,悪性では胆管癌,良性ではIgG4関連硬化性胆管炎や原発性硬化性胆管炎が代表的疾患である.胆道狭窄病変に対する内視鏡的診断方法としては,内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)関連と超音波内視鏡(EUS)関連の大きく2つの検査法に分けられる.これらの疾患の鑑別においては,ERC関連である胆管腔内超音波,ERC下胆管細胞診・生検,経口胆道鏡などの検査法が中心となる.胆道狭窄病変の確定診断には病理組織学的診断が重要であるが,ERC下胆管生検を中心としたその診断能は十分とはいえず,EUS関連も含めた検査法を組み合わせて診断を行う必要がある.

  • 石渡 裕俊, 佐藤 純也, 坂本 拡基
    2024 年 121 巻 4 号 p. 275-286
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル 認証あり

    胆道狭窄病変は閉塞性黄疸・胆管炎の原因となるため胆道ドレナージが必要で,経乳頭的ドレナージが果たす役割が大きい.根治術の実現性,狭窄部位により治療ストラテジーが異なる.術前の場合は,周術期の偶発症を減らすことが重要であり,ドレナージの必要性自体の議論も重要となる.非切除では,安全に薬物治療が行え,生活の質が維持できることが重要であるが,再治療時の簡便さにも気を配る必要がある.経乳頭的ドレナージには,外瘻法である内視鏡的経鼻胆管ドレナージ,内瘻法である内視鏡的胆管ステント留置術があり,さらにステントには太さや材質などさまざまな種類が存在する.各々の治療ストラテジーにより適切に使い分ける必要がある.

  • 原 和生, 奥野 のぞみ, 羽場 真
    2024 年 121 巻 4 号 p. 287-295
    発行日: 2024/04/10
    公開日: 2024/04/10
    ジャーナル 認証あり

    EUS-guided biliary drainage(EUS-BD)の軌跡と今後の展望について述べる.EUS-BDの開発当初は,ERCP不成功例に対してPTBDよりもメリットが大きいことから注目されてきたが,偶発症も多かった.現在では手技の改良および処置具の開発により偶発症は減少し,普及にも成功している.ERCP施行前だが困難が予測される症例や,良性疾患にも応用が始まっている.処置具の開発は今後も継続して行われる見通しであり,EUS-BDのさらなる安全性の担保および適応拡大が予想される.

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