日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
111 巻, 8 号
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総説
  • 南 幸太郎
    2014 年 111 巻 8 号 p. 1543-1549
    発行日: 2014/08/05
    公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    膵臓は異なる2種類の組織,すなわち内分泌組織と外分泌組織から構成されているが,発生上すべての細胞が共通の前駆細胞から分化する.膵臓の発生・分化は段階的に進み,最終的に膵臓ができあがるまで各段階で特徴的な形態を示すとともに転写因子の発現が緻密に制御されている.一般に最終分化を遂げた成体の細胞は,それ以上特性を変化させることがないと考えられてきたが,膵臓の細胞は変化しやすいことが知られ,内分泌細胞間での相互転換や,外分泌細胞から内分泌細胞への分化転換の証拠も見つかっている.膵臓,特に内分泌細胞の分化・再生の仕組みを理解することは,糖尿病の治療へも応用できる可能性を秘めている.
今月のテーマ:膵臓疾患研究の進歩と展望
  • 真嶋 浩聡, 大西 洋英
    2014 年 111 巻 8 号 p. 1550-1560
    発行日: 2014/08/05
    公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    急性膵炎は,トリプシンの異所性活性化をひきがねとして消化酵素により自己消化を受ける病態であり,トリプシンが中心的な役割を果たすと考えられてきた.しかし,急性膵炎は血流障害,炎症細胞浸潤,局所的・全身的な炎症症候群などの多くの側面を持っている.発症の分子メカニズムはいまだに不明だが,発症早期の膵臓ではNF-κBの活性化,オートファジー,小胞体ストレスなども生じている.遺伝子改変モデルを用いた研究成果の蓄積により,トリプシンの異所性活性化は1つの側面に過ぎず,多くの現象が並行して進行すると考える多中心説が提唱されている.そこで,本稿ではこれまで明らかになってきた膵炎発症のメカニズムについて概説する.
  • 伊地知 秀明
    2014 年 111 巻 8 号 p. 1561-1569
    発行日: 2014/08/05
    公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    膵癌の基礎研究は,遺伝子改変マウスによる膵発癌モデルの樹立によって,臨床における膵癌の発癌・進展経過や生体内の癌微小環境を模倣した状態での研究が可能となり,基礎と臨床を結ぶトランスレーショナルリサーチの展望が大きく開かれた.実際に,新しい治療法がモデルで検討され,臨床試験へと繋げられている.膵癌の発癌・進展機序の解明,早期診断法・予防法の開発にも有用であり,また,膵癌の起源についてのマウスモデルでの検証など,さまざまな展開が試みられている.臨床を見据え,膵発癌モデルを駆使した研究の成果から,膵癌の実臨床を変えるbreakthroughの出現が期待される.
  • 内田 一茂, 岡崎 和一
    2014 年 111 巻 8 号 p. 1570-1578
    発行日: 2014/08/05
    公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP)はIgG4の関与する1型と好中球による膵管破壊をともなう2型に分類されている.日本人の多くは1型であるといわれている.1型に特徴的であるIgG4の役割は不明であるが,その産生機序にはTh2サイトカイン,制御性T細胞などの獲得免疫,Toll-like receptor(TLR)やNOD-like receptor(NLR)に代表される自然免疫反応など,さまざまな異常が関与している可能性が示唆されている.本稿では今までの報告されている研究を紹介し1型AIPの病因病態について解説する.
症例報告
訂正
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