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守護 晴彦, 方堂 祐治, 渡邉 剛史, 上藤 聖子, 杉森 順二, 林 泰生, 原田 憲一, 中沼 安二, 米島 學
2014 年 111 巻 8 号 p.
1579-1586
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
ジャーナル
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症例は神経線維腫症1型の60歳女性.59歳より慢性骨髄性白血病にてnilotinib hydrochloride hydrateの内服中だったが,下血のために入院した.造影CT検査,小腸内視鏡検査によって小腸多発性GISTと診断され,その後も著変を認めなかった.診断目的に手術を行い,上部空腸に2 cm大の2個の粘膜下腫瘍を認め同病変部の小腸部分切除術を施行したが,他にも小腸に多発性に小結節を認めた.
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岩井 直人, 高見 史朗, 森田 幸弘, 藤井 恒太, 高田 龍介, 高谷 宏樹, 益澤 明, 松本 尚之, 若林 直樹, 片岡 慶正
2014 年 111 巻 8 号 p.
1587-1593
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
ジャーナル
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症例は84歳,女性.突然の上腹部痛を主訴に当院搬送となった.造影CT検査で上腸間膜動脈(以下SMA)に閉塞を認め,ウロキナーゼ動注療法を施行した.その後,食事摂取にて腹痛が再燃した.造影CT検査で回腸の限局性浮腫を認め,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行したところ,SMA閉塞症に起因する虚血性小腸炎と診断された.SMA閉塞症では早期診断が重要であり,経カテーテル的治療後には注意深い経過観察が必要である.
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吉岡 将史, 進士 誠一, 菅 隼人, 山田 岳史, 小泉 岐博, 高田 英志, 河越 哲郎, 三井 啓吾, 松田 陽子, 内田 英二
2014 年 111 巻 8 号 p.
1594-1601
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
ジャーナル
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NSAIDsを長期服用し胃潰瘍の既往を持つ62歳女性.腸閉塞で入院.回腸に2カ所の狭窄部を認め,小腸部分切除術を行ったところ低分化腺癌であった.転移性小腸癌を疑い全身検索したが,他に病変を認めなかった.原発性多発小腸癌の最終診断で追加腸切除を行い,所属リンパ節に転移を認めた.多発する小腸狭窄例において原発性小腸癌も鑑別診断として考慮する必要がある.
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蒲池 紗央里, 大塚 大河, 辻 千賀, 中下 俊哉, 井手 康史, 水田 敏彦
2014 年 111 巻 8 号 p.
1602-1608
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
ジャーナル
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症例は41歳女性.腹部違和感と倦怠感を主訴として来院.肝右葉に多発膿瘍を認め,経皮経肝ドレナージを施行.採取した膿から,
Streptococcus salivariusが単独で分離された.
Streptococcus salivariusは口腔内常在菌で比較的病原性は低いとされ,肝膿瘍の起炎菌としての報告は少ない.本症例は慢性歯肉炎を認めており,血行性感染により肝膿瘍をきたしたものと考えられた.
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家本 孝雄, 沢 秀博, 境 秀樹, 林 宏樹, 田中 克英, 堀 順子, 黒田 大介, 松岡 亮介, 山崎 隆, 佐貫 毅
2014 年 111 巻 8 号 p.
1609-1617
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
ジャーナル
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症例は73歳男性.Leriche症候群の精査目的の腹部造影CTで,膵尾部の腫瘤を指摘された.超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)による組織診で膵尾部原発mixed acinar-endocrine carcinoma(MAEC)が示唆され,膵体尾部切除術を施行した.術前にEUS-FNAでMAECが示唆された報告は非常にまれであり,文献的考察を加えて報告する.
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飯塚 泰弘, 酒井 英樹, 小林 小の実, 飯塚 和絵, 伊東 英里, 望月 奈穂子, 朝比奈 靖浩, 渡辺 守
2014 年 111 巻 8 号 p.
1618-1623
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
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症例は64歳女性.B型慢性肝炎に対しLamivudineとAdefovir(ADV)を投与中に血清クレアチニン(Cre)は最高値で1.01 mg/d
lと軽度上昇であったが骨痛が出現し,Fanconi症候群・骨軟化症と診断した.Entecavir(ETV)の開始,ADVの中止により軽快した後に,ETV耐性変異のためADVの少量での投与を再開し,HBV-DNAや尿細管機能を慎重に観察しコントロールを得られている.
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山本 健人, 八木 眞太郎, 橋田 裕毅, 市川 千宙, 山下 大祐, 今井 幸弘, 細谷 亮
2014 年 111 巻 8 号 p.
1624-1631
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
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症例は46歳女性.検診のCTで十二指腸と下大静脈を圧排する造影効果の均一な7 cmの巨大腫瘤を認めた.後腹膜腫瘍の診断で下大静脈合併腫瘍切除術を施行した.腫瘍は下大静脈壁から壁外性に発生し,病理組織学的検査所見で下大静脈原発平滑筋肉腫と診断した.術後10年を経過した現在,無再発で生存している.本疾患は非常に予後不良だが,本症例のように完全切除できれば長期予後も期待できる.
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村田 真野, 余田 篤, 青松 友槻, 井上 敬介, 玉井 浩
2014 年 111 巻 8 号 p.
1632-1639
発行日: 2014/08/05
公開日: 2014/08/05
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小児期発症の自己免疫性膵炎3例を経験した.2例は4歳と16歳の男児で,潰瘍性大腸炎を基礎疾患に有し,もう1例は10歳の男児で特に既往症はなかった.小児期の自己免疫性膵炎はまれとされている.自己免疫性膵炎は自然軽快例もあり,小児の間歇的あるいは慢性的な腹部症状を有する膵炎例の中に自己免疫性膵炎の患者が潜在している可能性がある.小児自己免疫性膵炎の臨床像はまだ不明であり,今後の症例の集積が必要である.
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