胃の異型上皮 (ATP) と他の隆起性病変の立体構造比較の為, 走査電顕的観察を行なつた. 正常胃底腺領域の表面は, 周堤を有する円形, 幽門腺領域は, 細隙状の腺口を呈し, 規則正しく配列する. 癌細胞露出の隆起性早期胃癌では, 大型の大小不規則な形状の裂隙状, 脳回転状腺口や,腺口不明の細胞大小不同のもの等を認める. いわゆる腺腫性ポリープでは巨大な周堤を有する円, 乃至楕円形腺口や, 腸詰状突出膨隆を認める. ATP腺口は, 大小の円形, 楕円型, 裂隙状を呈し, 正常に比し, 不規則,且, 症例間の相違を認める. 個々のATP細胞は, 表面からみて, 正常胃固有細胞に比し, 小粒で, 密に配列し, microvilli がより密生する. ATP断面で細胞の丈, 高く, 広く開口した腺口が, そのまま腺腔に続き,複雑な側枝を出し, ATP細胞嚢胞が狭い頚部にて放射型異型腺管の一部と連絡し, 粘膜上皮に開口する細首の壷の如き構造を立体的に確認した.
抄録全体を表示