日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
72 巻, 2 号
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  • 友田 恒典, 山口 春雄, 金田 宣雄
    1975 年 72 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    腸内細菌の amine 産生については前報で報告してきたが, 本報告では更にこれら腸内細菌によつて産生された amine の再分解について検討した. Amine として histamine, agmatine, putrescine, tyramine が用いられた.
    一般にE. coli, Klebsiella は amine 分解株も多くこれら各菌株の分解能も高かつたがL. acid., L. bifidus は分解株も少なく, その活性も低かつた. Amine 分解産物として histamine よりは, imidazol acetic acid, tyramine よりp-hydroxyphenyl acetic acid, 又他の amine からも, それぞれ相当した酸を証明した. Amine 産生と分解に関して至適pHを検討し, その差について述べた.
  • 今田 正威, 矢花 剛, 打矢 透, 角本 芳隆, 高須 重家, 谷内 昭, 和田 武雄
    1975 年 72 巻 2 号 p. 92-100
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Radioimmunoassay: (二抗体法) により消化管その他各種組織の immunoreactive gastrin (IRG) を調べた.
    幽門前庭部IRGは平均4,937ng/g (w/w) と高く, 肛門側へ向い次第に減少して空腸では3.2ng/gと低い. 胃•十二指腸潰瘍合併剖検例の幽門前庭部はIRG平均617ng/gと低く, 悪性貧血生検では幽門前庭部•胃体部共に高いIRGを示して注目された.
    ゲル濾過および殿粉ゲル電気泳動により分画すると幽門前庭部では"little gastrin"が主体で (約90%), 小腸では肛門側へ向い次第に"big gastrin"が増す. 悪性貧血胃粘膜には微量に"big big gastrin"相当分画を認めた.
    以上によりIRGの組織内濃度とその分布様式を調べた結果から, その生理学的•病態生理学的意義を考察した.
  • 特に犬における選迷切, 全迷切後の実験的研究
    渡部 洋三, 大川 真澄, 奥村 泰之, 清水 浩, 城所 働
    1975 年 72 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    正常犬, 全迷切犬および選胃迷切犬を用いて, 上部空腸内に50%高張ブドウ糖液を注入後の血中アミン (5-HT, ヒスタミン), 組織中の5-HT (蛍光組織化学的に) および上腸間動脈, 頚動脈血流の変化について検討し次の結果を得た.
    1) 11頭の正常犬の上部空腸に50%ブドウ糖液を注入すると, 上腸間膜動脈血流量は著明に増加し, 頚動脈血流量は逆に減少した. 門脈血中5-HTおよびヒスタミンは中等度に上昇し, 上部空腸組織中のセロトニン蛍光はほとんど消失した. 2) 15頭の全迷切犬における同様の実験では, 正常犬とは逆に上腸間膜動脈血流量は著明に減少し, 頚動脈血流量は著明に増加した. 門脈血中5-HTは著明に増加するがヒスタミン値は変動しない. 上部空腸組織中のセロトニン蛍光は多少減少気味である. 3) 15頭の選胃迷切犬における同様の実験では, 上腸間膜動脈血流量は中等度の減少を示し, 頚動脈血流量は増加する例が多かつた. 門脈血中セロトニンは変動を示さず, ヒスタミンは著明に上昇した. 上部空腸組織中のセロトニン蛍光は全迷切犬と同様多少減少した. 以上の結果をいきなり臨床例にあてはめて考えるのは危険であるが, 選胃迷切を加味した手術はある程度早期ダンピングの予防になるのではないかと推定される.
  • 嶋田 久
    1975 年 72 巻 2 号 p. 111-126
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃切除後患者100例 (吻合部潰瘍症例26例を含む) を対象とし, pH測定用ラジオカプセルを用い残胃内pH値を測定し, 多方面から臨床的検討を加えた. 1) カプセル法は吸引法に比べてより生理的な胃液検査法であり, 残胃に関する限り吸引法による酸分泌量の計測は信頼性に乏しい. 2) 早朝空腹時の残胃内pH (basal pH) が2.0以下を持続する症例に吻合部潰瘍を発生する頻度が高かつた. 3) 一般に残胃は Tetragastrin (T. G.) に良く反応したが, basal pHが高く T. G. に良く反応する症例に術後愁訴のないものが多かつた. 4) 吻合部潰瘍症例の約半数は内科的療法に反応したが, 永久的な減酸効果が期待できないため, 適当な時期に外科的処置を施行することが望ましい.
  • 膳所 富士男, 石井 兼央, 中村 耕三
    1975 年 72 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒト血清および尿中 amylase は, 寒天および cellulose acetate strip を支持体とした電気泳動で膵由来の amylase と唾液腺由来の amylase に分離定量できる. 正常ヒト血清中の amylase は zymogram 上で膵由来の isoamylase P1 (仮称) と唾液腺由来の isoamylase S1に分離しその活性の比は約1:1である. しかし急性膵炎時にはまず isoamylase P1が上昇し, つづいてP2, P3, P4と新しい isoamylase が陽極方向に出現し, 治癒時には, P4, P3, P2の順に消失し正常型に復し, そのisoamylase の出現程度が急性膵炎の重症度を表わす. また急性耳下腺炎においてもまず, S1が上昇しつづいてS2, S3新しい isoamylase が出現し耳下腺炎の程度を表す. これらの isoamylase はα-amylase の subunit ではなかつた.
  • 浪久 利彦, 山口 毅一, 北見 啓之, 高桜 芳郎, 山田 隆治, 橋本 英明, 吉川 保雄, 織田 貫爾, 佐藤 誠
    1975 年 72 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 大里 敬一, 伊藤 英明, 池田 靖洋, 西村 正也, 八尾 恒良, 飯田 三雄, 渡辺 英伸
    1975 年 72 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    8家系に属する大腸ポリープ症11症例に対して, 胃透視•低緊張十二指腸造影•小腸透視•胃および十二指腸内視鏡によつて積極的に上部消化管の腫瘍性病変の有無を検索し, 病変を有する症例に対しては詳細な組織学的検討を加えた. その結果9例 (81.8%) に胃•十二指腸の病変が発見された. 内訳は胃•十二指腸ポリープ7例, 多発胃癌1例, 胃•十二指腸ポリープ•多発胃癌共存1例であつた. 小腸には病変を発見しえなかつた. なお1例において追跡検査によりポリープ悪性化の可能性を示唆する所見が得られた. 本症において大腸のみならず胃•十二指腸にもポリープや癌が発見されたことは, 本症の診断時ならびに大腸手術後における上部消化管精査の必要性を示すものであり, またこれらの病変が本症特有の全身性腫瘍形成素因の一端であることが示唆された.
  • 小野 時雄, 小林 絢三, 鎌田 悌輔, 毛利 淑子, 三谷 栄時, 辰己 駿一, 菅 保夫, 宮城 邦栄, 山田 英明
    1975 年 72 巻 2 号 p. 149-164
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    十二指腸炎を臨床的には臨床症状, X線診断, 内視鏡診断, 生検組織診断に生検標本の拡大観察による微細粘膜像および微細血管像の検討, 更に酵素学的検索を加味し, 総合的な見地からその本態にアプローチを試みた.
    また基礎的には雑種成犬に化学的十二指腸炎を惹起せしめ同様の検討を行なつた.
    i) 十二指腸炎の生検組織診断を細胞の種類, 程度から我々の基準を作成した.
    ii) 十二指腸炎の内視鏡的分類として, びらん型, 過形成型, 萎縮型に分類した.
    iii) 十二指腸粘膜のAl-p活性は炎症性変化の経時的変遷とともにその局在性にも変化を及ぼす.
    iv) 一般に十二指腸粘膜のAl-p活性値は, 萎縮型では低値を示し, 過形成型では正常に近い値を示した.
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