日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
70 巻, 9 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 肝線維化の場と線維化抑制の試み
    久保 俊
    1973 年 70 巻 9 号 p. 917-933
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    実験的肝線維化過程における C14-proline な subcellular distribution から, procollagen ないしは collagen の前駆 peptide の合成の場を検討し, さらに collagen 合成における肝実質細胞の関与を知るために, 分離肝実質細胞への C14-proline のとりこみと, C14-hydroxyproline の生成を肝傷害過程で分析した. また肝 線維化過程に対する cortisone, 4-aminoproline, p-carboxyphenylglycylaminoacetonitrile, 6-mercaptopurine の効果を, in vitro, in vivo で観察した.
    その結果 1)肝線維化の初期には肝実質細胞の microsome 分画で collagen の前駆 peptide が合成され, collagen 蛋白合成における肝実質細胞の積極的な役割が注目された. 2) 上記薬剤は肝線維化の初期に, 肝細胞への proline のとりこみとそのhydroxylation を抑制して抗線維化効果をしめすが, 6-mercaptopurine は線維蛋白のみならず非線維蛋白の合成も強く抑制した.
  • (1) ブタ腸粘膜抽出多スルフォン化 glycopeptide について
    山田 哲, 近藤 哲夫
    1973 年 70 巻 9 号 p. 934-941
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ブタ•腸粘膜より抽出された多スルフォン化 glycopeptide (GLPS) について in vitro にペプシン阻害作用機序の解析を試みた. 寒天ゲル内でGLPSとアルブミンとの間に沈降線を認めたが, N-acetyl-phenyla-lanyl-diido-tyrosine およびペプシンとの間には沈降線を認めなかつた. GLPSのペプシン活性阻害作用はGLPS, アルブミン量が一定の時, ペプシン量に影響されない. 一定のGLPS濃度の範囲ではGLPSの示す阻害度はアルブミン濃度に影響されほぼ逆相関するが, アルブミン絶対量およびGLPS絶対量当りの阻害度はみせかけの基質濃度に依存していない. 以上のことからGLPSのペプシン活性阻害作用は, これが基質と複合体形成をみることが一次的であるが, その他の複雑な機序も関与していることを推論した.
  • 浦上 慶仁
    1973 年 70 巻 9 号 p. 942-950
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    従来, 困難とされていた Billroth II 法切除胃例の内視鏡的膵•胆管造影を20例に試み, 15例の退影に成功した. 側視式十二指腸ファイバースコープ (JFtype B) では, 5例中3例の退影に成功し, 膵管像は3例, 胆管像は1例に得られた. 直視式上部消化管ファイバースコーブ (GIF typeD, D2) では, 14例中12例の退影に成功し, 膵管像は10例, 胆管像は7例に得られ, 5例では膵, 胆管ともに退影された. 手技的には, 1) 胃空腸吻合部より輸入脚への挿入, 2) トライツを越えること, 3) 肛側からの cannulation の3点が困難で, これらの手技の問題点について述べた. 本法は, 今後, 器械の改良, 手技の熟達などにより, 比較的容易に実施されるようになり, 胃切除後症候群, 輸入脚症候群などへの内視鏡的アプローチも可能になるものと思われる.
  • 稲垣 威彦, 上村 朝輝, 市田 文弘, 関川 智子, 井上 恭一, 田代 成元, 佐々木 博, 市井 吉三郎
    1973 年 70 巻 9 号 p. 951-965
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 浪久 利彦, 南部 勝司, 小林 教雄, 黒田 博之, 久内 徹
    1973 年 70 巻 9 号 p. 966-976
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ICGとBSPの移送の差異をICG試験高度異常, BSP試験正常の2症例を中心にして検討し, 考察を行なつた. 症例Iは胆石症, 症例IIは十二指腸潰瘍である. 2症例ともICGの血漿消失率と摂取率が著明に低下しており, 血清蛋白と色素との結合は, Sephadex G-200によるゲル濾過法で, 正常対照に比し, I峯に結合するICG量が減少していた. トルブタマイド, サリチル酸ナトリウム, フェノバルビタール投与後のICG消失曲線には投与前に比しほとんど変化がなかつた. 症例IIの父親にICG異常, BSP正常の解離を認めたことから, 本症例でのICG排泄異常は先天的, 体質的なものである可能性が強いものと考えられた.
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