著者が既に報告したHypotonic duodenographyに関する研究を基礎とし, 18例のいわゆる膵頭部癌のHypotonic duodenogramについて統計的な検討を加えた.走行についての正常例との比較検討では, 症例により十二指腸各部位の移動が特長的に減少し, 病変の存在を示唆した.局所的なレ線像として, 17の異常所見について検討し, 辺縁の直線硬化像, 輪状ひだの乱れなどが最も多く, 潰瘍形成像が最も少なかった.また症例別には, 陰影欠損像, 辺縁不整像, 粘膜破壊像, 二重輪廓像, 潰瘍形成像などの所見を含む8項目以上の異常所見例は診断が容易であったが, いずれもかなり進展した癌腫例であった.なお黄疸と球部圧迫像やレ線的な腫瘤の主在部位などとの間に関連性を認めた.
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