日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
99 巻 , 8 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 持田 智, 藤原 研司
    2002 年 99 巻 8 号 p. 895-904
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    我が国の劇症肝炎,LOHFは基礎疾患を有する症例が増加しており,これに対して高率に薬剤が投与されるなど,患者背景が変化している.成因はB型と非A非B型で全体の約80%を占めているが,後者には自己免疫性肝炎の疑われる症例が含まれることが判明した.このため,非A非B型から自己免疫性を独立させ,ウイルス性,自己免疫性,薬剤性および成因不明例に区分する新たな分類を提案した.治療法では,血漿交換など人工肝補助がほぼ全例で実施されている.また,B型ではラミブジン投与,亜急性型やLOHFでは生体部分肝移植の増加が顕著である.これら集学的治療により患者の予後は向上しており,1999年の救命率は急性型66.2%,亜急性型45.0%,LOHF18.8%に達した.しかし,2000年は救命率がやや低下しており,また,肝移植適応ガイドラインの正診率が年々低下するなど,新たな問題も生じてきている.
  • 滝川 康裕, 鈴木 一幸
    2002 年 99 巻 8 号 p. 905-912
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎に対する治療では,厳重なモニタリングと呼吸・循環管理のうえに,血漿交換と血液濾過透析を組み合わせた肝補助療法を主体とした特殊療法(糖質コルチコイド,抗凝固療法,抗ウイルス療法など)を行い,肝炎の沈静化と脳浮腫,感染,消化管出血,腎不全などの合併症予防・治療に努めながら,肝の充分な再生を待つのが基本的な方針である.近年,肝移植による救命例(特に亜急性型)が増加しつつあるが,肝移植の普及が充分とはいえないわが国においては内科的治療が主体に行われているのが現況である.今後は亜急性型の救命に向けた肝再生療法の開発が期待される.
  • 橋倉 泰彦, 川崎 誠治
    2002 年 99 巻 8 号 p. 913-916
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎は,内科的集中治療に反応しないと判断された段階において緊急肝移植の適応となりうる疾患である.劇症肝炎に対する肝移植適応基準は国内外から提唱されているが,中でも日本急性肝不全研究会による肝移植適応のガイドラインが有用である.一方,禁忌を見きわめることも重要であり,非可逆的脳障害あるいは感染症の合併がその中心となる.急速な病状の悪化の中で,これらの適応判断,インフォームド・コンセントおよび術前準備を迅速かつ的確に行う必要があり,移植施設との連携を早期からとることも重要である.
  • 小林 拓, 岡村 正造, 大橋 信治, 浦野 文博, 金森 信一, 細井 努, 加古 訓之, 倉橋 正明, 瀬川 昂生, 前多 松喜
    2002 年 99 巻 8 号 p. 917-924
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ‹目的・方法›潰瘍性大腸炎(以下UC)に合併した腺腫とdysplasia associated lesion or mass(以下DALM)の鑑別にはp53免疫染色が有用といわれている.今回,UCに合併した隆起性病変の治療方針決定に対するp53免疫染色の有用性を検討するために,癌4例・腺腫4例にp53免疫染色を施行した.‹結果›大腸癌の4例中3例と腺腫の4例中3例がp53免疫染色陽性であった.p53陽性をもってDALMと診断できるのであれば,大腸全摘が必要とされるが,われわれが大腸全摘を施行しなかったIs型のm癌1例とLSTおよびIIa型を呈した腺腫3例はp53免疫染色陽性であったにもかかわらず局所切除後1~10年の経過観察にて新たな腫瘍性病変の発生をみていない.‹結論›p53染色陽性であっても通常の腺腫や癌の形態を示す病変には平坦粘膜からdysplasiaが検出されないことを条件に局所切除が可能ではないかと考えられた.
  • 堀木 紀行, 丸山 正隆, 藤田 善幸, 鈴木 由布子, 田中 剛史, 井本 一郎, 足立 幸彦
    2002 年 99 巻 8 号 p. 925-934
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    腹部CTは,激しい腹痛,血便,下痢を呈する消化器疾患を鑑別するうえで有用な検査である.1993年11月から2000年10月までの7年間に,激しい腹痛,血便,下痢を訴えて来院し,緊急腹部CT検査および大腸内視鏡検査を施行した感染性腸炎症例を34名(男性18名,女性16名,平均年齢42±19歳)経験した.分離された病原体は,病原性大腸菌12症例(うち6症例がべロ毒素産生性大腸菌O-157),サルモネラ11症例,カンピロバクター5症例,腸炎ビブリオ3症例,エルシニアエンテロコリチカ2症例,細菌性赤痢1症例であった.このうち10mm以上の上行結腸壁肥厚がみられた症例は,O-157の6症例,サルモネラ5症例,カンピロバクター4症例およびO-157以外のべロ毒素非産生性病原性大腸菌1症例であった.20mm以上の症例は,O-157の4症例のみであった.また,O-157全例に骨盤腔内に少量の腹水が見られたが,同様の所見はサルモネラ3症例,カンピロバクター1症例にもみられた.感染性腸炎におけるCT検査所見は,非特異的ではあるが,これらを理解することにより的確な診断および治療に結びつくものと思われた.
  • 舘野 誠, 足立 浩司, 中浜 亨, 稲垣 豊, 森本 日出雄, 渡辺 騏七郎
    2002 年 99 巻 8 号 p. 935-940
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性.気管支喘息発作で入院し,ステロイド剤にて加療中に吐血した.上部消化管内視鏡検査では中部食道より打ち抜き状の潰瘍を認め,下部では融合し,剥離した粘膜が付着していた.生検組織ではfull型の核内封入体を認め,免疫染色と合わせヘルペス食道炎と診断した.ステロイド剤の中止と対症療法のみで食道炎は速やかに改善した.
  • 小平 知世, 菊山 正隆, 松林 祐司, 山田 貴教, 住吉 信一, 影山 富士人, 西平 友彦, 井上 章, 北中 秀法, 笹栗 毅和, ...
    2002 年 99 巻 8 号 p. 941-945
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    71歳・男性.前医のCT検査で胃に接して腹部腫瘤が認められたが放置していた.7カ月後,心窩部痛あり当院受診.この後より腹部膨満感があり,初診時の超音波検査で見られなかった新たな大きな嚢胞成分が,10日後のCT検査で認められた.手術を施行し,胃原発で壁外性に発育したGastrointestinal stromal tumorと診断した.嚢胞内容液は血性であり,出血によると思われる短期間の増大を観察できた症例と考えられた.
  • 浦井 俊二, 芦田 兆, 木田 肇, 山下 元秀, 窪田 伸三, 村尾 眞一
    2002 年 99 巻 8 号 p. 946-950
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.発熱,腹痛,食思不振を主訴に来院.腹部超音波,CT,内視鏡所見などにより腸間膜原発の脂肪肉腫と疑診した.入院第41病日にイレウス,敗血症,多臓器不全にて死亡した.剖検にて腸間膜原発の多形型横紋筋肉腫と診断した.小腸,大腸,肺,リンパ節など多臓器に転移していた.腎には淡明細胞型の腎細胞癌を認め,重複腫瘍であった.
  • 緒林 誠, 清水 紀子, 勝部 智也, 高野 保名, 金 邦源, 西森 武雄, 松本 誉之, 荒川 哲男
    2002 年 99 巻 8 号 p. 951-955
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は24歳女性.再燃緩解型全大腸炎型潰瘍性大腸炎.再燃時,強い四肢の関節炎と結節性紅斑を合併,ステロイドは使用せず顆粒球除去療法を施行したところ,結節性紅斑と関節炎はすみやかに消失し,潰瘍性大腸炎も臨床的緩解を得た.潰瘍性大腸炎の腸管外合併症の病態を考える上で示唆に富む症例と考えここに報告した.
  • 猪熊 哲朗, 片山 幸子, 上尾 太郎, 柴峠 光成, 井谷 智尚, 三村 純, 小森 英司, 藤堂 彰男, 橋本 公夫
    2002 年 99 巻 8 号 p. 956-961
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    患者は,73歳男性.便潜血陽性にて胃癌と大腸隆起性病変を指摘された.上行から横行結腸にかけて立ち上がりのなだらかな隆起の多発を認めた.上行結腸には2コのポリープも認め,ポリペクトミーにて1コが粘膜下浸潤をともなう粘液癌と判明,胃全摘術と右半結腸切除術を施行した.組織学的に大腸粘膜下から漿膜下まで大小の嚢胞形成を認めたが,粘膜直下には嚢胞形成初期像と思われる小間隙も認め,本症の大腸起源が示唆された.
  • 小林 照宗, 三橋 修, 森 昭憲, 成田 佳苗, 住 一, 中田 恒
    2002 年 99 巻 8 号 p. 962-966
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性.1999年11月に腹部CTにて総肝動脈瘤と診断される.2000年6月に心窩部痛を主訴に来院.動脈瘤の増大傾向を認め入院となった.入院後心窩部痛が増強し切迫破裂と判断した.血管造影を施行後,総肝動脈瘤に対しcoilを用い,塞栓術にて治療し得た.動脈塞栓術は血管造影に引き続き行うことができ低侵襲であるため,高齢者などriskの高い症例にも有用な治療法であると考えた.
  • 桐山 和雄, 籔 道弘, 谷口 雅厚, 加藤 哲也, 竹田 彩子, 松嶋 伸好, 姫野 誠一
    2002 年 99 巻 8 号 p. 967-973
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    患者は75歳男性.平成5年2月肝機能異常を指摘され入院.ERCP,肝生検にて原発性硬化性胆管炎と診断された.慢性膵炎の合併も認めた.UDCA投与にて,肝機能は徐々に改善していたが,平成11年5月頃より口腔乾燥,眼の異物感等の症状が生じた.Shirmer test,耳下腺造影にてシェーグレン症候群の診断を得た.胆管,膵管,唾液腺,涙腺上皮組織の何らかの共通抗原に対する異常な免疫反応の存在が推察された.
  • 曽我部 正弘, 福野 天, 大喜田 義雄, 里見 建裕, 林 広茂, 谷木 利勝, 岡村 誠介, 本田 浩仁, 伊東 進
    2002 年 99 巻 8 号 p. 974-979
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.僧帽弁,三尖弁,大動脈弁閉鎖不全による心不全のため当院心臓外科にて大動脈弁置換術および僧帽弁,三尖弁弁輪形成術を施行した,術後9日目より上腹部から右季肋部にかける痛みが出現し,術後10日目にはタール便および貧血を認めた.上部消化管内視鏡検査にて明らかな出血源を認めなかった.腹部超音波検査および腹部CTにて,胆嚢腫大,壁肥厚,胆嚢出血を認めたため急性胆嚢炎にともなう出血と考え,胆嚢摘出術を施行した.術後,貧血も改善し,軽快した.
  • 塩崎 道明, 有坂 好史, 本合 泰, 宮地 克彦, 小島 博, 井上 俊宏, 森田 英次郎, 野口 誉生, 勝 健一
    2002 年 99 巻 8 号 p. 980-984
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は64歳女性.18年前に胆管結石と診断されていたが,黄疸と肝胆道系酵素の上昇が認められ当科入院となった.画像検査では左右肝内胆管の著明な拡張と肝門部胆管に狭窄が認められたが,腫瘍や結石は明らかでなかった.PTCDを施行して減黄した後,PTCSおよび胆管生検を施行すると狭窄部は上皮下の線維増生による硬化像の所見であり続発性硬化性胆管炎と診断した.狭窄部に対してはバルーン拡張術を施行して改善し軽快退院となった.
  • 石渡 裕俊, 久居 弘幸, 蟹沢 祐司, 高張 大亮, 荒谷 英二, 臼渕 浩明, 秋山 剛英, 和賀 永里子
    2002 年 99 巻 8 号 p. 985-989
    発行日: 2002/08/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    無石胆嚢炎を契機に続発性腸腰筋膿瘍を発症した糖尿病患者の1例を報告する.症例は66歳男性.運搬作業に従事した後,腰痛,左大腿部痛が出現し,当院整形外科に入院した.その後急性胆嚢炎を発症し当科転科,経皮経肝胆嚢ドレナージ術を施行した.第6病日に下腹部に筋性防御を認め,左腸腰筋血腫の増大を認めた.第25病日より高熱が出現し,血腫の膿瘍化を認め,CTガイド下経皮的ドレナージ術を施行し,改善した.
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