日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
105 巻 , 3 号
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総説
  • 浅香 正博, 加藤 元嗣
    2008 年 105 巻 3 号 p. 337-343
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/11
    ジャーナル フリー
    胃癌の成因には多くの因子が複雑に関与しているが、中でもH.pylori感染は最も重要な因子である。H.pylori感染は胃炎を惹起し、持続感染によって萎縮性変化をもたらす。胃癌は組織型に関係なく慢性胃炎を背景として発癌するのが一般的である。これまで疫学的成績、スナネズミを用いた動物実験、ヒトでの前向き研究などから、H.pylori感染と胃癌の関連性は明らかになっている。H.pylori除菌による炎症の改善が胃癌予防に結びつく可能性が指摘されている。動物実験においてはH.pylori除菌の胃癌予防効果は証明され、感染早期に除菌する方が発癌抑制効果が強いことも示されている。しかし、臨床での介入試験の成績は十分ではなく、胃癌予防におけるH.pylori除菌の有用性はまだ明らかでない。
今月のテーマ:胃癌治療の最前線-内視鏡治療の適応拡大と化学療法の標準化
  • 竹内 洋司, 飯石 浩康, 上堂 文也, 東野 晃治, 石原 立, 竜田 正晴
    2008 年 105 巻 3 号 p. 344-350
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/11
    ジャーナル フリー
    内視鏡的粘膜切除術(EMR)は胃癌治療ガイドラインの内視鏡治療適応病変に対する標準的治療として確立されており,早期胃癌患者のQOL向上に大きく貢献してきた.さらに多くの早期胃癌を内視鏡で根治せしめるため,外科手術症例のリンパ節転移に関する検討が行われるとともに内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発され内視鏡治療の適応拡大が実施可能となり,多くの胃癌患者に福音をもたらしつつある.しかし適応拡大病変に対するESDは,現時点ではエビデンスレベルの高い治療とはいえず,院内での倫理審査委員会の審査や各科の合意に基づく治療方針の統一などの必要な環境を整え,十分な説明と同意のもとに実施する姿勢が必要である.
  • 棟方 正樹, 坂田 優
    2008 年 105 巻 3 号 p. 351-360
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/11
    ジャーナル フリー
    2007年のASCO, ASCO-GIで本邦から発表された臨床第III相試験結果(JCOG9912, SPIRITS trial, ACTS-GC)により,経口摂取可能な切除不能·再発胃癌に対してS-1またはS-1+CDDP併用療法が,術後補助化学療法にはS-1が標準治療であると考えられた.今後,S-1+CPT-11, S-1+docetaxel併用療法やさらに分子標的薬との併用などが期待される.S-1ベースのレジメンが胃癌の標準的化学療法となり,予後は延長され外来化学療法が益々増えていくであろう.しかし,経口摂取不良患者,PS不良患者などへの配慮,また安全に化学療法を行うための診療体制の構築やがん教育の強化が必要である.
原著
  • 鯵坂 秀之, 三輪 晃一
    2008 年 105 巻 3 号 p. 361-366
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/11
    ジャーナル フリー
    胃癌取扱い規約のStage IV 185例を対象に亜分類を試みた.単変量解析および多変量解析にて,肝転移·腹膜播種(腹腔細胞診も含む)·リンパ節転移(3群以上)·他臓器浸潤·Stage IV因子数(1個と2∼4個)のうち,肝転移·腹膜播種が独立した予後因子であり,Stage IV因子数も予後因子となり得る可能性が示唆された.そこで,リンパ節転移単独(T1∼3N3∼)もしくは他臓器浸潤単独(T4N2)のStage IV A群とその他のStage IV B群を比較したところ,生存曲線において有意な差を認めた.さらに,Stage IV A群の生存曲線はStage III B群(25例)の生存曲線と差が認められなかった.
  • 平澤 俊明, 浅原 新吾, 藤崎 聡, 倉岡 賢輔, 高野 浩一, 亀井 明, 猪狩 功遺
    2008 年 105 巻 3 号 p. 367-372
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/11
    ジャーナル フリー
    胃癌肝転移8症例に対するDSM併用動注化学塞栓療法(DSM-TACE)の効果と合併症を検討した.奏効率は62.5%で,1年生存率は87.5%,2年生存率は52.5%,生存期間中央値(median survival time; MST)は36.1カ月(平均観察期間18.2カ月)であった.合併症もGrade2までのものがほとんどであったが,肝膿瘍を1例に認めた.DSM-TACEは胃癌肝転移に対して集学的治療の1つの選択肢となると考えられた.
  • 寺島 健志, 山下 竜也, 荒井 邦明, 飯田 宏, 柿木 嘉平太, 北村 和哉, 加賀谷 尚史, 酒井 佳夫, 水腰 英四郎, 酒井 明人 ...
    2008 年 105 巻 3 号 p. 373-381
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/11
    ジャーナル フリー
    塩酸ゲムシタビン(GEM)発売後の切除不能膵癌症例に対する診療の実態を明らかにするために,北陸3県医療機関の内科医師にアンケート調査を行った.254例中72.4%で治療が行われ, GEMを含むプロトコールが90.7%で選択され,そのうち37.8%の症例では,用量や投与スケジュール変更などの工夫がとられていた.治療例の生存期間中央値は8.2カ月であり,GEM単剤治療と他剤併用,放射線治療併用で差は認めなかった.予後因子として,年齢,PS,病期,腹水·胸水の有無,治療の有無が挙げられた.北陸地区においてGEMを中心とする治療が広く浸透し,症例に応じてさまざまな工夫が試みられていることが明らかとなった.
症例報告
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