胆のう癌は老人に多く, 特有な症状がないめに, 更に早期に重要臓器に転移するので極めて予後が悪い。著者らは手術成績の向上を計る目的で, 胆のう癌の生物学的特徴, 特にその転移形式について検討した.
症例は剖検55例で, 男性15例, 女性40例, 平均年令は61.7才であつた。52例 (95%) は初診時より1年以内に死亡し, 21例 (38%) に胆石の合併を認めた。組織型ではadenocarcinomaが45例 (82%) で多く, ついでsquamous cell carcinomaが7例 (13%) であつた。
臓器転移は肝53例 (96%) で最も多く, ついで大網, 腹膜, 胆管, 肺, 十二指腸, 大腸, 胃に比較的多く認められ, リンパ節転移では肝・十二指腸靱帯内リンパ節50例 (90%), ついで膵・十二指腸リンパ節44例 (80%), 幽門周囲リンパ節39例 (73%) に転移が認められた。
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