Interventional EUSは,低侵襲な代替ドレナージ法として開発されたが,EUSガイド下胆道ドレナージは,ERCP困難例のみならず初回治療の報告も増えている.またlumen apposing metal stentの開発により,胃空腸吻合術など新しい手技も開発されつつある.近年はドレナージだけでなく,EUSガイド下薬物注入療法やラジオ波焼灼療法などの抗腫瘍療法や,静脈瘤治療など血管内インターベンションも報告されている.このように,interventional EUSは開発から30年に満たない手技であり,手技の一般化やエビデンスの構築など課題も残されているが,今後さらに適応・手技の拡大が期待される.
近年,超音波内視鏡(EUS)下ドレナージ術によるさまざまな治療手技が報告されてきている.経乳頭的内視鏡的胆道ドレナージ術が困難な閉塞性黄疸症例に対する治療として,EUS下胆管ドレナージ術が行われている.胆囊ドレナージの標準治療は経皮経肝的胆囊ドレナージであるが,内瘻化が可能という点から患者の背景・状態によってはEUS下胆囊ドレナージ術が1つの選択肢となる.主膵管狭窄をともなう慢性膵炎や膵管空腸吻合部狭窄に対する経乳頭的内視鏡処置が困難な症例に対して,EUS下膵管ドレナージ術が代替治療となり得る.EUS下ドレナージ術は処置具の開発にともない,より安全・確実に施行可能となり,将来適応がさらに広がることが期待される.
胃排出路閉塞(gastric outlet obstruction;GOO)は,良性疾患では胃十二指腸潰瘍や急性膵炎などで,悪性疾患では胃癌,十二指腸癌や膵胆道癌の進行にともない,しばしば認められる.現在,保険収載されているGOOに対する治療としては,外科的胃空腸バイパス術と内視鏡的胃十二指腸ステント留置術がある.近年,内視鏡技術が発展しており,胃空腸バイパス術としてこれまでに,NOTES(natural orifice translumenal endoscopic surgery)によるバイパス,磁石圧迫吻合術を用いたバイパス,および超音波内視鏡(EUS)下バイパスが試みられている.この内視鏡的バイパスの中では,EUS下胃空腸バイパス術が最も期待できるGOOに対する治療法である.
近年のinterventional EUSの発展は目覚ましく,最近では孤立性胃静脈瘤や難治性消化管出血などの血管病変に対しても,EUSを用いた治療(EUS-guided vascular therapy;EUS-VT)が行われている.これまでの報告では,組織接着剤(cyanoacrylate),硬化剤,血管塞栓用コイルなどが注入・留置されており,良好な成績が示されている.そのほかには,門脈ステント留置,門脈静脈短絡路形成など,従来から経皮・経静脈的に施行されている手技についてもEUSが応用されてきている.EUS-VTは,EUSに求められる新たな役割として,今後の発展が期待できる治療法である.
超音波内視鏡(endoscopic ultrasound;EUS)は,今や胆膵疾患の診断のみならず治療を行う上で欠かせないモダリティである.特にEUS下胆道ドレナージ術に代表されるinterventional EUS(IV-EUS)は新たな治療法として注目されている.IV-EUSでは,臓器間に瘻孔が形成される.内視鏡的ネクロゼクトミーは,急性膵炎後合併症に対する瘻孔形成後治療として最も広く行われている手技であり,その他,胆管や膵管―消化管瘻孔形成後の治療も試みられている.本総説では,本手技に関する代表的な論文をreviewしながら,IV-EUSによる瘻孔形成後治療について概説する.
症例は80歳代男性.2011年に潰瘍性大腸炎と診断されたが,内科的治療に抵抗性であり2014年に大腸全摘,永久回腸人工肛門造設術を行った.以後内服加療もなく,近医にて経過観察されていたが,2016年血小板減少を認めたため当院血液内科を紹介受診し,特発性血小板減少性紫斑病と診断された.潰瘍性大腸炎の腸管外合併症として特発性血小板減少性紫斑病の報告はあるが,大腸全摘術後に合併した報告は本邦初である.
症例は52歳女性.半年前より頻回のげっぷがあり,上部消化管内視鏡検査で異常を認めず,薬物抵抗性のため紹介.腹部単純X線では胃や小腸内に著明なガス貯留を認めず.診察中も頻回のげっぷが出現したが,会話中は認めなかった.高解像度食道内圧検査および食道インピーダンスpHモニタリングの解析より,excessive supragastric belchingと診断した.認知行動療法により,げっぷの回数は減少した.
症例は83歳男性.脾動脈幹近位リンパ節腫大を認め,EUS-FNAを施行.扁平上皮癌の診断であった.上部内視鏡検査にて胸部中部食道に0-IIc病変を認め,ESDを施行.病理結果は深達度LPM,脈管侵襲および断端陰性であった.転移リンパ節摘出術を施行後8カ月が経過したが,再発は認められない.今回われわれはpT1a(LPM)N4M0,fStage IVaの表在型食道癌を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
30歳男性.潰瘍性大腸炎が疑われてMesalazineが開始され,10日目から発熱・胸痛が出現した.血液検査で心筋逸脱酵素の上昇,心電図検査でST上昇,超音波検査でびまん性の心収縮の低下を認め,急性心筋炎と診断した.他の心筋炎の原因疾患はなく,薬剤誘発性リンパ球刺激試験が陽性であることから,Mesalazineによる薬剤性心筋炎と診断した.Mesalazine中止により改善した.
症例は57歳男性.アルコール性肝障害が疑われたが節酒後も改善を認めず,血清ferritin高値と肝のびまん性鉄沈着を認めた.SLC40A1遺伝子解析でG490D変異を認め,Ferroportin病A型と診断した.しかし,本症例ではTSAT高値であり,肝組織所見では肝実質細胞に明らかな鉄沈着を認め,アルコール性肝障害の合併により臓器障害をきたすB型に類似した病態を呈していたと考えられた.
88歳女性.2016年自己免疫性肝炎と診断しプレドニゾロン(PSL)で治療した.2018年肝機能増悪があり,ステロイドパルスで改善したがADL低下があり,療養型病院へ転院となった.ELISPOT法で2016年の初診時は判定保留,PSL導入3カ月・パルス前は陰性であったが,転院後発熱を認め,結核菌PCR陽性で結核の診断となった.高齢者に免疫抑制剤や生物学的製剤を投与する機会が増えており,注意が必要である.