日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
78 巻, 7 号
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  • 中安 顕
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1363-1369
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アルギニン静脈内負荷による血中ガストリンおよび成長ホルモン分泌に対するSulpiride点滴静注の効果を,健常者(5名),胃潰瘍患者(7名)および十二指腸潰瘍患者(8名)で検討した.ガストリン反応はSulpiride投与により,健常者,胃潰瘍患者および十二指腸潰瘍患者で有意に抑制された.成長ホルモン反応はSulpiride投与により胃潰瘍患者においてのみ有意に抑制された.dopaminergic receptor blockerであるSulpirideはadrenargic receptor mechanismによりガストリンと成長ホルモン分泌を抑制したと推察され,胃潰瘍患者における成長ホルモン分泌機構はadrenergic receptor mechanismに対する抑制効果に特に鋭敏であると思われた.
  • 裏川 公章, 堀 公行, 松永 雄一, 内藤 伸三, 大坪 泰彦, 高瀬 信明, 河合 澄夫, 八田 敏, 西村 和夫, 斉藤 洋一
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1370-1379
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラットに水浸拘束ストレスを加え急性胃潰瘍を作成し,胃粘膜アミン,胃粘膜ムコ物質,胃運動,胃壁血流,酸度を測定し潰瘍発生機序について考察するとともに,潰瘍発生予防に対するシメチジンと迷切の効果についても検討し以下の結論を得た.(1) 急性胃潰瘍の発生機序は,まず放出された胃粘膜アミンにより胃粘膜の循環障害が生じ,胃運動の亢進,過酸,粘膜防禦の低下が複雑に重なり発生すると考えられた.(2) 潰瘍発生の予防には,シメチジンと迷切は有効であつた.(3) シメチジンの潰瘍発生予防の作用には,胃分泌抑制作用の他に,胃粘膜血流を改善する作用があるのではないかと推測された.
  • 特にビタミンB12吸収試験との相関について
    松本 恒司, 正宗 研, 布出 泰紀, 大柴 三郎
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1380-1387
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆汁酸は,ビタミンB12と同様,主として回腸から吸収される.したがつて胆汁酸を経口的に負荷した場合,肝機能が正常であれば,血清胆汁酸値の上昇は,腸管からの吸収能を反映する.著者らは,UDCA300mg経口負荷試験を,各種消化管疾患に行ない,血清胆汁酸の変動を酵素蛍光法により測定した.健常者,胃•十二指腸潰瘍,潰瘍性大腸炎では,30分あるいは45分値で最高値を示し,以後漸減した.一方,回腸疾患では,殆んど上昇がみられず,平坦なpatternを示した.この成績とV. B12吸収試験とを比較検討し,相関がみられたことから,胆汁酸負荷試験が,V. B12吸収試験と同様,回腸の吸収能をみる検査法として有用なことを明らかにした.
  • secretorycomponent, IgAを中心に
    浅井 俊夫, 名倉 宏, 渡辺 慶一
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1388-1398
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    大腸の腫瘍性病変にNakaneの酵素抗体法直接法によるSC, IgA染色を行い,光顕および電顕的に検討した.SCは陰窩円柱上皮の分化を表現する指標となり,腺腫の未熟性と過形成ポリープの過成熟が示されたが,これらの上皮の超微形態レベルでのSCの局在は正常腸上皮と同様であつた.腺癌ではSCは光顕での高度に不規則な染色性と同時に,超微形態レベルで管腔内微絨毛表面の局在と間質への拡散が認められ,局在様式からも悪性腫瘍における極性の喪失が示された.成熟した杯細胞にSCは存在しなかつたが,腺腫の未熟な杯細胞にはSC産生の可能性が示唆された.腫瘍化しても腸上皮のdimeric IgAのtransport機構は保たれていたが悪性腫瘍ではtranSCellular transportの機能低下が示された.
  • 銭谷 幹男, 加藤 由美子, 高橋 弘, 出浦 正倫, 清水 能一, 相沢 良夫, 秋庭 真理子, 斉藤 礼郎, 飛鳥田 一朗, 三枝 苗成 ...
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1399-1404
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎における肝細胞障害機構を明ら.かにする目的で,ADCCの面から検討を加えた.慢性肝炎患者血清は,単離ラット肝細胞を標的細胞とし,これに健常リンパ球を加える実験系で細胞障害を惹起したが,このときのeffector cellはnon T cell分画に多く認められた.この血清をLSPで吸収すると,多くは細胞障害能の低下を示し,またこの細胞障害能はHB抗原の有無によつては有意の差異を認めなかつた.以上より慢性活動性肝炎における細胞障害機構の一つとして,LSPを介するADCC系の関与が明らかとなつた.
    一方,これら患者の末梢血中のK-cell populationは低下を示しており,ADCCの発現にあたつてはeffector cellであるK-cellの変動を考慮する必要がある.
  • 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 阪上 吉秀, 志波 孝, 東森 俊博, 中尾 昌弘, 黒木 哲夫, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1405-1411
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    標的細胞として正常ラット肝から分離調製した分離肝細胞を用い,正常人リンパ球をeffector細胞として,抗肝細胞膜抗体によるADCC反応をin vitroで誘導すると,分離肝細胞におけるアルブミン生合成が著明に低下した.反応後,細胞ペレットを遠心によつて集め,肝細胞内に形成された過酸化脂質(LPO)の量を検討すると,LPOの著明な増量が認められた.
    次いで,ADCC反応を行ない細胞培養上清を分離して,この細胞培養上清を正常ラット肝から調製した分離肝細胞浮遊液に添加培養すると,肝細胞におけるアルブミン生合成が著明に低下した.この肝細胞障害活性が認められたADCC培養上清を分離肝細胞浮遊液に添加して,肝細胞内に形成されたLPOの量を測定すると,LPOは著明に上昇した.
    さらに,このADCC培養上清をSephadex G-75カラムで分画すると,肝細胞障害性を示す分画と,分離肝細胞のLPO形成能を示す分画は同一の分画に認められた.
    以上の結果から,ADCC反応による肝細胞障害には,K細胞から分泌されるchemical mediatorが関与し,肝細胞障害の機序にはLPOの形成が密接に関連すると考えられる成績がえられた.
  • 中込 健郎
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1412-1418
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    実験的慢性アルコール性肝障害時の肝内胆汁うつ滞についてラットを用い,超微形態と機能面から検討した.Donryu系雄ラットに総カロリーの36%エタノール含有餌料を1•9ヵ月間投与した.超微形態上9カ月間投与でも毛細胆管は著明に拡張し微絨毛の減少•消失を認め,この傾向は軽度ながら1ヵ月投与でもみられた.1ヵ月投与で胆汁流量は有意に減少し,胆汁中総胆汁酸排泄量も減少傾向を示し,同時に血清総胆汁酸は約2倍に増加した.胆汁酸組成では,デオキシコール酸が約1/2に減少し,ウルソデオキシコール酸は約4.4倍に増加した.実験的慢性エタノール投与は,薬剤性肝内胆汁うつ滞に類似の形態的,機能的変化を引き起こす事が認められた.
  • 福田 一雄
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1419-1430
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝硬変症50例を対象にRPTによるbasal LESPと負荷試験後のLESの反応性変化から胃食道逆流現象の有無について検討した.basal LESPは対照群と有意差はなく,血中gastrin, estrone, progesteroneとの相関も認めないが,静脈瘤破綻例は244±45mmH2Oと有意に高く,この成因に静脈瘤の形状,門脈圧,腹水などの物理的影響が推察された.外因性gastrin負荷試験では肝硬変でLESの無反応例を25%に認め,glycine負荷に対しても有意にLESの反応性圧上昇率は低く,肝硬変症では胃食道逆流が惹起され易い状態にあることを示唆し,同時に胃食道逆流防止機構はbasal LESPより負荷試験後のLESPの変化および反応率から評価されるべきである.
  • 幾世橋 篤, 柴田 久雄, 小沢 定延, 市野 元信, 青柳 象平
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1431-1436
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌および転移性肝癌の診断における血清5'-NPD-V検査の有用性を検討した.黄疸例では5'-NPD-Vが非特異的に出現するために血清bilirubinが2.5mg/dl以上の症例は検討から除外した.健康人18例では全例陰性であつた.肝細胞癌では13例中12例が陽性であり,転移性肝癌では36例中27例75%が陽性を示し,肝転移が認められなかつた悪性腫瘍では34例中5例15%が陽性であつた.α-Fetoprotein正常の肝細胞癌4例全例で5'-NPD-Vが陽性を示したこと,転移性肝癌に対するCEAの陽性率よりも5'-NPD-Vのそれの方が高いことから今までの腫瘍markerと5'-NPD-Vを組合せれば肝細胞癌および転移性肝癌の診断に有力な手段となるであろう.
  • 田沢 潤一, 泉 並木, 蓮村 靖, 武内 重五郎, 金山 正明
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1437-1442
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    非B非ルポイド型慢性活動性肝炎(CAH)の臨床病理学的特徴像を把握する目的で,組織学的に診断し得たCAHの症例を,HBウイルス持続感染型(9例),ルポイド型(10例),および,これら両者のいずれにも属さない非B非ルポイド型(13例)の3群に分け,後者を他の2群と対比させ,検討した.非B非ルポイド型CAHの臨床像は,男性優位で,免疫異常の存在に乏しく,またステロイドの効果が顕著でないことなど,ルポイド型とは異なる点が多く,逆にHBウイルス持続感染型と類似する点が多くみられた.さらに,輸血歴を有するものが多い点から,非B非ルポイド型CAHは,非A非B型肝炎ウイルスと深い関連を持つことが示唆された.
  • 方法と臨床効果の検討
    江原 正明, 土屋 幸浩, 大藤 正雄
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1443-1451
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸例および急性胆管炎例に対し,経皮的胆汁ドレナージをX線透視下穿刺により187例,超音波映像下穿刺により66例,計253例に施行した.両方法はともに著者らが開発した新しい経皮的胆汁ドレナージ法であり,安全性と確実性の高いことが確認された.とくに,超音波映像下穿刺法は,選択的胆管穿刺が容易かつ確実に行なえるため,手技が簡便である上に,きわめて安全性の高い方法であり,手技に伴なう重篤な合併症を全く認めなかつた.なお,ドレナージ施行後の黄疸軽減効果,急性胆管炎に対する治療効果などの臨床効果についても検討を加えた.
  • 膵管ドレナージ法による検討
    松野 正紀, 宮下 英士, 松本 純, 佐々木 浩一
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1452-1458
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵液中への微量元素の排出量および排出パターンを明らかにすると共に,それらと膵酵素分泌および膵線維化との関係を明らかにすることを目的として,膵頭十二指腸切除術後,膵管ドレナージを行つた12症例を対象に,膵液中のZn,Mgの測定を行つた.Znの排出はAmylaseと平行関係にあり,膵酵素分泌と密接な関係が認められた.Mgの術後の濃度推移は変動が小さく,その排出パターンは膵液量に依存した.Zn,Mg共に膵液中への排出量は,残存膵実質量と相関した.各症例におけるAmylase/Zn濃度比は術後ほぼ一定であり,膵実質量との間には負の相関が存在した.膵液中のAmylase/Zn濃度比は,膵線維化の程度あるいは膵外分泌機能を表わす指標となることが示唆された.
  • 特に膵液の役割について
    西脇 英樹, 佐竹 克介, 梅山 馨, W.Y. Chey
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1459-1465
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵瘻並びに胃瘻を作成した5頭の犬に経口食事負荷試験を行い,分泌膵液の十二指腸外diversionまたは十二指腸内reinfusionの血漿セクレチン値,血漿ガストリン値および膵外分泌反応に及ぼす影響について検討した.
    膵液diversion群では,食後のピーク血漿セクレチン値は80.6±18.2pg/mlで,食後150分間のΣsecretin分泌も8.3±1.7ng/ML/150分と,reinfunion群の57.0±15.0pg/ml並びに5.0±0.8ng/ML/150分に比べ有意に高値を示した.また膵外分泌,特に膵液量並びにHCO3-分泌においてもdiversion群ではそれぞれ2.3±0.4L/150分,343.3±81.2mEq/150分とreinfusion群の1.7±0.3L/150分,250.8±58.1mEq/150分に比べ高い傾向を示した.十二指腸からの膵液欠損時の膵外分泌,特に膵液量,HCO3-分泌亢進はこのセレクチン分泌亢進を介するものと思われた.
  • 武田 功, 中野 哲, 北村 公男, 綿引 元, 小沢 洋, 熊田 卓, 浜野 博次, 磯谷 正敏, 蜂須賀 喜多男
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1466-1469
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 田中 裕二, 羽柴 初美, 熊田 和徳, 須賀 泰博, 松本 美富士, 山本 正彦
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1470-1474
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 天野 秀雄, 播麿 一雄, 相部 剛, 永冨 裕二, 川嶋 正男, 前谷 昇, 東 光生, 有山 重美, 富士 匡, 河村 奨, 竹本 忠良
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1475-1479
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 信紘, 小山 亮, 林 紀夫, 松村 高勝, 岸田 隆, 斉藤 光則, 七里 元亮, 鎌田 武信, 阿部 裕
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1480
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 清原 秀康, 吉田 雋
    1981 年 78 巻 7 号 p. 1481
    発行日: 1981/07/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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