日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
105 巻 , 12 号
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総説
  • 藤原 研司
    2008 年 105 巻 12 号 p. 1705-1710
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/05
    ジャーナル フリー
    わが国は今や超高齢社会となり,国民の立場に立った医療が尊重され,すべての国民が安心して受診できる専門医が求められている.しかし,わが国の過去におけるさまざまな事情から,臨床医の育成が遅れていた一方で,医学·医療の進歩とともに各種専門医学会が設立され,独自の認定医·専門医制度を設置されてきた.これを統括し社会に役立つ制度とする目的で医学会中心の組織が設立され,国全体の医療に見合った専門医を認定するよう取り組んできたが,最近では基本理念や分類の抜本的な見直しによる将来像が見えかけてきた.ゴールは単純に‘国民の幸せ'とはいえ,根底には時代とともに変容する医療行政の立場や各医学会の特殊性,国民性もあって複雑である.
  • 北條 麻理子, 永原 章仁, 宮崎 招久, 渡辺 純夫
    2008 年 105 巻 12 号 p. 1711-1721
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/05
    ジャーナル フリー
    メタボリック症候群は虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患の危険因子になるということで注目されている疾患である.その発症の基盤には内臓脂肪の蓄積およびそれにともなって生じるインスリン抵抗性が存在する.心血管疾患以外に消化器疾患との関連も指摘されており多くの研究が行われている.単純性脂肪肝の一部がNASHへ進展するが,そこには肥大した脂肪細胞が分泌するアディポカインやインスリン抵抗性が大きく関与する.胃食道逆流症との関連もあり,その発症には内臓脂肪沈着による腹腔内圧の上昇が大きく寄与する.食道腺癌や大腸癌などの癌との関連も指摘されており,アディポカインやインスリン抵抗性にともなう高インスリン血症の関与が大きい.
今月のテーマ:内臓肥満と消化器疾患
  • 稲森 正彦, 秋山 智之, 高橋 宏和, 阿部 泰伸, 中島 淳
    2008 年 105 巻 12 号 p. 1722-1727
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/05
    ジャーナル フリー
    生活習慣の欧米化にともない本邦において肥満,特に内臓脂肪型肥満の増加が予想される.またメタボリックシンドロームなど,肥満に共存する疾患を包括的に捉える概念が浸透しつつある.内臓肥満と消化管疾患との関連では,たとえば肥満による胃食道逆流症発生の機序として,腹圧上昇による逆流の増加の他,肥満と疾患の両方を引きおこす生活習慣,たとえば高脂肪食などが挙げられている.一方大腸癌に関しては,生活習慣の関与の他,内臓脂肪から分泌されるアディポネクチンが大腸発癌と関係することが報告されている.この分野に関する報告はまだ不十分であり,更なる研究が期待される.
  • 江口 有一郎, 水田 敏彦, 藤本 一眞
    2008 年 105 巻 12 号 p. 1728-1736
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/05
    ジャーナル フリー
    内臓脂肪は余剰エネルギーを中性脂肪として貯蔵し,必要に応じて脂肪酸とグリセロールに分解し全身に再供給するエネルギーの貯蔵庫である他に,アディポカインと呼ばれるさまざまなサイトカインやケモカインを産生し,全身の糖·脂質代謝,さらに免疫調節にも関与する生体内で重要な内分泌臓器であることが明らかになってきた.内臓脂肪型肥満が原因のインスリン抵抗性はメタボリックシンドロームの成因となり,肝臓の脂肪性肝疾患の病態に大きく関与することがわかっている.最近では,内臓脂肪はC型慢性肝炎の病態を修飾し,さらにインターフェロン+リバビリン併用療法による抗ウイルス治療の効果に影響を及ぼす因子として注目されている.
原著
  • 岡上 武, 島 俊英, 水野 雅之, 松本 美加, 楳村 敦詩
    2008 年 105 巻 12 号 p. 1737-1748
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/05
    ジャーナル フリー
    消化器内科医,一般内科医における肝疾患の診療実態を明らかにすることを目的に,肝機能検査値を用いたアンケート調査を実施した.消化器内科医,一般内科医で血清ALT値を肝細胞障害の指標として認識しているのは,それぞれ94%·80%(P<0.01),血清γ-GTP値を胆汁うっ滞の指標として活用しているのはそれぞれ93%·61%(P<0.01),胆管細胞障害の指標として活用しているのは70%·49%(P<0.01)であった.また,薬物療法導入の際の血清ALT値の目安は,C型肝炎では消化器内科医は平均値でALTは62IU/L以上,一般内科医では79IU/L以上(P<0.01),脂肪性肝疾患ではそれぞれ93IU/L以上と90IU/L以上と高値であった(有意差なし).本調査の結果から肝疾患のフォローや診療導入に際しての肝機能検査値に対する認識や診療基準値の統一指針の検討が必要と考えられた.
  • 松崎 晋平, 真口 宏介, 高橋 邦幸, 潟沼 朗生, 小山内 学, 浦田 孝広, 深澤 光晴, 土屋 貴愛, 一箭 珠貴, 栗田 亮, 安 ...
    2008 年 105 巻 12 号 p. 1749-1757
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/05
    ジャーナル フリー
    無石胆嚢炎の臨床像を明らかにすることを目的にretrospectiveに検討した.対象は,無石胆嚢炎113例であり,検討項目は,背景,成因,治療法と転帰,再発率,とした.成因では,機能的な胆汁うっ滞が34例(30.1%),器質的な胆汁うっ滞37例(32.7%),不明36例(31.9%)であり,機能的胆汁うっ滞の82.4%が院内発症であった.器質的胆汁うっ滞は1例を除き院外発症であり,このうち胆道系腫瘍が9例(胆嚢管癌5例,胆嚢癌3例,乳頭部腺腫1例)にみられた.院内発症の原因の多くが機能的胆汁うっ滞であるのに対し,院外発症には器質的胆汁うっ滞が多く,特に胆道癌の存在を念頭に置く必要がある.
症例報告
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