日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
116 巻, 11 号
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今月のテーマ(総論):大腸腫瘍-診断・治療の最前線-
  • 鈴木 拓, 山本 英一郎, 仲瀬 裕志
    2019 年 116 巻 11 号 p. 859-866
    発行日: 2019/11/10
    公開日: 2019/11/11
    ジャーナル フリー

    大腸がんは,遺伝子変異の段階的な蓄積により発生するという多段階発がん説がよく知られている.さらに染色体不安定性,マイクロサテライト不安定性,CpG island methylator phenotypeなどの分子異常に基づく大腸発がん理論が提唱されてきた.近年のオミクス解析技術の進歩により,がんゲノム・エピゲノムを網羅的に把握することが可能となり,従来の知見の整理とさらなる解明が進んでいる.また,トランスクリプトーム解析に基づくサブタイプ分類や,数理解析による大腸がん進化モデルの提唱など新たな展開も見られており,より精密ながんゲノム医療の実現に寄与することが期待されている.

今月のテーマ(総説):大腸腫瘍-診断・治療の最前線-
  • 森 悠一, 工藤 進英, 三澤 将史
    2019 年 116 巻 11 号 p. 867-877
    発行日: 2019/11/10
    公開日: 2019/11/11
    ジャーナル フリー

    近年の内視鏡イメージング技術の発展により,大腸病変の検出率および病理診断予測能力は飛躍的に向上した.しかし同時に,高精度の診断はエキスパート内視鏡医しか実現できないという,ジレンマも明らかになりつつある.このような内視鏡診断能の限界に対する革新的な解決策として注目をあびているのが,人工知能(AI)による内視鏡診断支援システムである.本稿では,ここ数年で急激に研究が活性化した内視鏡AIの世界的動向について概観するとともに,内視鏡AIを実臨床で使用する上で,必須とされる薬事承認の実施状況についても紹介する.

  • 渡辺 憲治, 樋田 信幸, 中村 志郎
    2019 年 116 巻 11 号 p. 878-890
    発行日: 2019/11/10
    公開日: 2019/11/11
    ジャーナル フリー

    炎症性腸疾患の分野では,患者数や長期経過例の増加にともない,炎症性腸疾患関連腫瘍早期発見のためのサーベイランス(SL)は今後も課題であり続ける.直腸肛門部領域に好発する本邦のクローン病関連腫瘍では,SL法が未確立で,内視鏡や麻酔下生検などを工夫して組み合わせる必要があり,根本的には病理学的発生機序の解明が必要である.内視鏡的SLが普及した潰瘍性大腸炎でも,手技や病理など検討すべき課題が残されている.粘膜治癒などを目指した診療における客観的モニタリングとして内視鏡検査を施行する際にSLを行うことが理想であり,ハイリスク群を絞り込むバイオマーカーや,非専門医でも施行可能なSL内視鏡法の開発が課題である.

  • 浦岡 俊夫, 中田 昂, 東 玲治
    2019 年 116 巻 11 号 p. 891-901
    発行日: 2019/11/10
    公開日: 2019/11/11
    ジャーナル フリー

    大腸小型ポリープに対する従来の大腸内視鏡的polypectomyは,後出血や腸管穿孔などの偶発症発症のリスクをともなうが,近年普及してきた高周波を用いず機械的に病変を切除するcold polypectomyにはこれらの偶発症がほとんど生じない.さらには,手技時間の短さに加え,コストの面においても優位性がある.しかし,従来法よりも浅い切除深度や病理組織学的評価の困難性などの問題から,早期癌は本手技の適応外と考えられている.正確な術前内視鏡診断と適切なデバイスの使用により,本手技が大腸小型ポリープに対する標準的切除法となる可能性があり,さらには,抗血栓薬内服継続症例に対するより安全な手技としても期待がかかる.

  • 下嵜 啓太郎, 猪口 和美, 浜本 康夫
    2019 年 116 巻 11 号 p. 902-912
    発行日: 2019/11/10
    公開日: 2019/11/11
    ジャーナル フリー

    大腸癌化学療法は,Fluorouracilおよびイリノテカン,オキサリプラチンなどの殺細胞性抗がん剤に加え,血管新生阻害薬やEGFR抗体などの分子標的薬が導入され,またbiomarkerの探索などにより治療成績は著しく向上した.近年は免疫チェックポイント阻害剤の登場や,がんプレシジョン診療の時代に突入し,治療の多様化・個別化が一層進んでいる.本稿では大腸癌に対する標準的化学療法の概況について解説する.

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