日本消化器病学会雑誌
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98 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 幹細胞癌の診断と治療―最近の進歩―
    工藤 正俊
    2001 年 98 巻 7 号 p. 795-808
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌の画像診断の最近の進歩には目を見張るものがある.血流・形態・機能という3つのアプローチの中でも特に血流動態的アプローチが最近では診断の主流となってきている,中でも侵襲的な方法ではあるがCO2動注造影エコー法あるいはCTと血管造影と組み合わせた動注CT(CTHA)及び門脈造影下CT(CTAP)などにより結節の血流動態的アプローチから古典的肝癌,初期の高分化型肝癌あるいは境界病変などの診断が可能となってきている.またFeridex MRIを用いることにより機能的な面からの診断もなされつつある,最近のトピックスとして超音波造影剤Levovistが臨床使用可能となり,同時に造影ハーモニックイメージングが急速な進歩を見せておりLevovistを静注することにより,real timeにCO2動注造影エコー法と同等の空間分解能,時間分解能,濃度分解能あるいは血流検出感度を有するハーモニックイメージが得られるようになってきた.この手法は肝細胞癌の診療における5つの役割のうち鑑別診断に寄与するのみでなく,肝細胞癌の治療後の効果判定や再発診断さらにはCT,MRで同定された遺残癌の超音波断層画像上における局在診断,さらには造影下治療への道を開く画期的な手法となりつつある.まさに造影ハーモニックイメージングは肝細胞癌の診断と治療のstrategyを変えつつある
  • 幹細胞癌の診断と治療―最近の進歩―
    椎名 秀一朗
    2001 年 98 巻 7 号 p. 809-813
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌では,肝硬変や多発性病変のため切除適応例は限られおり,根治的切除後も高率に再発がみられる.このため,非外科的治療の役割が大きいが,局所の根治性という点では経皮的局所療法がもっとも確実である.エタノール注入,マイクロ波凝固に引き続き,最近,経皮的ラジオ波焼灼療法が導入された.これは,病変に挿入した電極周囲を誘電加熱し,癌を壊死させる治療法である.1回の焼灼で約3cmの範囲を予想通りに壊死させ,少ない治療セッション数で病変を確実に完全壊死させることができる.ラジオ波焼灼の導入により,経皮的局所療法はほぼ確立された治療になった.超音波検査機器や超音波用造影剤の進歩により,超音波で同定困難な病変が明瞭に描出されるようになれば,経皮的局所療法は今後さらに広く行われることになろう.
  • 菱木 智, 志和 忠志, 横山 知子, 野村 正征, 後藤 亨
    2001 年 98 巻 7 号 p. 814-821
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Helicobacter pylori(H.P.)陽性の消化性潰瘍患者に対する除菌治療が,心血管系疾患の危険因子に影響を与えるかを検討した.H.P.除菌治療を行った消化性潰瘍患者205例を除菌群とし,体重(BW),Bodymass index(BMI),総コレステロール(TC),LDLコレステロール(LDL),中性脂肪(TG),HDLコレステロール,γ-GTP,尿酸,血糖の各項目を除菌前、除菌1年後,2年後に測定した.対照として消化管疾患のない430例をH.P.の有無で2群に分類し,1年の間隔で各項目を測定した.結果は,除菌群では除菌1年後に除菌前と比較しBW,BMI,TC,LDL,TG,γ-GTPが有意に上昇し2年後も高値を維持した,対照ではH.P.の有無で検査値に差が無くまた1年間での変化もなかった.心血管系疾患の危険因子を有する症例では除菌治療の際に食生活を含めた生活習慣の変化に対しての注意が必要である.
  • 大久保 恭子, 結城 豊彦, 佐藤 匡, 石田 一彦, 妹尾 重晴, 松永 厚生, 野村 美樹子, 内海 潔, 鈴木 敬, 平澤 大, 野田 ...
    2001 年 98 巻 7 号 p. 822-826
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性.人間ドックの腹部超音波検査で左腎と脾臓との間に約50mm大の腫瘤を指摘された.由来臓器を同定できないまま,腫瘤摘出術を施行.腫瘤は胃体部大彎後壁に径5mm程の索状物を介して付着し,胃壁各層との連続性は見られなかった.免疫組織染色ではCD34陽性,SMA陰性,S-100陰性で,狭義のgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.特異な発育を示した症例と考え,その発育様式について文献的考察を加え報告した.
  • 小島 英吾, 大石 美行, 束原 進, 林 誠一
    2001 年 98 巻 7 号 p. 827-831
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性,血液検査にて著明な低蛋白血症を呈し,上部消化管内視鏡検査にて巨大胃雛襞を認めメネトリ工病と診断した.保存的治療により約4カ月で軽快した.
    胃strip biopsy標本において大型不整形の核内封入体を持つ巨細胞を認め,免疫抗体法によってサイトメガロウイルスearly antigenを確認した.CMV感染と成人メネトリエ病との関連を示す報告は少なく,貴重な症例と考え報告した.
  • 丸田 和夫, 額賀 健治, 安田 有利, 片上 利生, 木幡 義彰, 清水 直樹, 井川 守仁, 宮岡 正明, 森安 史典, 斉藤 誠, 加 ...
    2001 年 98 巻 7 号 p. 832-836
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.1998年7月肺低分化腺癌にて手術および化学療法を,10月には転移性脳腫瘍に対してγ-ナイフ療法を施行した.1999年7月貧血および便潜血陽性を認めたため大腸X線検査および内視鏡検査が施行された.回腸終末部に7cm大の腫瘍を認め,生検組織は低分化腺癌であった.肺癌よりの転移性回腸癌と診断し,回盲部切除を施行した.今回我々は大腸内視鏡で診断し得た肺癌よりの転移性回腸癌の1例を経験したので報告した.
  • 小野澤 真弘, 西川 秀司, 高木 貴久子, 中村 路夫, 工藤 俊彦, 永坂 敦, 若濱 理, 樋口 晶文
    2001 年 98 巻 7 号 p. 837-841
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性.突然の腹部痛で発症し,その後,嘔吐出現.各種画像検査の結果,膵十二指腸動脈瘤の破裂による後腹膜血腫が,十二指腸を圧排することで通過障害を来していることが判明した.動脈瘤に対して経カテーテル動脈塞栓術を施行し,経過観察したところ,血腫は徐々に吸収され,消化管の通過障害は改善,経口摂取が可能となった.
  • 増尾 貴成, 小野里 康博, 石原 弘, 阿部 毅彦, 石川 武志, 棚橋 美文, 池谷 俊郎, 伊藤 秀明, 押本 浩一, 岡村 信一, ...
    2001 年 98 巻 7 号 p. 842-846
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.上腹部痛にて入院となった.臨床症状,血液生化学検査および腹部CT所見より重症急性膵炎と診断した.また,入院時,蝶形紅斑を認め,諸検査より全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準をみたした.SLE以外に膵炎の原因を認めず,SLEの臓器障害の1つとして急性膵炎を発症したと考えられた.動注ステロイドパルス療法などの集中治療により,膵炎は後遺症もなく治癒,その後現在まで再発を認めていない.
  • 新井 和子, 河村 修, 成清 一郎, 常川 勝彦, 林 篤善, 米津 真由美, 大谷 直子, 高木 均, 森 昌朋, 今 陽一
    2001 年 98 巻 7 号 p. 847-852
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は47歳男性,IgG5690mg/dlと著増,ERCPで主膵管全体の狭細化を認め,確定診断のため腹腔鏡下膵生検施行.著明な線維化,腺房の脱落と間質へのリンパ球浸潤を認め,狭細型慢性膵炎の典型的な病理像であった.無症候性のSjögren症候群と間質性肺炎の合併を認めたが,プレドニゾロンにて膵炎とこれらの合併疾患は改善した.狭細型慢性膵炎は無症候でも他の自己免疫疾患を合併することがあり,注意深い検索が必要と考えられた.
  • 加藤 元嗣, 浅香 正博, 斎藤 雅雄
    2001 年 98 巻 7 号 p. 853
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
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