日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
73 巻, 5 号
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  • 坂崎 庄平, 梅山 馨, 西脇 英樹, 佐竹 克介
    1976 年 73 巻 5 号 p. 481-486
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵と胃は種々の点で相関を持つている. 膵の胃分泌に及ぼす影響を検討するために, 膵内分泌ホルモンの1つであるグルカゴンを Heidenhain pouch 作成犬に, glycine 経口投与下に one shot で静脈内投与を行い, 血清ガストリン値並びに胃分泌の変動について検討した. glycine 負荷後にみられる高ガストリン血症はグルカゴン1mg/1mlの投与によつて著明に抑制され, 同時に胃液分泌, 酸分泌も抑制された. このグルカゴンの胃分泌抑制効果は血糖値及び血清Ca値の変動と有意の相関を示さなかつた. この事実は, グルカゴンの胃分泌抑制作用は主に内因性ガストリンの遊離抑制によるものと推測せしめた.
  • 坂崎 庄平, 梅山 馨, 西脇 英樹, 佐竹 克介
    1976 年 73 巻 5 号 p. 487-498
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Heidenhain pouch 作成犬に完全並びに単純膵管結紮を行い, 胃分泌ことに血清 gastrin 値の変動について検討した. 完全結紮では, 血清 gastrin 値は結紮後2週頃より上昇の傾向を示し, 4週後にはかなり高値を示した. さらに glycine の経口負荷によつて遊離塩酸濃度は上昇を示し, 血清 gastrin 値も比較的高値の変化を示し, 結紮前に比べて glycine によく反応した. また屠殺時には主胃のほか Heidenhain pouch に潰瘍の発生がみられた. 完全結紮4週後に glycine 負荷と同時に glucagon を静注すると酸分泌及び gastrin 遊離は抑制される傾向を示した. 以上の結果より, 膵管完全結紮後の高ガストリン血症は主に antral gastrin によるものと推測された.
  • 錦織 方人
    1976 年 73 巻 5 号 p. 499-512
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    各種迷切 (TV, SV, SPV, SAV) が胃拡張時の gastrin 放出にどのように関与するかを検討した. 一方, Heidenhain pouch 犬を用いて各種迷切前後における, histamine, 食餌, insulin 刺激時の血清 gastrin値の変動と酸分泌の増減を追求し, 以下の結果をえた. (1) 胃拡張時の血清 gastrin 値はSPV群で迷切後上昇を示し, その他の群で減少した. (2) histamine 刺激で酸分泌は各群とも迷切後やや低下した. (3)食餌刺激の血清 gastrin と酸分泌は各群とも迷切後上昇した. (4) insulin 刺激の血清 gastrin 値はSPV,TV群で高く, SV群で軽度上昇し, SAV群で低下した. 酸分泌はSPVのみ亢進し, その他の群で減少した. 以上, 各種迷切後の食餌, insulin 刺激時の血清 gastrin 値と酸分泌の増減には相関がみられなかつた.
  • 徳武 光貴, 斉藤 洋一, 松野 正紀, 本田 毅彦
    1976 年 73 巻 5 号 p. 513-524
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    高張糖, アミノ酸溶液投与時における膵外分泌の変化とその抑制機序を解明する目的で, 胃瘻および膵瘻を作成した雑種成犬を用い, セクレチン, パンクレオザイミン刺激下に20%糖液, 30%糖液, 12%アミノ酸溶液を静脈内に投与し, 膵内分泌および膵外分泌の変動を観察した. 膵液量, アミラーゼ排出量は投与前に比較して20%糖液注入によりそれぞれ23%, 11%. 30%糖液によりそれぞれ32%, 29%, 12%アミノ酸溶液ではそれぞれ53%, 42%の最大抑制がみられた. 重炭酸塩濃度はいずれも有意の変動はみられなかつた. また糖液注入では血糖値およびIRIの上昇が大きいほど膵外分泌の抑制効果は大きかつたが, 最大の抑制効果のあつたアミノ酸溶液では, IRI, IRGの上昇が著明であつた. さらにグルカゴン負荷時には著明な膵外分泌抑制がみられた.
  • (第I編) D-xylose 吸収試験における負荷量の問題
    衣笠 勝彦, 加嶋 敬, 馬場 忠雄, 日高 硬, 中川 雅夫, 安芸 宏信, 中条 忍, 細田 四郎
    1976 年 73 巻 5 号 p. 525-529
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    糖質の吸収試験である D-xylose 吸収試験における D-xylose の負荷量はこれまで慣例的に5gと25gが用いられている. この負荷量の問題を臨床的に再検討したところ, D-xylose 尿中排泄量は25g負荷で最大となり, それ以上負荷量を増大しても増加が認められなかつた. すなわち D-xylose 吸収試験の負荷量としては D-xylose が最大に吸収される腸管濃度に到達する25gが腸管の吸収状態をもつとも良く反映すると考えられる.
  • (第II編) D-xylose 吸収試験に対する加令の影響
    衣笠 勝彦, 加嶋 敬, 馬場 忠雄, 日高 硬, 中川 雅夫, 安芸 宏信, 中条 忍, 細田 四郎
    1976 年 73 巻 5 号 p. 530-535
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    D-xylose 吸収試験の尿中排泄量 (または率) は加齢とともに低下することが知られている. この低下の原因が加齢による腸管吸収の低下によるのか, 腎機能の低下によるのかは論争のあるところである. 著者らはラット空腸の everted sac を用いた in vitro の実験, 全年齢層にわたる44名の被検者に対する D-xylose 吸収試験, 老年者に対する creatinine clearance, さらに D-xylose 5g静注補正による腸管吸収率の算定などから, 本邦における D-xylose 吸収試験の年齢を加味した正常値を提唱するとともに, 加齢による D-xyloes 尿中排泄量 (率) の低下が腸管吸収の変化に原因するものではなく, 腎機能おもに糸球体濾過量の低下によることを明らかにした.
  • 浅香 正博, 長瀬 清, 山 英昭, 小林 紀夫, 松塚 信雄, 斉藤 博義, 鈴木 寛一, 白石 忠雄
    1976 年 73 巻 5 号 p. 536-543
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ICGの血中における存在様式について種々の分析方法を用いて検討を加えた. ICG添加血清につき澱粉ブロック電気泳動を行なうと, アルブミン (Al) 分画に一致してICGの大ピークがみられ, 他にβグロブリン (β-Gl) 分画にも小ピークがみられた. これらのピーク部分を Sephadex G-200を用いてゲル濾過し,免疫電気泳動により結合蛋白を検索すると大ピーク部分は主としてα1リポプロテイン (α1-Lp), 小ピーク部分はβリポプロテイン (β-Lp) であつた. 又等電点分画法を用いて行なつた検索でも同様の結果が得られた. 以上より, ICGはα1-Lp, β-Lpと多く結合し, Alとの結合は少なく又親和性も弱いものと考えられた.
  • 横田 ユキ子, 丸山 正隆, 田宮 誠, 渡辺 伸一郎, 久満 董樹, 林 直諒, 小幡 裕, 竹本 忠良
    1976 年 73 巻 5 号 p. 544-553
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    われわれは, 1968年1月1日より1973年12月31日までの6年間に東京女子医大消化器病センターに入院し, 腹腔鏡, 肝生検, あるいは剖検で肝硬変症と診断され, さらに上部消化管内視鏡検査を行つた91症例について消化性潰瘍の合併について検討を行つた. 肝硬変症例91例中消化性潰瘍を合併したのは13例14.3%で, 消化管出血を来たしたものは25例28.6%, このうち静脈瘤破綻出血20例80%, 消化性潰瘍5例20%であつた. また, 消化性潰瘍成因と考えられる胃液酸度, 血中ガストリンレベル, 門脈圧亢進程度について検討したが, 明らかな関係は見られず, 肝硬変症と消化性潰瘍の消長の経過の上でも関係は明らかでなかつた.
  • 日下部 篤彦, 郷治 広達, 船山 瑛, 原 建樹, 山脇 忠晴, 黒川 晋, 加藤 陽一郎, 稲垣 孝雄, 伊藤 庄三, 奥山 澄彦, 坂 ...
    1976 年 73 巻 5 号 p. 554-560
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 植田 昌敏, 大橋 淑人, 小林 道男, 藤井 信, 武田 和久
    1976 年 73 巻 5 号 p. 561-567
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男, 嘔吐, 体重減少を主訴として入院, 入院中腸閉塞を併発して開腹術をうけ, 術後診断は結腸癌, 組織診断は未分化腺癌であつた. 血清, 尿中アミラーゼは全経過を通じて異常高活性を持続し, 手術時採取した大網上の転移癌組織中アミラーゼ活性は血清, 腹水中のそれに比して10倍以上の高活性を認め, さらにイオン交換カラム法によるアミラーゼ•アイソザイムは唾液アミラーゼに一致していた. 癌細胞の電顕像では zymogen 様顆粒は認めなかつたが, 腫瘍細胞は互に接着し,小胞巣形成の傾向があり未分化な腺癌と考えられた. 以上の検討から本症例における高アミラーゼ血•尿症は腫瘍由来と考えられた.
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