日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
102 巻, 3 号
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総説
  • 幕内 雅敏, 菅原 寧彦
    2005 年 102 巻 3 号 p. 285-288
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対する肝移植では,腫瘍数,腫瘍最大径,血管浸潤の有無が予後を決定する.欧米における脳死肝移植では,ミラノ基準を満たすものを概ね適応としている.本邦での脳死肝移植でも同様の基準であるが,脳死ドナーが少ない状況が続いており,脳死肝移植は治療手段としては限定的な役割にとどまっている.一方,生体肝移植は,本邦では2003年12月まで,2669症例が施行されている.そのうち316例は肝細胞癌症例を対象としたものであった.これらの症例の1年,3年生存率は,それぞれ,78%,69%となっている.2004年1月より肝細胞癌でもミラノ基準を満たすものであれば生体肝移植が保険適応となり,今後はますます症例数が増加していくことが予想される.
今月のテーマ:自己免疫性膵炎のトピックス
  • 神澤 輝実
    2005 年 102 巻 3 号 p. 289-295
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は高頻度に膵外病変を認める.胆管狭窄は90%の症例にみられ,多くは下部胆管であるが,上部胆管や肝内胆管に狭窄を呈した症例では原発性硬化性胆管炎との鑑別が困難である.唾液腺腫大や唾液腺機能低下例では,シェーグレン症候群の合併として報告されることが多い.その他の合併病変としては,後腹膜線維症,リンパ節腫大,閉塞性静脈炎,門脈閉塞,肝炎症性偽腫瘍,胆嚢壁肥厚,胃潰瘍,十二指腸乳頭部腫大,間質性腎炎,間質性肺炎,免疫性血小板減少症,味覚障害,嗅覚障害,涙腺腫大,甲状腺機能低下症などが報告されている.これらの合併病変の多くはステロイドが著効し,各臓器は膵病変と類似した病理組織像を呈し,さらに本症に特異的な多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた.
  • 川 茂幸, 浜野 英明, 越知 泰英, 新倉 則和, 小松 健一, 村木 崇
    2005 年 102 巻 3 号 p. 296-302
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は当初,特異な膵管像を呈する膵炎として報告され,臨床像の検討より免疫学的機序の関与が推測された.本邦を中心に報告例が集積し,臨床像の詳細が明らかとなってきた.本症の大きな特徴は,病態にIgG4という特殊なIgGサブクラスが関与していることである.約90%の症例で血症IgG4値の上昇を認め,関連する他疾患ではほとんど上昇を認めず,特異性に優れ,診断に有用である.特に膵癌との鑑別に有用である.IgG4はまた疾患活動性を反映しており,病態の把握にも有用である.本症のもう一つの特徴として多彩な膵外病変の合併がある.IgG4免疫染色などの病理学的検討により,これらの膵外病変も膵病変と同様の病態が背景に存在することが明らかになってきた.
原著
症例報告
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