胆道系疾患に経皮的胆管造影を行なう際得られた胆汁及び留置カテーテルにより得られた胆汁について, 薄層クロマトグラフイーによる胆汁酸の分析を行ない, 臨床的事項と比較検討し胆道手術例における胆汁酸の意義について考察した.胆嚢胆汁についてみると, 胆嚢の炎症の程度により, G/T比の減少を認めた.肝胆汁についてみると, 肝障害の高度なものは, 軽度なものにくらべG/T比の減少を示した.胆嚢剔出後総胆管ドレナージを施行した症例について, 術後2週間G/T比を求めた所, 三つの型に分けられた.胆汁酸組成の推移の経過良好なI型と, 不良なIII型の間に特異な差を認めた.その中間型のII型も認められ, 以上三つの型につき種々検討を加えた.I型は肝障害の軽度なものが多いが, II型, III型では高度なものが多く認められた.またその遠隔成績をみると, I型のものは治癒が多く, II型, III型は軽快ないし未治のものが多く認められた.最後に, 術後初期にはIII型を示していたが, カテーテルを長期間留置する事により, 胆汁酸組成の改善を認めた症例を示す.
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