日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
114 巻 , 12 号
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総説
  • 下瀬川 徹
    2017 年 114 巻 12 号 p. 2089-2096
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2017/12/05
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    「慢性膵炎臨床診断基準2009」は,世界に先駆けて早期慢性膵炎の診断基準を提案した.国内外で早期慢性膵炎の病態,診断,治療について議論が活発化している.2016年に慢性膵炎の新しい定義“new mechanistic definition”が提唱され,その概念的モデルで早期慢性膵炎は「再発性急性膵炎」と「確実な慢性膵炎」の間に位置づけられ,緩解しうる病態と捉えられている.しかし,精度の高い診断のためには,感度・特異度に優れる新たなバイオマーカーや画像診断技術の開発が必須である.慢性膵炎の早期診断と早期の治療介入は膵癌の合併を予防し,患者予後の改善につながることが期待される.早期慢性膵炎をめぐる現状と課題ならびに展望について述べた.

今月のテーマ:慢性膵炎診療 最近の進歩
  • 入澤 篤志, 佐藤 愛, 山部 茜子
    2017 年 114 巻 12 号 p. 2097-2107
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2017/12/05
    ジャーナル フリー

    現在の本邦における診断基準では,慢性膵炎は,慢性膵炎確診・準確診・早期慢性膵炎・慢性膵炎疑診の4病態に分類されている.実臨床においては,いずれも臨床徴候と画像診断の組み合わせで診断は比較的容易に可能であるが,慢性膵炎という疾患を念頭に置いて診療を進めなければ,確定診断に至ることが難しいことも少なくない.この観点から,精査のステージに上げるための臨床徴候や病歴を十分に理解しておくことは極めて重要である.また,本邦が世界に先駆けて提唱した早期慢性膵炎診断基準では画像診断として超音波内視鏡(EUS)の役割が大きいが,より正確な診断を行うためには,各EUS所見の理解とともに,慢性膵炎に影響を与える可能性のある臨床像(飲酒,喫煙,急性膵炎の既往など)を把握し,総合的に判断する必要がある.一方で,近年では早期診断におけるEUS-elastographyによる膵硬度測定やセクレチン負荷MRIなどの有用性も報告されており,慢性膵炎早期診断の幅は確実に広がりをみせている.

  • 乾 和郎, 山本 智支, 三好 広尚
    2017 年 114 巻 12 号 p. 2108-2117
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2017/12/05
    ジャーナル フリー

    疼痛を有する慢性膵炎の内科治療,特に内視鏡治療の有用性を述べた.ESWL併用による内視鏡治療の結石消失率は76~88%と高く,症状緩和率も93~100%と高い.膵管ステントは疼痛の改善率74~94%と報告され,ESWLによる排石促進にも有用である.plastic stentが主に使用されるが,最近metallic stentの有用性が報告されている.仮性囊胞に対する内視鏡治療は主膵管との交通の有無で経消化管的か経乳頭的に行い,成功率90%前後,有効率58~88%と報告されている.慢性膵炎に対する内科治療は安全に行えるが,まだ多くの課題が残っており,さらに症例を蓄積して克服していく必要がある.

  • 石田 晶玄, 元井 冬彦, 海野 倫明
    2017 年 114 巻 12 号 p. 2118-2124
    発行日: 2017/12/05
    公開日: 2017/12/05
    ジャーナル フリー

    慢性膵炎にともなう疼痛や膵囊胞・膿瘍,狭窄症状などに対しては内服治療,内視鏡的治療が選択されるが,コントロール困難な場合や,悪性腫瘍の合併を疑う場合は手術の適応となる.慢性膵炎の外科治療は,神経切離術,膵管ドレナージ術,膵切除術の3つに大別される.神経切離術は軽度~中等度の疼痛症例に適応があるが,範囲は限られている.膵管ドレナージ術は主膵管拡張症例によい適応であり,膵切除術は病変が局在している場合に有効である.それぞれのメリット・デメリットを勘案し,術式を決定すべきである.当科では両者のメリットを合わせ持つFreyの手術を第一選択としており,適宜工夫を加えながら,数多くの症例に施行している.

症例報告
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