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榊原 映枝, 金子 栄蔵, 熊谷 純一, 伊藤 剛, 大井 成子
1990 年 87 巻 4 号 p.
951-956
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
H
2ブロッカー投与3カ月で治癒に至らないH
2ブロッカー抵抗性十二指腸潰瘍 (難治群) と, 治癒した非抵抗性潰瘍 (易治群) の病態生理の違いを, 迷走神経刺激の胃酸分泌の面, とくに迷走神経の酸分泌における抑制作用の有無を見る目的で, ガストリン刺激に modified sham-feeding (MSF) を加えて検討した. ガストリン4μg/kg/hrを1時間投与した後ガストリン持続投与のまま chew and spit によるMSFを加えた. その結果難治群 (8例) ではMSFを加えた時さらに有意な酸分泌亢進があり, コントロールに較べても有意に高い酸分泌量を示した. これに対し易治群 (6例) では有意な抑制がみられた. 以上の成績から難治群は易治群に比べ迷走神経の被刺激性が亢進している可能性が強く示唆され, 迷走神経の酸分泌抑制系における破綻が推測された.
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胃底腺ポリープおよび正常例との比較
吉田 行哉, 橋本 光代, 山田 直行, 早川 和雄, 福地 創太郎, 澤野 眞二
1990 年 87 巻 4 号 p.
957-964
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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同一十二指腸潰瘍例 (UD) の活動期と治癒期における胃粘膜内 immunoreactive gastrin (IRG), immunoreactive somato statin (IRS) 含量を同一胃生検組織より測定し, 胃底腺ポリープおよび萎縮の軽度な内視鏡的正常者と比較した. UDの幽門腺および胃底腺IRSは他2群よりも有意の低値を示し, 活動期と治癒期の間で変動はみられなかつた. 幽門腺IRGとIRSの間に各群で正の相関を認めたが, UD, 特に活動期では, 他2群に比しIRGに対するIRSの相対的低下が顕著であつた.
UDと類似した背景胃粘膜と酸分泌能を持つ胃底腺ポリープでは, 正常例と同様に, ソマトスタチンがガストリンや酸の分泌を調節していると考えられた. これに対し, UDではソマトスタチン分泌の低下があり, 特に活動期では, ガストリンや酸の分泌を十分に調節できないものと考えられた.
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落合 匠
1990 年 87 巻 4 号 p.
965-972
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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雑種成犬を対象に, 慢性的に拘禁状態下に置く方法でストレスを負荷し, ストレスの大腸におよぼす影響について, 経時的X線撮影と strain gauge force transducer 法をもちいて検討した. ストレス負荷直後には大腸運動の亢進が認められたが, 負荷が2週間をこえると大腸の運動は低下した. この際, 右側結腸運動障害を呈したもの全例に下痢が認められたが, 左側結腸運動障害のみを呈したものには下痢は認められなかつた. また, 本実験において消化管に器質的病変は認められず, 機能異常のみが認められ, さらに下痢が生じたことにより, 本実験法は下痢の発生機序ならびに過敏性腸症候群 (IBS)の病態解明に活用できると思われる.
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倉井 修, 仲島 信也, 黒木 哲夫, 新谷 真知子, 西口 修平, 塩見 進, 関 守一, 溝口 靖紘, 小林 絢三, 門奈 丈之
1990 年 87 巻 4 号 p.
973-978
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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125I-標識IFN-αを用いて, 健常人19例, AsC25例, B型慢性肝疾患患者 (CLD) 69例 (CPH 14例, CAH 46例, LC 9例) のPBMCにおけるIFN-α/β receptor sites 数を検討した. PBMCのIFN-α/β receptor sites/cell は, 健常人1,270±340, AsC 1,440±290, CPH 1,770±480, CAH 1,580±490, LC 1,420±410であり, 健常人<AsC<CLDの順に高値を示した. CLDについて検討すると, IFN-α/β receptor sites 数は, CPH, CAHに比べてLCで低い傾向にあり, HBe抗原値およびHBV-DNA polymerase 活性との間には正の相関関係を認めた. PBMCのIFN-α/β receptor sites 数は, HBV持続感染状態で健常人に比して高値を示し, ウイルス量との関連が示唆された.
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超音波ドプラ法を用いた, 術前•術中•術後の門脈血流量の定量的検討
川崎 俊彦, 森安 史典, 木村 達, 染田 仁, 玉田 尚, 山下 幸孝, 小野 成樹, 梶村 幸三, 濱戸 教行, 内野 治人, 福田 ...
1990 年 87 巻 4 号 p.
979-988
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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超音波ドプラ法を用いて, 肝切除術前後の門脈血行動態の変化を検討した. 術中の門脈血流量は, 全体の平均では有意な変化を認めなかつたが, 大量切除症例では肝切除後に有意に低下し, その他の症例では増加傾向にあつた. 術中の心拍出量に占める門脈血流量の割合の変化をみると, 全体として有意に低下しており, 特に中等量以上切除症例, 肝硬変合併症例, 術後経過良好症例において, その傾向が顕著であつた. 術第10~12病日の測定では, 術後経過不良症例では門脈血流量が術前値に比べ有意に低下していたが, 他の症例では有意な変化を認めなかつた. 以上より, 術中•術後に門脈血行動態を超音波ドプラ法でモニターする事の重要性が示された.
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湯浅 圭一朗, 新井 孝之, 山田 昇司
1990 年 87 巻 4 号 p.
989-996
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌と lipopolysaccharide (LPS) をマウスに静注すると, 肝に好中球系細胞とマクロファージ系細胞を主体とした細胞浸潤が認められ, 肝細胞壊死が出現する. この急性肝障害モデルにおける脾内増生細胞を組織化学的に検討すると, P. acnes 投与後早期から赤脾髄に好中球系細胞とマクロファージ系細胞が増加し始めた. また, Bromodeoxyuridine を核内に取り込む細胞は P. acnes 投与5日後に最も多くみられた. 以上より, P. acnes 投与後, 脾において細胞分裂を行い, 増生するのは主に好中球系細胞とマクロファージ系細胞であり, P. acnes とLPS投与後, 肝に浸潤する細胞と同系統であることが示された.
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山本 佳洋, 瀬在 秀一, 桜林 真, 吉浦 健太, 讃井 慎一, 森田 敏和, 清水 敏朗, 吉野 克正, 岩瀬 透, 平野 正憲, 岡 ...
1990 年 87 巻 4 号 p.
997-1002
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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肝硬変症例の経皮経肝門脈造影施行時, 門脈循環血中エンドトキシン (ETX) を Toxicolor 法で測定し, 末血中ETX血症出現の機序を検討した. 門脈循環内ETX値は, 上腸間膜静脈が最も高値であつた. また, ETX血症出現頻度は, 上腸間膜静脈が高率(78%)であり, 門脈本幹(50%)と末血(55%)はほぼ同率であつた. 門脈本幹ETX値と肝静脈ETX値の差で, 肝ETX貪食能を評価したが, ETX貪食能と肝硬変重症度は関連が少なかつた. 一方, 肝外門脈短絡路の違いから, 食道静脈瘤を主体とする群 (I群) と, 主体としない群 (II群) の比較では, (II群) で有意にETX値が高値を示し, ETX血症が高率に出現した. そのため, 末血中ETX血症出現には門脈血行動態が重要な因子であることが示唆された.
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田中 栄司, 清沢 研道, 袖山 健, 中野 善之, 清水 聡, 関 健, 古田 精市, 亀子 光明
1990 年 87 巻 4 号 p.
1003-1009
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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長期経過観察した非A非B型輸血後肝炎例につきHCV抗体を測定しその経時的変化と予後との関連を検討した. 肝炎発症後1年以内に血清 transaminase 値が正常化した症例は, HCV抗体陰性例では6例中5例 (83.3%) であつたのに対し, HCV抗体陽性例では14例中2例 (14.3%) であり, 陽性例で有意に慢性化率が高かつた. HCV抗体陽性の輸血後肝炎例のうち発症1年以降の経過中HCV抗体が陰性化した症例は肝炎の鎮静化する症例が多く (7例中6例, 85.7%), これに対しHCV抗体が持続陽性であつた7例では全例が鎮静化せず, 陰性化例で有意に予後良好であつた. 発症後1年目の時点でのHCV抗体価の測定では陰性化例で有意に低力価であり予後予測に有用であつた.
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三上 直登, 江原 正明, 吉川 正治, 大藤 正雄
1990 年 87 巻 4 号 p.
1010-1019
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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経過を観察した肝硬変症90例を, 肝実質の低エコー結節所見にもとづいて肝細胞癌発生状況を明らかにした. 肝実質に低エコー結節を有さない無結節群に比較して, 低エコー結節を有する有結節群にて累積癌発生率が有意に高かつた. また, 癌発生は, 無結節群において男性例に, 有結節群において高齢ないしは高度肝障害の例に高率であつた. なお, 癌発生をAFPの変動推移から早期に診断することは困難であつた. 癌発生の危険因子を多変量解析を用いて検討したところ, 肝実質エコー所見が癌発生との高い関連性を示した.
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特に肝動脈動注例での血清•組織学的検討
谷脇 智
1990 年 87 巻 4 号 p.
1020-1027
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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原発性肝癌の周術期における免疫能低下を予防する目的で, 術前•術後にOK-432を投与した. OK-432投与群では, 非投与群に比較し末梢免疫パラメーターの推移において, SuPS皮内反応, リンパ球数, NK活性, Leu11で優位に推移し得た. また, 腫瘍局所ではOK-432を肝動脈より動注した群9例中5例に腫瘍境界部から内部にまで及ぶ明らかなリンパ球浸潤を認めた. さらに担癌側肝動脈より動注した症例では, リンパ濾胞の形成, 癌胞巣の切り崩し現象を認め得た. 以上の末梢免疫パラメーターの推移, 及び病理組織学的所見の両面より, OK-432の投与, 特に動注投与は, 集学的治療の一環として有用と思われた.
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上野 規男, 山中 桓夫, 木村 健
1990 年 87 巻 4 号 p.
1028-1033
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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食道静脈瘤を有する肝疾患27例に propranolol を長期間(1カ月~46カ月)投与し, 薬物血中濃度を測定するとともに, 門脈圧, 門脈血流量, 肝機能検査値の推移および内視鏡的食道静脈瘤所見の変化について検討した結果, 以下の結論を得た.
(1) Propranolol の長期投与により, 門脈圧の下降が12例中8例(75%)に, 門脈血流量の減少が13例中12例 (92.3%) に, 食道静脈瘤の内視鏡的所見の改善が27例中17例 (63%) に得られた.
(2) Propranolol の投与量と血中濃度は必ずしも相関を示さず, かつ効果発現の血中濃度も個々の症例により差異が認められた.
(3) Propranolol 長期投与による食道静脈瘤の治療には, 主に門脈血行動態および内視鏡的食道静脈瘤所見の定期的な経過観察が不可欠と考えられた.
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膵還流モデルによる検討
平野 鉄也, 真辺 忠夫, 安東 勝宏, 吉村 高士, 戸部 隆吉
1990 年 87 巻 4 号 p.
1034-1039
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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肝切除後早期の膵局所における膵内分泌系の機能を解明する目的でラットによる約70%肝切除後4日目, および7日目に膵還流系モデルを用いてグルコース負荷に対するインスリンの分泌反応を観察した. 肝切除後のグルコース負荷に対するインスリン分泌量は4日目には正常群, sham-operation 群に比べ有意に増加した. 7日目には基礎分泌量も増加し, グルコース負荷に対する分泌量はより一層増加した. これらの結果は肝切除後早期における膵ラ氏島の形態学的変化とも一致し, この時期における糖代謝の亢進を示唆し, 膵ラ氏島B細胞の糖負荷に対する感受性が増加していることを示し, インスリンが直接的, 間接的に, 肝再生に重要な役割を演じていると考えられた.
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西森 功, 山本 泰朗, 岡崎 和一, 森田 雅範, 山本 泰猛
1990 年 87 巻 4 号 p.
1040-1049
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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外分泌腺導管上皮を認識するモノクローナル抗体 (SP3-1, IgM) を用い膵抗原 (PA3) を部分精製し, 慢性膵炎, Sjögren 症候群 (SjS) 等における特異的免疫応答を検索した. 細胞性免疫応答はPA3を添加抗原とした末梢血リンパ球幼若化反応により, 液性免疫応答はPA3に対する血中抗体を Radioimmunoassay 法により検索した. その結果, 細胞性, 液性免疫応答の陽性率 (%) は, 各々健常人: 0, 0, 特発性慢性膵炎 (ICP): 25, 27, アルコール性慢性膵炎: 25, 14, 胆石随伴性慢性膵炎: 0, 0, SjS: 67, 27, 原発性胆汁性肝硬変: 13, 17, SLE: 33, 25, 慢性甲状腺炎: 0, 0であり, ICPおよびSjSで高値例が多く認められた. 血中抗体の主要対応抗原の分子量は60kDaで, SS-A, SS-B等の既知の自己抗体とは相関が認められなかつた. 以上の成績よりICP, SjSにおいて本抗原に対する特異的免疫応答が明らかとなり, 両疾患の診断あるいは病態解明の一助になりうると考えられた.
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仲田 文造, 鄭 容錫, 横松 秀明, 田中 肇, 澤田 鉄二, 西脇 英樹, 佐竹 克介, 梅山 馨, 関 守一
1990 年 87 巻 4 号 p.
1050-1055
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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新しく開発された膵癌関連SPan-1抗原測定用キットを用いて, 肝•胆•膵疾患における血中SPan-1抗原発現の臨床的意義を検討した. 膵癌, 胆嚢癌, 肝細胞癌, 胆管癌の陽性率は90.9%, 77.8%, 60.7%, 60.0%と高かつた. SPan-1抗原と総ビリルビン値との間にはほとんど相関を認めなかつた. 肝細胞癌を含め肝疾患で血中SPan-1抗原値の陽性率がやや高いが, ほとんどが100U/ml以下の軽度高値であり, 上昇の機序は胆管上皮細胞よりの逸脱が考えられた. これら肝疾患で軽度上昇することを念頭におき臨床での診断に応用することが重要と思われた.
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高橋 和弘, 藤本 一眞, 岡村 孝, 石橋 大海, 柏木 征三郎, 隅田 〓男
1990 年 87 巻 4 号 p.
1056-1060
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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千葉 満郎, 後藤 隆, 大山 幸子, 正宗 研
1990 年 87 巻 4 号 p.
1061-1066
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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本邦報告例真性腸石13例の文献的考察を加えて
高橋 稔, 幸田 久平, 中澤 修, 松下 元夫, 安藤 政克, 寺田 省樹, 呉 禎吉, 潘 紀良, 新津 洋司郎
1990 年 87 巻 4 号 p.
1067-1073
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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月岡 恵, 鈴木 雄, 森 茂紀, 藤田 一隆, 佐藤 明, 何 汝朝, 市井 吉三郎, 木村 明, 笹川 力, 山本 睦生
1990 年 87 巻 4 号 p.
1074-1077
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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穿刺液中腫瘍マーカー測定の有用性について
北尾 優子, 関 寿人, 久保田 佳嗣, 野中 恒幸, 立岩 二朗, 水野 孝子, 塩崎 安子, 鮫島 美子
1990 年 87 巻 4 号 p.
1078-1082
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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木村 保則, 中尾 昭公, 加藤 秀幸, 滝 茂実, 田村 弘志, 田中 重則, 高木 弘
1990 年 87 巻 4 号 p.
1083
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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山崎 国男, 斉藤 清二, 元尾 南洋, 田口 恭仁子, 西村 信行, 井上 恭一, 渡辺 明治, 佐々木 博
1990 年 87 巻 4 号 p.
1084
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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