日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
105 巻 , 8 号
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総説
  • 木原 康之, 大槻 眞
    2008 年 105 巻 8 号 p. 1157-1165
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    重症急性膵炎は良性疾患でありながら,致命率は9.0%で予後不良な疾患であることから,重症化機序の解明が重要である.急性膵炎の発症と重症化には宿主側要因と環境要因がある.宿主側要因としては膵酵素や免疫能に関連する種々の遺伝子異常や肥満などがあり,環境要因としては急性膵炎の的確な診断と重症度判定,さらに適切な初期治療などが挙げられる.急性膵炎の救命率を改善するために2008年4月に急性膵炎診断基準および重症度判定基準が改訂された.
今月のテーマ:急性膵炎重症度判定基準の改訂をめぐって
  • 片岡 慶正
    2008 年 105 巻 8 号 p. 1166-1173
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    2008年厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班においてより簡便で,明快かつ客観的な急性膵炎重症度判定基準が新たに改訂された.重症急性膵炎の救命率を向上させるためには,発症早期の的確な重症度評価が最重要であり,9項目の予後判定因子と造影CT所見から重症度判定が可能となった.臨床徴候と動脈血採血を含めた血液検査から成る予後因子9項目中2点以下を軽症,3点以上を重症とする.一方,炎症の膵外進展度と膵造影不良域の組み合わせ評価から成る造影CT Gradeを独立させ,造影CT Grade≥2であれば単独でも重症と判定できる.この新たな改訂基準により,いつでも,どこでも正確な重症度判定が可能となり,発症早期の重症例の検出とその後の高次医療施設への搬送を含めた適切な治療法の選択へと繋がり,救急医療を含めた診療現場で機動力を発揮するとともに,さらなる救命率の向上が期待される.
  • 竹山 宜典
    2008 年 105 巻 8 号 p. 1174-1177
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    現行の急性膵炎重症度判定基準は,策定から10年が経過し,治療成績の向上や,スコアリングシステムの複雑性から,改定の必要性が求められ,2004年から改定作業が進められてきた.その結果,このたび最終改定案が発表され,近く実施の運びとなっている.新しい重症度判定基準(案)では,重症症例がこれまでの約半数に絞り込まれ,より重症な患者群となっている.一方,これまで重症として,搬送や抗菌薬予防投与などの対象となってきた患者群が,軽症として取り扱われることとなる.動注療法の適応の変化や,感染性合併症の頻度など,今回の重症度判定基準(案)の適応後の,臨床像の変化に今後注目してゆく必要がある.
  • 武田 和憲
    2008 年 105 巻 8 号 p. 1178-1185
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    今回,重症度判定基準が大幅に改訂され,CT Gradeは単純CTではなく,造影CTによるGrade分類が採用された.また,重症度を判定する上で造影CT Gradeは必須項目ではなく,臨床徴候や血液生化学検査を中心とした予後因子のみでも重症度が判定できる.しかし,重症化が予想される急性膵炎症例では重症度の判定における造影CTの有用性が高く評価されており,可及的に実施すべきものであろう.造影CT Gradeは膵の造影不良域の大きさと炎症の膵外進展度の2つの因子の組み合わせからカテゴリー分類を行うものであるが,これまでの検証では,造影CT Gradeと重症度,死亡率との相関は良好であり,臨床の現場での活用が期待される.
原著
  • 白戸 泉, 中村 真一, 光永 篤, 白鳥 敬子
    2008 年 105 巻 8 号 p. 1186-1192
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/05
    ジャーナル フリー
    膵癌浸潤による門脈や脾静脈の閉塞により門脈圧亢進症をきたすことがある.膵癌における食道胃静脈瘤の内視鏡所見および臨床的特徴を検討した.膵癌診断時に上部消化管内視鏡検査を施行した96例のうち25例(26.0%)で静脈瘤の合併を認め,2例で出血を認めた.静脈瘤形態はF1が多かった.膵癌切除例,非切除例に分けた検討では非切除例に静脈瘤の合併が多く,膵癌の進行度に応じて静脈瘤の合併が多い傾向であった.膵癌占拠部位による静脈瘤の合併頻度は,膵頭部癌では20.6%,膵体尾部癌では36.3%であった.頻度は少ないが膵癌に合併した静脈瘤から突然の出血をきたすこともあり,その管理は大切であると考える.
症例報告
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