膵癌浸潤による門脈や脾静脈の閉塞により門脈圧亢進症をきたすことがある.膵癌における食道胃静脈瘤の内視鏡所見および臨床的特徴を検討した.膵癌診断時に上部消化管内視鏡検査を施行した96例のうち25例(26.0%)で静脈瘤の合併を認め,2例で出血を認めた.静脈瘤形態はF
1が多かった.膵癌切除例,非切除例に分けた検討では非切除例に静脈瘤の合併が多く,膵癌の進行度に応じて静脈瘤の合併が多い傾向であった.膵癌占拠部位による静脈瘤の合併頻度は,膵頭部癌では20.6%,膵体尾部癌では36.3%であった.頻度は少ないが膵癌に合併した静脈瘤から突然の出血をきたすこともあり,その管理は大切であると考える.
抄録全体を表示