日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
73 巻, 6 号
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  • 三木 一正, 鈴木 宏, 丹羽 寛文, 飯野 四郎, 織田 敏次
    1976 年 73 巻 6 号 p. 615-626
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃粘膜の腸上皮化生アルカリフォスファターゼ (ALP) について酵素学的•免疫学的検討を加えた. 消化管各部位の生検•手術材料を用い, Morton 法にて粘膜のALPを抽出し, 比較検討した. ポリアクリルアミドルディスク電気泳動像では, 腸上皮化生ALPは小腸•結腸ALPと同一であり, L-フェニルアラニンイミダゾールに対する感受性や56°C, 65°C耐熱性および phenylphosphate に対するKm値, neuraminidase 感受性などは小腸ALPと一致した. また, double immunodiffusion 法で単一の沈降線を生じ, ヒト小腸ALPのものと fuse し, 抗ヒト小腸ALP抗体と反応後の泳動像でALPの活性帯は消失した. 二抗体法によるradioimmunoassay 法では小腸ALPとじ dose response curve を示し, 間接蛍光抗体法でもALP活性がみられる上皮細胞の刷子縁に蛍光を認めた. 以上より, 胃粘膜の腸上皮化生ALPは小腸ALPと同一の酵素学的ならびに免疫学的性質を示すことを認めた.
  • 第1編 RNA代謝異常について
    古田 智郎
    1976 年 73 巻 6 号 p. 627-637
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝疾患々者の肝生検で得られた肝組織片を, in vitro で3H-5-uridine を含有する培養液中で培養し, 肝疾患肝の病態をRNA代謝の面より autoradiography により検討した. 対照群では肝細胞と星細胞が主に標識され, 他の細胞群は少数のみ標識された. 急性肝炎では対照群よりも血管内皮細胞, 線維細胞に標識数増加を認めた. 慢性肝炎活動型では対照群よりも線維細胞, 胆細管細胞に有意の増加を認め, 急性肝炎や非活動型と比べてリンパ球に標識数増加を認めた. 亜小葉性肝壊死を伴う型では慢性肝炎活動型よりも線維細胞はさらに増加し, リンパ球は減少していた. 肝硬変では, 慢性肝炎よりもさらに胆細管細胞, 線維細胞, 胆管細胞の標識増加を認めた. また, 肝細胞にたいする他の構成細胞の標識の割合を疾患別にみると, 肝疾患の進展に比例して, 他の構成細胞の標識数が増加し, 実質細胞にたいする間質細胞優位の傾向を明確に示した.
  • (第7報) 両側耳下腺管結紮時におけるラット膵の光学顕微鏡的ならびに電子顕微鏡的研究
    柿崎 五郎, 斉藤 隆之, 添野 武彦, 笹原 政美, 仁平 高正, 藤原 慶之, 石館 卓三, 瀬野尾 章
    1976 年 73 巻 6 号 p. 638-648
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラットを用い, 両側耳下腺管結紮後種々の経過時に, 膵および耳下腺の組織学的ならびに細胞学的検索を行なつた. その結果, 組織学的には, 耳下腺管結紮後の耳下腺は萎縮像を示し, 膵においては, 結紮後96時間から2週間にわたり, 腺房細胞配列の乱れなど, 軽度の変化が認められた. また, 細胞学的には, 膵外分泌細胞においては耳下腺管結紮後48時間から5週間にわたり, 粗面小胞体の内腔拡張, 核の heterochromatin の増加, 核縁の不整などの変化が認められ, 他方, β細胞では結紮後96時間から5週間にわたり, 有芯顆粒の電子密度の低下, 膨化像, さらにその限界膜の崩壊, 融合像などが認められた. 以上の所見から, 耳下腺が障害された場合に, 軽度ながら膵に何らかの影響が及ぶことが推察された.
  • 竹内 真人, 相沢 勇, 伊藤 漸
    1976 年 73 巻 6 号 p. 649-658
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    犬の胃体部および前庭部に force transducer を植え込み, 意識下の胃運動を観察した. 日中変動を記録すると, fed state と fasting state に分かれ, fasting state は, basal pattern および hunger contraction に分かれた. 各時期における消化管ホルモンの影響を観察すると, pentagastrin, CCK-PZは, 食後および basalの胃前庭部運動を亢進し, hunger contraction を抑制した. secretin, V.I.P. glucagon は, 食後の運動を抑制したが, basal および hunger contraction には全く変化がなかつた. 空腹時での motilin 投与は, hungercontraction に酷似した運動をひきおこした. これらの消化管ホルモンの影響は, 食後の時期によつて全く異なり, fed state と fasting state の運動は, 全く別の機序で行なわれていると思われる.
  • 湯本 泰弘, 難波 経雄, 田中 義淳, 武田 和久, 太田 康幸, 三谷 健
    1976 年 73 巻 6 号 p. 659-667
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    α-Fetoprotein (AFP) を radioimmunoassay (RIA) 法の開発により, 微量の血清AFP濃度(S-AFP)を検出することが可能となつたので, 肝臓癌診断のためのS-AFP測定の臨床的意義について検討を加えた. 高濃度S-AFP (>1.0×104ng/ml) の稀釈には正常馬血清を使用することにより, 血清中の実際のAFP濃度と測定値は直線関係を示したので, 高濃度S-AFPの稀釈には馬血清を用いた.
    臨床経過を追つて経時的にS-AFPを測定した原発性肝癌49例では, 7.5~9.5×105ng/mlに分布した. このうち37例 (75.5%), 肝炎および肝硬変の157例中1例 (0.64%), と肝転移をもつ胃癌52例中2例 (3.8%)においてS-AFPは2000ng/ml以上に達した. 他の転移性肝癌15例のS-AFPは30ng/ml以下の値を示した.一方, 原発性肝癌49例中12例 (24.5%) のS-AFPは2000ng/ml以下にとどまつた. 臨床経過をおつて経時的にS-AFPを測定し, S-AFPが低値より漸次上昇を続ける症例では肝癌を疑い, 局所診断を行うことによつて, その有用性を実証した.
  • 中島 澄夫, 伊藤 円, 水野 文雄, 中野 浩
    1976 年 73 巻 6 号 p. 668-676
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    急性膵炎の治療に有効と思われる合成蛋白分解酵素阻害剤 ethyl-P-(6-guanidino hexanoyloxy) benzoatemethanesulfonate (FOY) および天然型活性 Chlorophyll-a の作用機構を知るため治療剤投与後の血清α1-antitrypsin, α2-macroglobulin および amylase 値の変動を主体に検討した. FOYの静脈内投与はヒト血清α1-antitrypsin およびα2-macroglobulin 値を有意に増加させ, 急性膵炎の治療に用いて有効であつた. 血清α1-antitrypsin とα2-macroglobulin 値の間に有意の相関関係は認められず, また Chlorophyll-a にはこれらの血中抗 trypsin 性糖蛋白上昇作用を認めなかつた.
  • 原泰 寛, 安部 宗顕, 堀江 昭夫, 大田 満夫, 松村 祐二郎, 若杉 英之, 中山 健二
    1976 年 73 巻 6 号 p. 677-684
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 白木 東洋彦, 谷沢 義弘, 川崎 栄明, 木下 俊昭, 川井 啓市
    1976 年 73 巻 6 号 p. 685-691
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    The advantage and safety of emergency endoscopy have been already reported with so many successful cases. It is said that the influence of upper gastrointestinal endoscopy on the cardiovascular system is only transient and of not serious nature. We, however, think it necessary to publish the present report, since in the present case we have encountered a case where myocardial infarction was caused incidentally at the time of emergency endoscopy.
    The patient was an old man at the age of 67, and admitted to the Department of Gastroenterology, Akashi Muntipal Hospital, on January 13, 1975, 11:00 am., owing to tarry stool and severe anemia (Ht. 18%). The patient had been suffering from rheumatoid arthritis since 14 years ago, but did not receive the medication of adrenocortical hormone before the hospitalization. Hypertention was diagnosed with him 4 years ago, and since half a year ago, he also suffered from slight breast pains, though did not receive then any particular treatment. Four days prior to the admittance to the hospital, he began to feel dull pain at the epigastrium when he was hungry.
    The blood pressure was 110/70mmHg and the pulse, 100/min. in the initial inspection after hospitalization, but the pressure was recovered to 150/88mmHg at 3:20 pm. on the same day after saline and blood transfusion. There fore the emergency endoscopy was started 10 minutes later. Immediately after the commencement of endoscopy, the patient began to feel chest pains of non-specific anginous nature, and the examination was obliged to be suspend therefore without succeeding to find out the source of bleeding.
    The pain lasted for another two days, and ECG taken 24 hours after the endoscopy showed the sign of acute anteroseptal infarction with high values of WBC, ESR, SGOT and LDH. As of 2nd day of treatment, the patient began to have fever, and observing from the frequency of breast pains, changes of various measured values as well as the wave type of ECG, it was presumed that myocardial infarction had been caused incidentally during the course of endoscopy.
  • 池崎 稔, 今西 仁, 西垣 逸郎, 郡 大裕, 近藤 元治, 細川 計明, 奥田 順一, 角水 圭一
    1976 年 73 巻 6 号 p. 692-696
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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