日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
102 巻 , 4 号
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総説
  • 松田 晋哉
    2005 年 102 巻 4 号 p. 413-419
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    平成15年度に特定機能病院を対象に開始された,わが国独自の診断群分類であるDPC(Diagnosis Procedure Combination)に基づく包括評価方式は,中医協における検討を経て,現在,特定機能病院以外の民間病院などにも適用されている.DPCについては,その支払いへの適用に関心が集まっている.しかしながら,DPC導入の本来の目的は単に包括評価への適用ではない.DPCという共通の枠組みを用いて,各病院の臨床および経営の質が比較・評価し,継続的に水準を高めて行くというのが本来の目的である.キーワードは情報の標準化と透明化,そして説明責任である.
今月のテーマ:炎症性腸疾患―診断と治療の現況と将来―
  • 渡辺 憲治, 中村 志郎, 押谷 伸英, 樋口 和秀, 荒川 哲男
    2005 年 102 巻 4 号 p. 420-430
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の診断と治療の現況と将来について述べた.診断では,日常診療での注意点の他,診断困難例に対するクローン病との鑑別やpANCA,サイトメガロウイルス腸炎の診断,術後pouchitisの内視鏡診断の他,関心が高まっているcolitic cancerの内視鏡診断や国内の動向について述べた.治療では,従来からの治療法の注意点や現況について述べた.免疫抑制剤の難治例に対する治療や注腸剤による局所療法の工夫が普及してきており,新しい免疫抑制剤や血球成分除去療法のintensive therapyなど,本邦から世界へ発信できる検討も進んでいる.致死的合併症の回避や長期緩解維持,入院治療の回避など,患者のQOL向上に役立つ診断と治療法の開発が望まれる.
  • 鈴木 康夫
    2005 年 102 巻 4 号 p. 431-441
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    クローン病は未だ病因病態の不明な難治性慢性炎症性腸疾患であり,従来から炎症の抑制を目的にアミノサルチル酸製剤やステロイド製剤,さらには免疫抑制剤が投与されてきた.近年の病態解析の著しい進歩により明らかにされた,病状形成に重要な特異的機序を抑制する新規薬剤である生物学的製剤が次々と開発応用されている.特に抗TNF-α抗体製剤の一つinfliximabが画期的治療成績を示し新たな中心的治療薬として注目されている.今後も同様に強力な新規薬剤の登場が期待されることから,診断技術を駆使して病態を的確に把握しこれら各種治療方法を積極的に運用することが,クローン病患者のQOL向上に寄与すると思われる.
  • 河野 透, 葛西 眞一
    2005 年 102 巻 4 号 p. 442-452
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患の現在の標準的外科治療の原型は四半世紀前にさかのぼる.潰瘍性大腸炎の標準的外科治療は大腸全摘,回腸パウチ肛門(管)吻合である.超音波メスの登場により肛門(管)吻合部の合併症が減少し,シンクロ法の開発により手術時間が短縮された.肛門管直腸粘膜を完全摘出し,肛門吻合するか,一部残した機械吻合がよいのかについては今後の検討課題である.手術適応としては社会的適応患者が増加している.他方,クローン病患者の手術適応に関してはできるだけ慎重にすべきで,術式に関しても腸管温存が主体で,狭窄形成術が推奨されている.クローン病による瘻孔に関してはインフリキシマブの出現で手術適応が変化する可能性があるが,今後の大規模な臨床試験が必要である.
症例報告
  • 佐藤 康史, 高山 哲治, 和賀 永里子, 佐川 保, 岡本 哲郎, 宮西 浩嗣, 佐藤 勉, 瀧本 理修, 佐藤 康裕, 佐藤 よしみ, ...
    2005 年 102 巻 4 号 p. 453-458
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    患者は54歳,女性.便潜血陽性の精査で,最大5 mm程度の大腸ポリープを34個認め生検では腺腫の診断であった.家族歴では,父親が76歳時に約80個の多発性大腸ポリープと進行大腸癌,弟が47歳時に早期大腸癌および約30個の多発性大腸ポリープを指摘されていた.遺伝子検索では,APC遺伝子のexon 4に生殖細胞突然変異を認めた.患者の弟,娘にも同様のAPC遺伝子変異が検出された.以上,臨床的特徴と合わせてAFAPと診断した.本症例では,5 mm大のポリープは内視鏡的に切除し,厳重に経過観察を行っている.
  • 高梨 訓博, 小野寺 義光, 藤井 重之, 西堀 佳樹, 高柳 典弘, 南 伸弥, 古川 孝広, 永島 裕之, 阿部 清一郎, 長岡 康弘, ...
    2005 年 102 巻 4 号 p. 459-465
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.平成12年1月に陰嚢浮腫を主訴として当院受診.その際,下腹部に腫瘤を認め腫瘤摘出術が施行された.腫瘤は皮下組織から筋層にいたるまで腹壁全層に浸潤する強い線維化をともなった脂肪組織を主体とする腫瘍であり,腫瘤内リンパ管に印環細胞癌の浸潤を認めた.上部消化管内視鏡検査にて,胃前庭幽門輪周囲にIIc+III型病変を認め,生検にて印環細胞癌が検出され,以上より胃癌腹壁転移と診断した.
  • 小田 しのぶ, 國弘 真己, 岡本 英一, 堂上 慎也, 田村 徹, 國田 俊郎
    2005 年 102 巻 4 号 p. 466-472
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    今回われわれは魚骨の胃穿通による肝膿瘍の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は38歳,男性.心窩部痛,発熱を主訴に,他院を受診し,腹部超音波検査にて肝膿瘍を指摘され,当院を紹介受診.同日の腹部CT検査で肝S2~3に3 cm大の膿瘍および膿瘍下縁から胃前庭部に接して線状の陰影を認め,上部消化管内視鏡検査では胃角小弯にピンホール様の潰瘍を認めたため,魚骨の胃穿通による肝膿瘍と診断した.抗菌薬点滴投与では効果不十分であったため,左肝動脈へ抗菌薬持続動注を3日間施行後,腹腔鏡下に魚骨を摘出し,良好な経過を得た.魚骨による肝臓への消化管穿通例はまれであり,一般に診断は困難とされているが,本症例では,腹部CT検査,上部消化管内視鏡検査により術前診断が可能であった.
  • 福原 稔之, 三好 明文, 山下 広高, 本田 和男, 小林 展章, 杉田 敦郎
    2005 年 102 巻 4 号 p. 473-478
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,男性.突然発症した心窩部痛を主訴として受診.初診時,炎症反応は軽微で,胆嚢腫大も認めなかったが,翌日になり腹部所見悪化,炎症反応の亢進,胆嚢壁肥厚の増悪が認められ,緊急胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的に,胆嚢壁に循環障害を来したと思われる所見があった.何ら誘因となる病態のない患者に発症し,急速に増悪した急性壊疽性無石胆嚢炎と診断し,注意を要すると考え,文献的考察を加え報告した.
  • 北田 英貴, 一二三 倫郎, 竹熊 与志, 川口 哲, 樋口 大介, 吉永 秀哉, 浦田 孝広, 山根 隆明, 横溝 博, 福田 精二
    2005 年 102 巻 4 号 p. 479-483
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/06
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.繰り返す膵炎の精査目的で受診した.腹部エコーにて膵体尾部が腫大し低エコーを呈し,一部にストロングエコーを認めた.CTでは膵体尾部に著明な石灰化をともなう腫瘤像と尾側の膵管拡張を認めた.ERCPにて膵体部に主膵管の閉塞を認めた.膵炎を繰り返したため膵体尾部切除を施行した.病理組織は著明な石灰化をともなう粘液癌であった.膵石をともなう膵粘液癌はまれで,膵石症と鑑別困難で注意を要するため報告する.
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