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金沢 寛
1980 年 77 巻 9 号 p.
1345-1354
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
著者は,ラットを用いて,水浸拘束stress潰瘍におけるcatecholaminesと交感神経系の役割を研究した.研究方法は,潰瘍面積をUlcer Indexで表わし,脳内および副腎内catecholaminesを測定した.外因性catecholaminesのうちepinepnrineおよびphenylephrineは有意にUlcer Indexを減少した.Surgicalsympathectomyおよびadrenalectomyを行うとUlcer Indexは有意に増加した.一方経時的Ulcer Indexと脳内norepinephrineおよびepinephrine,副腎内epinephrineとは逆相関関係にあつた.またMAO-Iにより脳内catecholaminesの含有量を増加させるとUlcer Indexは減少した.以上よりstress潰瘍においてcatecholaminesおよび交感神経副腎系は,抑制的に作用していることが分った.
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CDCAによる下痢の発生機序の検討
中村 孝司, 大國 篤史, 山中 正己
1980 年 77 巻 9 号 p.
1355-1361
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ケノデオキシコール酸による胆石溶解療法中にみられる下痢の発生機序をさぐる目的で,ハムスター小腸を用いてin vitroでの検討を行つた.
ケノデオキシコール酸1mMで,ハムスター反転小腸のグルコース輸送は抑制され,また粘膜のNa
+-K
+-ATPase活性も著しく低下した.小腸は組織学的には異常をみとめなかつた.
ウルソデオキシコール酸1mMでは,大きな変化を与えなかつた.
これらのことから,Na
+-K
+-ATPase活性低下を介する小腸のグルコース吸収障害が,ケノデオキシコール酸療法時の下痢の原因の一つとなりうることが示唆された.
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高木 康
1980 年 77 巻 9 号 p.
1362-1368
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝炎10例,肝硬変18例,肝癌8例,計36例の慢性肝疾患を対象とし,高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステロール動態について検討した.これら病態ではHDL中のコレステロールは有意(P<0.01)に低下しており,この傾向は肝硬変,肝癌で顕著であつた.さらにHDL中のエステル型コレステロール,およびエステル比はこれら病態の病期および重症度判定に有用であることが明らかとなつた.また,慢性肝疾患時にHDL-コレステロール,およびそのエステル比が異常値を示す頻度は各々57,76%であり,これはICGの88%,LICATの86%とほぼ同等の感度であつた.以上の結果より,HDL中のコレステロール,エステル型コレステロール,およびエステル比を観察することにより,正確なfunctional liver massの推定が可能である.
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南部 勝司, 浪久 利彦, 山城 雄二, 大浜 宏文, 前田 稔, 上田 英雄
1980 年 77 巻 9 号 p.
1369-1377
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
体質性黄疸および体質性ICG排泄異常症で,UDCA経口負荷後の血中消失と内因性胆汁酸の変動をGLCを用いて検討した.DJSの2例と間接型高ビリルビン血症の1例で,UDCA消失曲線に再上昇が認められた.RSの消失曲線は,抛物線状に減衰するものと,比較的健常者に近い消失を示す2つのタイプがみられた.体質性ICG排泄異常症では,ピークを形成した60分以後の消失が遅延していた.UDCAの血中濃度は同一病態でも大きな差があり,また,内因性胆汁酸の変動には一定の傾向がみられなかつた.新たに血中に見出された3β,7β-コラン酸の濃度は,体質性ICG排泄異常症を除いて正常範囲にあり,経時的変動は認められなかつた.
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第1編 血清学的診断
川原 健治郎
1980 年 77 巻 9 号 p.
1378-1389
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
散発性急性ウイルス肝炎122例についてHAVAB Kitを用いA型肝炎の診断につき検討した.発症後早期に初期血清が採取された症例ではHAVAB KitによるA型肝炎の血清診断は容易であつたが,発症後3週以上を経て初期血清が採取された症例では,pair血清間におけるanti-HAV価の上昇の程度が軽度でA型肝炎の診断は困難であつた.この様な症例については,蔗糖密度勾配超遠心法を用い初期血清におけるIgM分画のanti-HAV活性を検出することにより,A型肝炎の診断が可能であつた.これらA型肝炎例では未稀釈,100倍,200倍稀釈のすべてのpair血清間でanti-HAV価の上昇がみられたのに対し,非A型肝炎例ではその上昇が認められなかった.
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大久保 昭行, 岩崎 泰彦, 佐藤 弘, 小坂 樹徳, 十字 猛夫
1980 年 77 巻 9 号 p.
1390-1396
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性活動性肝炎に対する免疫反応修飾療法の効果に影響する因子を検討した.薬剤の効果判定は血清アルブミン,血清GOT, ICG, TTT,γグロブリン等の肝機能によつた.ステロイドまたはステロイドとアザチオプリン併用療法を行つた34例では,有効群(21例)と無効群(13例)の間に,年齢構成,性比,組織学的重篤度,血清γグロブリン値,HBs抗原陽性率のいずれにも差異はなかつた.糖尿病等の合併率にも差異はなかつた.しかし,HLA-Bw54が有効例19例中8例にみられたのに対し,無効例13例中では1例で,両群での頻度に有意差がみられた.レバミゾールをステロイドが有効だつた3例と無効だつた4例を含む12例に投与したところ,4例に有効だつた.ステロイドが有効だつた3例ではレバミゾールが無効だつたのに対し,ステロイド無効の4例中,糖尿病を合併した1例を除く3例に有効だつた.肝炎の慢性化に関与する免疫応答異常は複数であり,免疫修飾剤の使用に当つては,免疫応答異常の種類を明らかにする必要があることが示唆された.
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与芝 真, 三條 健昌, 井上 昇, 堺 隆弘, 岡田 吉博, 織田 敏次, 和田 達雄
1980 年 77 巻 9 号 p.
1397-1402
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
独自に開発した血漿交換装置を使用し,7例の劇症肝炎例に連日約4.8ιの血漿交換を施行し,3例の救命例を得た.死亡例でも生存日数は延長したが,覚醒効果は十分でなく3例は最終的に脳死に陥つた.肝機能のうち合成面と解毒面の指標を経時的に測定すると,プロトロンビン時間をはじめ,合成面の指標の異常はある程度補正されたが,解毒面の指標のうち芳香族アミノ酸のような体内プールの大きい物質は除去し得ない事が明かになつた.以上より,血漿交換療法は,1日4.8ιの血漿を交換する条件下で,肝機能のうち合成面は代償し得るが,解毒面には限界を示すと考えられる.
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第一編 胆道機能異常の研究
浦岡 正義
1980 年 77 巻 9 号 p.
1403-1412
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
短時間間隔で経時的に観察できるように条件設定した胆道シンチグラフィーにより,胆道疾患53例と健常者10例を対象に,胆嚢運動及び胆嚢と胆管末端部での胆汁流出動態の解析を行ない,以下の成績を得た.1)胆嚢流入・収縮形式についてそれぞれ5型および3型のパターン分類を行なつた.2)健常例では胆嚢の流入率と収縮率の間に正の相関を認めたが,胆道機能異常例ではこの関係を認めなかつた.3)健常例では胆嚢とオッディ筋のトーヌス間に正の相関を認めたが,多くのトーヌス異常例でも両者の強い関係がみられた.4)オッディ筋緊張亢進例においてCaerulein刺激後の観察を行なつた結果,胆汁の胆管末端部通過は胆嚢収縮に先行する傾向を認めた.
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第1篇 正常膵のVIPに対する反応
井上 一知, 河野 保, 嶋 廣一, 金 輝次, 鈴木 敵, 戸部 隆吉, 矢島 治明
1980 年 77 巻 9 号 p.
1413-1423
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
犬の正常膵を対象として,まず水素ガスクリアランス式組織血流計により膵の基礎血流量を測定し,次いで交叉熱電対式組織血流計を用いてその測定法について吟味した後,VIPの膵血流及び膵機能に及ぼす影響を観察した.膵の基礎血流量には部位別による差はなく,また交叉熱電対法は再現性と信頼性のある測定法であることが実証された.合成chicken VIPは合成porcine VIPに比較し,ほぼ同じ膵血流増加作用を有したが,血圧降下作用は後者より弱かつた.VIPにより膵液分泌増加,血中インスリン値及び血糖値上昇を認めたが,VIPにより刺激された膵内分泌及び外分泌反応は,VIPにより惹起された膵血流増加反応と密接な関連を持つことが示唆された.
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とくにamylase結合物質の検討ならびにその臨床経過について
藤井 信一郎, 本間 達二, 長田 敦夫, 小口 寿夫, 畑山 喜美枝, 古田 精市, 井内 正彦, 三村 尚, 佐々木 康之
1980 年 77 巻 9 号 p.
1424-1433
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
macroamylase血症4例につき検索を行なつた.IgAとの結合型3例はβ域に異常amylase bandを示し,anti-IgA血清使用によるblocking-test陽性で,Sephadex G-200ゲル濾過で7Sと19Sとの間の高分子amylaseはpHを下げると正常amylaseにもどることより,抗原抗体複合体であることが示された.他の1例はγ域に異常bandを示し,Sephadex G-200ゲル濾過で7S高分子amylaseはpHによる影響を受けず,glycogen-binding amylaseと類似していたが,neuraminidase処理による影響,Con-A chromatographyによる吸着態度は異つており,α2-lipoprotein,Albuminとの結合物であることが示唆された.macroamylase血症は経過中,症例により著しい変動を示したが,その出現機序や病因的意義などについては不明であつた.
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特に膵管上皮の特性と腺房表面の変化について
日高 直昭
1980 年 77 巻 9 号 p.
1434-1443
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
イヌの正常膵管上皮はMowry alcian blue陽性の粘液の被覆層で被われ,これはScott alcian blue陰性,P. A. S. 陽性の表層とScott alcian blue陽性,P. A. S. 陰性の深層との二層構造をもつている.また膵管壁には弾性線維が密に網状に配列している.イヌにPfefferらの十二指腸盲管を作成して急性膵炎を発生させ,経時的に膵管上皮被覆層や膵管壁弾性線維の変化を光顕的に観察し,あわせて電顕的に腺房表面の変化を観察して急性膵炎の初発機序を主として形態学的に検討した.盲管内に感染胆汁を注入した場合に変化が著しくかつ早期から膵管上皮被覆層の消失や弾性線維の破壊,膵管内容の膵実質内流入がみられ,腺房表面では微絨毛の消失が認められ,時間の経過に従つて壊死性膵炎へと進展するのが観察された.
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藤樹 敏雄
1980 年 77 巻 9 号 p.
1444-1453
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
血清と尿中amylase値の測定だけでは膵疾患をはじめ多くの疾患を把握することは困難である.そのために著者はamylaseに関連したparameterを増やし,その診断的価値と臨床的意義について正常人50名と臨床例206名を対象に検討した.血清amylase, Cam, Cam/Ccr,尿中amylase単位時間排泄量,尿中amylase-creatinine濃度比(U-am/cr)は急性膵炎の診断および経過観察には全て有用であり,その中でもU-am/crは最も感受性の高い検査方法であつた.CamとCam/Ccrの上昇は急性膵炎だけに見られる特異的現象ではない.macroamylasemiaではそれらの著明な低下が見られる.amylase isoenzyme分析もしばしば有用であるが,amylase isoenzyme clearanceは多くの疾患で上昇し,その臨床的意義は不明である.
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稲田 章夫, 小坂 進, 山下 正洋, 山本 達, 疋 島巌
1980 年 77 巻 9 号 p.
1454-1459
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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加藤 良一, 武井 朗夫, 西岡 利夫, 杉山 雅, 秋山 隆司, 大和田 恒夫, 関口 利和, 小林 節雄
1980 年 77 巻 9 号 p.
1460-1463
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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久保 保彦, 池田 英雄, 神代 龍吉, 平井 賢治, 阿部 正秀, 谷川 久一
1980 年 77 巻 9 号 p.
1464-1468
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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須田 耕一, 水口 国雄, 松本 道男
1980 年 77 巻 9 号 p.
1469
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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上別府 篤行, 坪内 博仁, 藤崎 邦夫, 田中 景一, 橋本 修治
1980 年 77 巻 9 号 p.
1470
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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土方 康世, 松本 利彦, 河郷 忍, 藤並 滋, 横山 文司, 飯田 都, 松本 淳, 岡崎 俊治, 水野 孝子, 塩崎 安子, 鮫島 美 ...
1980 年 77 巻 9 号 p.
1471
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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松代 隆, 趙 弘実, 長嶋 英幸, 面川 進, 山本 協二, 針生 常郎, 立山 正
1980 年 77 巻 9 号 p.
1472
発行日: 1980/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー