日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
102 巻, 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
総説
  • 沖田 極
    2005 年 102 巻 5 号 p. 537-543
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/14
    ジャーナル フリー
    臨床医である以上,死亡率の高い難病にチャレンジし有効な治療法を開発し救命率の改善に寄与したいという強い願望を持つのは当然である.私自身は若い劇症肝炎患者を救命できなかったことが,その後25年に及ぶ肝再生療法開発に走らせたといえる.2004年度DDW-Japanの際の第46回日本消化器病学会大会の会長講演で,その一端を“再生医学を巡る私の温故創新”というタイトルでお話する機会を与えられた.今回,日本消化器病学会誌編集委員会から総説としてまとめるようにとの指示であるが,若い消化器病研究者の参考となればと思い執筆することにした.
今月のテーマ:消化器疾患と鉄代謝
  • 高後 裕 
    2005 年 102 巻 5 号 p. 544-551
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/14
    ジャーナル フリー
    鉄は,赤血球のヘモグロビン合成,各種細胞内の酸化還元反応,細胞の増殖・アポトーシスなどに関与する重要な金属である.鉄イオンは,2価と3価を行き来するが,その過程でROS(Reactive Oxygen Species)を産生し,特に2価の自由鉄が過剰に存在すると極めて毒性が強く,細胞障害の原因となる.C型慢性肝炎では,肝細胞に鉄過剰蓄積があり,過剰蓄積した鉄を介したフリーラジカルにより肝細胞障害,さらに,DNA障害による発がん過程の進行が示唆されている.C型慢性肝炎に対する瀉血療法は,1994年にはじめてHayashiらが報告し,その後国内外でその有用性が確認されている.瀉血療法は直接的な抗ウイルス効果は認めないが,血清ALT値を有意に改善させ,IFN療法無効例・適応外症例において有効な治療法である.
  • 加藤 淳二
    2005 年 102 巻 5 号 p. 552-558
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/14
    ジャーナル フリー
    鉄はすべての細胞にとって必要不可欠な元素である.通常,鉄は細胞内で蛋白質と結合し毒性を発揮しないようになっているが,病的に増加した場合,遊離鉄イオンが生ずる.鉄イオンはフェントン反応などを介して最も毒性の強い活性酸素種の・OHラジカル産生を促進する.・OHラジカルは酸化的DNA損傷をおこし遺伝子変異(発癌)を誘発することが明らかにされている.鉄過剰を来す代表的疾患としては,ヘモクロマトーシスがあるが,それはさまざまな鉄代謝に関連する遺伝子の異常でおこることが明らかにされている.さらに最近,C型肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎などでも,肝内鉄過剰が病態進展に関わっている可能性が指摘され注目されている.
症例報告
速報
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