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田邊 裕貴, 原 久人, 大坪 力, 三代川 斎之, 佐野 博昭
2005 年 102 巻 5 号 p.
559-563
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は80歳,女性.胃過形成性ポリープの経過観察中,生検組織中に組織異型が指摘された.尿素呼気テストで
Helicobacter pylori陽性のため,除菌療法を施行,1,6,12カ月後の内視鏡検査でポリープの縮小,18カ月後の消失を確認した.生検組織の見直しにて癌化をともなう過形成性ポリープと診断された.その後7年間の経過観察において再発は認めず,除菌療法が有効であったまれな症例を経験した.
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隅田 頼信, 赤星 和也, 松坂 浩史, 久保川 賢, 秋穂 裕唯, 藤丸 竜哉, 村上 純滋, 長家 尚, 中西 和夫, 原田 直彦, 名 ...
2005 年 102 巻 5 号 p.
564-570
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は,58歳男性.主訴は黒色便.小腸X線検査で空腸に頂部に陥凹を有する粘膜下腫瘍を認め,出血源と考え,小腸部分切除術を施行した.手術時の肉眼所見は,表面平滑な腫瘍で病理組織学的には,紡錐形の細胞の索状配列を認め,免疫組織学検査ではCD34,c-kit染色は陽性,SMA,S-100染色は陰性であり,Gastorointestinal stromal tumor,uncommitted typeと診断した.
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瀬戸 信之, 松本 次弘, 寺尾 晃一, 長尾 泰孝, 安藤 貴志, 加藤 治樹, 吉田 憲正, 内藤 裕二, 吉川 敏一
2005 年 102 巻 5 号 p.
571-577
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は30歳,女性.10年前から左側大腸炎型潰瘍性大腸炎であった.難治性にて顆粒球除去療法(G-CAP)を開始した.2回目のG-CAP終了後,左大腿静脈を原発とする両側肺動脈塞栓症を発症した.血栓溶解療法,抗凝固療法で一命を取り留めるも,UCは治療抵抗性で,第69病日全大腸摘出術を施行した.手術時再び下大静脈に血栓形成を認めた.血栓性静脈炎,肺塞栓症の予防には潰瘍性大腸炎のコントロールが重要である.
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佐藤 伸悟, 松永 久幸, 都築 義和, 吉満 信一郎, 田島 一美, 竹林 晃一, 小野寺 大吾, 吉村 昇, 岩井 淳浩, 川口 淳, ...
2005 年 102 巻 5 号 p.
578-582
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は61歳男性.主訴は下痢と腹痛.摂食後に上腹部を中心とした腹痛発作を繰り返していた.上部消化管内視鏡検査で胃十二指腸に多発性潰瘍を認めた.血管造影検査で腹部の主要動脈,特に上腸間膜動脈起始部に動脈硬化性の強い狭窄を認め,同部に対しバルーン拡張術を施行した.術後,胃十二指腸の多発性潰瘍は速やかに改善し,2週間後には常食も摂食可能となった.本症例は腹部主要動脈の慢性的狭窄による虚血性十二指腸炎と考えられた.
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平崎 照士, 谷水 正人, 森脇 俊和, 梶原 猛史, 仁科 智裕, 兵頭 一之介
2005 年 102 巻 5 号 p.
583-588
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は71歳,男性.食欲不振・全身倦怠感を主訴に来院.腹部CTにて肝右葉に5 cm大の腫瘤を認め,上部・下部消化管内視鏡検査でポリポーシスを指摘された.内視鏡的粘膜切除術と超音波ガイド下針生検を施行し胆管細胞癌を合併したCronkhite-Canada症候群(CCS)と診断した.近年CCSに消化器癌を合併した症例の報告が増加しており,CCSにおいては悪性病変の合併の検索が必要であると思われた.
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遠山 卓, 加藤 秀章, 小林 英明, 日下部 篤宣, 藤原 圭, 根本 聴, 林 勝男, 荻野 眞孝, 都築 豊徳
2005 年 102 巻 5 号 p.
589-594
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
ジャーナル
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症例は61歳,女性.入院時アルブミン値は2.28g/d
lであった.イソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),エタンブトール(EB),ピラジナマイド(PZA)による肺結核短期化学療法開始後36日目より,PZAによる薬剤性肝障害を発症した.劇症肝炎亜急性型に至ったが,血漿交換療法,ステロイド静脈内注射,グルカゴン―インスリン療法などを行うことによって治癒し得た.PZAによる重篤な肝障害は高齢者,低アルブミン血症患者,アルコール多飲を有する患者は高危険群と考えられ,また,投与開始から1カ月以降に突然発症する場合があり,危険因子を有する患者に対してPZA投与する場合,厳重な肝機能検査の観察が必要である.
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佐藤 慎一郎, 稲葉 宏次, 小穴 修平, 三浦 雅憲, 近藤 公亮, 滝川 康裕, 鈴木 一幸, 上杉 憲幸, 増田 友之, 久喜 寛之
2005 年 102 巻 5 号 p.
595-599
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
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症例は68歳男性.1996年より無症候性原発性胆汁性肝硬変の診断で通院中であった.2002年10月麻痺性腸閉塞の診断で入院,内科的治療で改善したが同時に四肢,体幹の筋萎縮と四肢の筋力低下を認めたため精査を行った.筋生検でragged-red fiberを認め,ミトコンドリア脳筋症の診断となった.原発性胆汁性肝硬変とミトコンドリア脳筋症の合併は過去に報告はなく極めてまれである.両者の合併に関連性があるかは不明であるが,抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody;AMA)がミトコンドリア脳筋症の発症やその後の経過に影響を与えた可能性は否定できず,AMAの病因論的意義を考える上で興味深い症例と思われた.
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折田 真優, 片倉 芳樹, 小林 美佳, 石井 俊哉, 渡邊 嘉行, 四柳 宏, 鈴木 通博, 伊東 文生
2005 年 102 巻 5 号 p.
600-604
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
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症例は52歳女性.平成16年2月9日から3月12日まで関節リウマチに対しsalazosulfapyridine(SASP)が処方された.投与3週後より感冒様症状,その後全身性紅斑,発熱,頸部リンパ節腫脹,肝障害,末梢血異型リンパ球が出現した.IgG-HHV-6抗体が10倍から2560倍へと上昇し,SASPによるDIHSと診断した.DIHSは急性肝障害の鑑別上重要な疾患であり,報告する.
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齋藤 晃, 島田 紀朋, 新谷 稔, 山根 建樹, 藤瀬 清隆, 小林 正之, 戸田 剛太郎, 鳥海 弥寿雄, 柳沢 暁
2005 年 102 巻 5 号 p.
605-611
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
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症例は30歳,女性.黄疸と右季肋部の腫瘤を自覚し当科受診.貧血および間接型優位の高ビリルビン血症と腹部USにて膵頭部に60 mm大の嚢胞性腫瘤を認め入院.腫瘤はCTにて隔壁が一部造影される低吸収を示したが,ERCPや血管造影の特異的所見や腫瘍マーカーの上昇はなく,確定診断に至らなかった.貧血,黄疸は遺伝性球状赤血球症によるものと診断されたが,腫瘤は幽門輪温存膵頭十二指腸切除にて膵神経鞘腫と診断された.
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菅野 敦, 鈴木 雅貴, 小野寺 博義, 鈴木 真一, 萱場 佳郎, 佐々木 明徳, 加賀谷 浩文, 野口 哲也, 菊地 徹, 三国 潤一, ...
2005 年 102 巻 5 号 p.
612-618
発行日: 2005年
公開日: 2005/06/14
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膵リンパ上皮嚢胞はまれな疾患である.今回膵リンパ上皮嚢胞を2例経験した.症例1は単房性で角質が充満しており,症例2は多房性で内部に角化物は認めず漿液性であった.過去の報告からも膵リンパ上皮嚢胞は多彩な画像を呈すことから,術前の画像診断は困難だが,性別や造影態度,膵管の交通などから鑑別診断の一つにあげることは可能であると考えられた.
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