日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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76 巻, 1 号
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  • 荒井 清一
    1979 年 76 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    瘢痕区域1)の立場から,IIc内潰瘍病変を検討し,癌と関係のない良性潰瘍との相違,IIc内における潰瘍の再発生の様式,潰瘍と癌の因果関係について若干の考察をした.IIc内瘢痕は良性瘢痕に比べてUI-IIの浅い瘢痕が多い.また,UI-IIの瘢痕の存在部位も,IIc内と良性とでは違いがみられた.これらの違いは潰瘍発生の粘膜背景の違いによるものと考えられる.さらに,IIc内潰瘍病変は多発しているものが多く,IIcというビランの存在はUI-IIの浅い潰瘍が発生し易い原因なつていて,癌が潰瘍の発生母地となつていることを示し,その反対ではないと考える.また,IIc内における潰瘍再発生の様式は,良性潰瘍と同様,既存の瘢痕とは違つた部位に発生するであろうと推論した.
  • 第一編:十二指腸球部粘膜を中心に
    前田 淳
    1979 年 76 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    著者は内視鏡的に,十二指腸球部粘膜を観察し,生検材料のDisaccharidase (Maltase, Lactase)活性をガスクロマトグラフィーを用いて測定した.また,内視鏡近接観察,実体顕微鏡観察を行つて絨毛形態とDisaccharidaseとの関係についても検討を加えた.
    (1) Disaccharidase活性は生検材料の重量の影響をうけ,重量の大きいものほど活性が低く,重量の小さいものほど活性が高く測定された.
    (2) 性別,年齢によるDisaccharidase活性の差異はあまりみられなかつた.
    (3) Maltase, Lactase活性とも正常十二指腸球部粘膜において活性が高かつた.Maltase活性は病巣辺縁部で明らかに低かつた.Lactase活性については正常十二指腸球部粘膜よりも病巣辺縁部の方が低かつたが,病巣辺縁部と非病巣部では差はみられなかつた.
    (4) 十二指潰瘍の各Stageにおける活性値の変動をみると,Maltase活性はH2の病巣辺縁部,非病巣部においてともに高かつたが,Lactase活性はStage,部位による差異はなかつた.
    (5) 十二指腸球部粘膜の絨毛形態を実体顕微鏡で観察し,絨毛形態を分類し,その分布をみると,正常十二
    指球部粘膜,病巣辺緑部,非病巣部とも指状絨毛の占める割合が多い.また潰瘍が瘢痕化するほど指状絨毛の比率が45%から62%へと多くなつた.
    (6) 絨毛形態別にDisaccharidase活性をみると,Maltase, Llactase活性は両者とも正常十二指腸球部粘膜の指状絨毛で高く,大葉状,尾根状絨毛では低かつた.
    (7) 十二指腸潰瘍の各StageにおけるMaltase活性はH2とSlの指状絨毛で高く,大葉状,尾根状絨毛では各Stageとも低かつた.
  • とくにその組織発生について
    羽生 丕
    1979 年 76 巻 1 号 p. 23-37
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    切除胃に見出された良性,悪性境界領域の異型上皮巣22症例27病巣について組織学的に検索し,主にその組織発生に関し下記の結論を得た.1) 異型上皮は化生腸上皮への分化傾向を示すものの,成熟完成した腸上皮化生粘膜を発生母地とするとは考え難く,むしろ固有胃腺より腸上皮への化生の,比較的初期の段階で発生した異常な分化と考えられる.2) 異型上皮は粘膜表層部を中心に発生するものと考えられる.3) 連続切片で検索した1例では,異型腺管が新生分岐しつつ増殖し,また隣接腺管同士の吻合する所見が得られ,この異型上皮の腫瘍性性格が示唆された.
  • 井上 善博
    1979 年 76 巻 1 号 p. 38-49
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    蛍光抗体法により組織内CEAの認められるCEA産生胃癌は,組織内CEAの認められないCEA非産生胃癌に比し,腫瘍の大きさは小さく,深達度は浅く,リンパ節転移も少なく,予後は良好であつた.担癌生体の癌に対する反応と考えられる癌腫周辺の結合組織の増殖,マクロフアージの浸潤は,CEA産生型では著明であるが,CEA非産生型では弱く,両者には免疫応答に差があることが示唆された.またCEA産生胃癌の占居部位は胃下部,肉眼的分類型は限局型,組織型は分化型腺癌が多く,また腸上皮化生の発達は良好で,発生母地としては,腸上皮化生に強い関連性を有しているものと考えられた.
  • 笹島 耕二
    1979 年 76 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    腸上皮化生は,ヒト胃癌の発生母地,あるいは一種の前癌状態とも考えられている.そこで,この関係を明かにするために,実験的に腸上皮化生の作成を試みた.N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)の同族体で発癌性の弱いN-プロピル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(PNNG)を経口的に雄ウィスター•ラットに投与した.PNNGは59.5μ9/mlの濃度とし,3群に分け,4,8,12ヵ月間投与した.実験開始後15ヵ月で屠殺して胃を組織学的,生化学的に検索した.4ヵ月投与群では,腸上皮化生のみが腺胃に出現した.8ヵ月投与群では,高率の腸上皮化生と腺腫がみられた.12ヵ月投与群では,腺癌も同時に発生した.
  • 特に肝胆膵疾患手術症例を中心として
    岡田 勝彦, 八木 敦夫, 〓水尾 哲也, 桜本 邦男, 三枝 達明, 岡島 邦雄, 米満 賛, 赤木 弘昭, 水田 静雄, 大柴 三郎, ...
    1979 年 76 巻 1 号 p. 54-63
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    CTとERCPの診断能を39症例44病変についてretrospectiveに検討した.肝•胆道疾患のCT正診率は54.2%,ERCPは88.0%であつた.膵疾患のCT正診率は64.7%,ERCPは82.3%で,いずれの疾患でもERCPが優位であつた.しかしCTは病巣の大きさ,形態,性状,周囲臓器との関連が容易に描出でき,特に膿瘍,嚢腫,腫瘤の診断に有用であつた.
    ERCPは病巣が管腔に及ぶ病変は容易に診断し得るが,実質臓器および他臓器に浸潤する病巣診断には不利で,両者を併用することにより診断能が向上するものと考える.
  • 阿部 正秀, 長崎 嘉和, 沢 靖彦, 桑原 靖道, 井上 庄二, 久保 保彦, 谷川 久一
    1979 年 76 巻 1 号 p. 64-71
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    RIA法により439例の肝疾患の血清carcinoembryonic antigen(CEA)を測定した.正常値を2.4ng/ml以下とすると,陽性率は転移性肝癌82.2%,肝細胞癌34.2%,肝硬変症51.7%,慢性肝炎29.3%,急性肝炎7.8%であつた.転移性肝癌では60%において10ng/ml以上を示し,CEAの著明な上昇は原発巣あるいは転移巣でのCEAの産生が主因と考えられた.肝細胞癌のCEAの上昇は軽度であるが,腫瘍の占拠率と相関した.びまん性慢性肝疾患では陽性例の90%以上が5ng/ml以下であり,軽度のCEAの上昇はBSP停滞率や肝シンチグラム上の肝疾患のstage分類などと相関することから,残存肝機能の低下による血中CEAの代謝,排泄の遅延が一因と考えられた.
  • 水入 紘造, 菊池 信子, 高根 俊之, 安部 井徹
    1979 年 76 巻 1 号 p. 72-80
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    30例のアルコール多飲者のうち29例でOGTT異常を認めた.その中の22例中14例にERPで,膵管の異常が認められた.糖負荷時のIRI反応は糖尿病や膵石症より高かつたが,CPRでみると糖尿病との間に差は認められない.膵管異常の強いもの程IRI, CPR反応は低下していた.I.I.も膵管の異常の強いもの程低値を示し,膵管異常のないものでは糖尿病より高値であつた.I.I.は肝障害の程度とは相関しない.CPR/IRIは,肝障害中程度以上の症例では健康人に比し低値を示した.以上より,アルコール多飲者に伴なう肝硬変症での耐糖異常は,膵障害に密接な関係を有し,IRIの過剰反応は肝のインスリン代謝障害によると考えられる.
  • 土屋 雅春, 柏崎 一男, 三浦 総一郎, 村岡 松生, 大塩 力, 水野 嘉夫, 岡崎 勲, 朝倉 均
    1979 年 76 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    生前に確定診断し得たBudd-Chiari症候群5例につき,血管造影による閉塞部位と,臨床症状および検査成績とを比較検討した.5例とも下大静脈閉塞がみられ,膜様隔膜によるもの4例(うち3例はこれに血栓が付着していた),血栓のみによるもの1例であつた.両肝静脈の閉塞を伴うもの2例,肝静脈の閉塞を伴わないもの1例であつた.肝硬変症を疑わす理学的所見に加えて,広汎な静脈怒張,下腿潰瘍など多彩な症状があり,BSP,ICGの異常高値に比し,一般肝機能検査成績が比較的良好であつた.腎機能異常は全例にみられた.閉塞部位の広汎なものほど臨床所見は重篤多彩であり,膠質反応,末梢血液像,GFRについて異常値がより多くみられた.
  • 山本 皓正
    1979 年 76 巻 1 号 p. 91-102
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    剔出胆のうcholesterolosis 27例の胆のう粘膜壁,胆のう胆汁,及び共存したコ系石を検索し,本症に
    おける粘膜の変化が胆のう内コ系石形成にいかに関与するかを考察した.本症の粘膜固有層に存在するfoamy
    cell(fc)は主にオレイン酸,パルミチン酸コレステロールエステルであり,同時にfcに混在したコ系石及び
    放射状コレステロール結晶を発見した.更にその粘膜表面及び胆石表面,胆汁沈渣に見出された顆粒は粘膜固
    有層に存在したfcと同じcholesterolesterを含有していたことから,この顆粒,polypous cholesterolosis及び
    コレステロール結晶からコ系石形成への過程が推察され,本症のコ系石形成に胆のう粘膜が大きな役割を果た
    していることを明らかにした.
  • 第二報:慢性膵炎と膵臓癌の鑑別診断
    山中 桓夫, 関 秀一, 井戸 健一, 酒井 秀朗, 木村 健, 笠原 小五郎, 森岡 恭彦, 伊東 紘一, 小池 盛雄
    1979 年 76 巻 1 号 p. 103-117
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵の形態学的診断法の進歩した現在においても,慢性膵炎ことに腫瘤形成型慢性膵炎と膵癌の鑑別診断は容易でない.
    現在まで我々は,超音波検査によつて膵腫瘤の認められた22例(最終診断は,膵癌18例,慢性膵炎4例)に超音波画像ガイド下経皮的膵吸引生検(aspiration biopsy)を施行している.このうち,臨床的に膵癌と診断され放射線照射を行なつていた3例を除くと,膵癌では15例中13例,87%に悪性細胞を証明し得た.診断失敗の2例の原因は,いずれも細胞診に充分な細胞を採取し得なかつたことに拠つている.慢性膵炎4例では,いずれも多数の細胞が採取されており,しかも悪性細胞が認められないことから,膵癌を否定する有力な根拠となつた.
    本法は,両者の鑑別上有力な方法である.
  • 三宅 周, 上田 稔, 武田 和久, 湯本 泰弘, 大橋 淑人, 長島 秀夫, 榊原 宏, 種谷 節郎, 喜多 利正
    1979 年 76 巻 1 号 p. 118-125
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 松崎 松平, 菊地 一博, 岩村 健一郎, 稲葉 允, 杉本 栄一, 板倉 勝, 上野 文昭, 中崎 久雄
    1979 年 76 巻 1 号 p. 126-132
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 白鳥 敬子, 神津 忠彦, 柴田 泉, 戸松 成, 森田 真子, 土岐 文武, 渡辺 伸一郎, 丸山 正隆, 大井 至, 黒川 きみゑ, 竹 ...
    1979 年 76 巻 1 号 p. 133-138
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 植杉 成一郎, 樋口 祥光, 金光 房江, 武田 和久, 島村 淳之輔, 小林 道男
    1979 年 76 巻 1 号 p. 139-145
    発行日: 1979/01/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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