日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
106 巻, 1 号
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総説
  • 飯田 三雄
    2009 年 106 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/05
    ジャーナル フリー
    福岡県久山町では,1961年より精度の高い生活習慣病の疫学調査(久山町研究)が進行中である.久山町研究では,H. pylori感染とともに萎縮性胃炎,高食塩摂取,喫煙習慣,高血糖,低コレステロール血症など多彩な生活·環境要因が胃癌発症の有意な危険因子となった.これら危険因子は複合的に胃癌発症のリスクを規定していると考えられる.一方,久山町のゲノム疫学研究と九州大学病態機能内科学の臨床研究を基盤に,ゲノムワイド関連解析による潰瘍性大腸炎の関連遺伝子の探索が行われている.生活·環境要因と遺伝的素因を明らかにすることにより,さまざまな消化器疾患の発生機序の解明とテーラーメイド医療の実現につながることが期待される.
今月のテーマ:小腸疾患診療の進歩
  • 田中 周, 藤森 俊二, 坂本 長逸
    2009 年 106 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/05
    ジャーナル フリー
    カプセル内視鏡やバルーン付き内視鏡が実用化され,小腸疾患へのアプローチに変革がもたらされた.両者の検査原理の違いから,カプセル内視鏡はスクリーニングにその適応を発揮し,バルーン付き内視鏡は精査,治療に幅広く適応とされる.本邦でも徐々に普及してきており,小腸の内視鏡診断学に対する関心が高まっている.これまで原因不明として扱われてきた小腸の出血性病変が内視鏡的に診断,治療されるようになったことは大きな進歩である.今後は微細な病変や早期の病変の診断が望まれる.小腸診療が飛躍的に発展しつつある現在,さまざまな臨床試験や診断学の向上のみならず,小腸疾患の病態の解明や機能の究明などに小腸内視鏡が果たす役割は大きい.
  • 矢野 智則, 山本 博徳, 砂田 圭二郎, 新城 雅行, 宮田 知彦, 菅野 健太郎
    2009 年 106 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/01/05
    ジャーナル フリー
    ダブルバルーン内視鏡とシングルバルーン内視鏡は,バルーン内視鏡と総称され,従来であれば術中内視鏡でなければ不可能であった深部小腸の病変に対する内視鏡診断·治療を可能にした.食道,胃や大腸で行われている内視鏡治療のほとんどが可能だが,小腸の解剖学的特徴を考慮した工夫と注意が必要である.また,現状では,バルーン内視鏡の有効長と鉗子口径に対応した処置具が限られており,今後の開発が待たれる.バルーン内視鏡は,今後需要が増えていくと考えられるが,その有用性とコストに見合った保険点数が算定されておらず,普及の障害となっている.医療レベルの地域間格差を解消するためにも,適正な保険点数の算定が望まれる.
座談会:小腸疾患診療の進歩
症例報告
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