日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
98 巻 , 8 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 光山 慶一, 佐田 通夫, 豊永 純, 松本 敏
    2001 年 98 巻 8 号 p. 911-915
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎は,主として粘膜を侵し,しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸のびまん性非特異性炎症である.本症の病因は不明であるが,近年,若齢期の虫垂切除が潰瘍性大腸炎や動物モデルの腸炎発症を抑制することが相次いで報告され,虫垂と本症の病態との関連が注目されている.免疫器官としての虫垂の役割については不明な点が多く,腸炎抑制の機序はまだ明らかではないが,虫垂切除による腸粘膜免疫機構や腸内細菌叢の変化が深く関与している可能性がある.今後,潰瘍性大腸炎での虫垂の役割が明らかとなり,潰瘍性大腸炎の病因解明や治療に有益な情報をもたらすことが期待される.
  • 大川 清孝
    2001 年 98 巻 8 号 p. 916-921
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍陛大腸炎における虫垂病変の存在は最近のトピックスの1つとなっており,手術症例,内視鏡症例に分けてこれまでの報告をレビューした.内視鏡的な虫垂の非連続性病変は2096程度にみられ,直腸炎型に多く,発症時にも経過中にも現れ,主病変と虫垂の活動性は必ずしも平行しない.虫垂病変の存在は,虫垂が潰瘍性大腸炎の初発部位である可能性,非連続性病変がまれではないこと,虫垂切除が治療の1つとなる可能性,などを示した,今後も多数例の検討が必要であるが,虫垂病変の内視鏡診断,組織診断を厳密に行うこと,prospective studyを行うことが重要である.
  • 高山 一郎, 醍醐 弥太郎, 小嶋 裕一郎, 藤野 雅之
    2001 年 98 巻 8 号 p. 922-934
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    この総説は,消化管ペースメーカー機構の研究の流れを紹介するとともに,その生理的な役割と障害による病態を,臨床的な視点から論じたものである.
    消化管ペースメーカー機構は長い間,単に,消化管平滑筋の周期的な電気活動,すなわちスローウェイプとして知られている静止膜電位の振動を発生する仕組みと考えられてきた.数年前,カハールの介在細胞(interstitial cells of Cajal,ICC)がスローウェイプを発生していることがわかり,これが消失すると,神経や平滑筋,ホルモンの機能が保たれていても,正常な蠕動運動がおこらなくなることが示された.さらに,ICCの中には神経伝達物質のレセプターを持ち,神経―筋伝達を仲介しているものがあることが解明され,ペースメーカー機構はスローウェイプを発生するだけでなく,これを利用して効果的に刺激伝達を行うシステムである,という新しい概念が生まれた.
    ペースメーカーの障害そのものが病因となる疾患には,特発性偽性腸閉塞症がある.また糖尿病性胃腸症には,続発性のICCの障害が深く関与している.さらに日常診療で経験する多くの胃腸運動疾患にも,ペースメーカー機構の障害が関与していることが明らかになりつつある.
    ICCには,神経伝達物質のレセプターだけでなく,コレシストキニンなどのホルモンのレセプターを持つものがあるらしい.つまり,ペースメーカー機構は,神経やホルモンの作用をとりまとめて平滑筋に伝える,総合的な機能ユニットである可能性がある.消化管のペースメーカー機構は,今後,消化管運動障害に対する重要な診療ターゲットとなると考えられ,また胃腸運動疾患を「消化管の不整脈」と捉え直した,新しい診療戦略が生まれることが期待される.
  • 柿木 嘉平太, 竹森 康弘, 野田 八嗣
    2001 年 98 巻 8 号 p. 935-941
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    尿中抗体測定法ウリネリザのH.pylori診断能について血清抗体測定法と比較し検討した.対象は173例で,培養法・迅速ウレアーゼテスト・免疫組織染色のうち少なくとも1法が陽性をH.pylori陽性とし,150例が陽性23例が陰性であった.生検組織での診断法からみたウリネリザ,血清抗体測定法のデタミナー,ヘリコGの感度は93.3%,93.3%,94.7%,特異性は47.8%,65.2%,52.2%でウリネリザの感度は良かったが,特異性はやや低かった.H.pylori陰性例には高齢者の萎縮性胃炎例が多く,生検組織での診断法側の偽陰性の関与が考えられた.除菌成功後の尿中抗体価は,除菌開始2カ月後より著明に低下した.
  • 横浜 吏郎, 石関 哉生, 田森 啓介, 稲場 守, 谷 光憲, 牧野 勲
    2001 年 98 巻 8 号 p. 942-947
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例1は66歳男性.上部食道におよぶ全周性の逆流性食道炎に対し,lansoplazole30mg/dayを8週間投与した.症例2は85歳女性,食道中部におよぶ全周性の逆流性食道炎に対しlansoplazole 30mg/dayを8週間投与した.2症例とも投与終了直後の内視鏡検査にて食道の限局性狭窄が確認され,バルーン拡張術を施行した.臨床経過からはプロトンポンプ阻害剤の強力な治癒機転が食道狭窄を惹起した可能性が示唆された.
  • 中村 研二, 朝長 道生, 梶山 浩史, 磯本 一, 竹島 史直, 水田 陽平, 村瀬 邦彦, 村田 育夫, 河野 茂
    2001 年 98 巻 8 号 p. 948-952
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.平成10年3月,間質性肺炎に対してステロイド療法中に胸部単純X線写真上,横隔膜下に遊離ガス像,腹部単純X線写真や腹部CT検査にて,小腸腸間膜内に蜂巣状ガス像を認め,腸管嚢腫様気腫症と診断した.また,大腸内視鏡検査にて回盲弁対側に透明感を有するブドウの房様の粘膜下腫瘤様隆起を認め,さらに経過中のX線写真上,胃大弩側に沿った線状のガス像が見られたことから小腸,大腸,および胃の3臓器にskipした腸管嚢腫様気腫症と診断した.胃病変は嚢状胃を合併した再発性胃潰瘍が局所的原因と考えられた.なお,ここでは小腸,大腸病変に合併した腸管嚢腫様気腫症の胃病変であるgastric pneumatosisとしたが,同じ病態とも考えられるgastric emphysemaとの相同性については今後の検討が必要と考えられた.
  • 松本 浩次, 山田 康雄, 武田 良平, 町田 理夫, 行方 浩二, 三上 陽史, 松本 文夫, 津村 秀憲, 二川 俊二
    2001 年 98 巻 8 号 p. 953-958
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は,54歳,男性,29歳時より十二指腸潰瘍の寛解,再燃を繰り返していた.今回も心窩部痛主訴に当院受診,上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部前壁にA1 stage潰瘍を認めたためproton pump inhibitor(以下,PPI)にて内服加療.注腸造影検査でも回盲部にニッシェおよび狭窄像認めたため,右半結腸切除術施行,回腸末端部良性潰瘍と診断.その後十二指腸潰瘍再燃,口腔内アフタ,陰部潰瘍も併発したため,腸管Behcet病を考慮し,predonine 30mg,mesalazine 1500mg連日投与,一時軽快するも,十二指腸潰瘍穿孔併発し大網充填術施行.術後2カ月目に敗血症によりDICに陥り死亡.今回我々は,薬剤療法に抵抗性で十二指腸潰瘍穿孔を併発した非常にまれな腸管Behcet病の1例を経験したので若干の文献的考察を加え,報告する.
  • 金森 明, 岡村 正造, 大橋 信治, 浦野 文博, 金森 信一, 細井 努, 石川 英樹, 北畠 秀介, 佐野 秀行, 瀬川 昂生
    2001 年 98 巻 8 号 p. 959-963
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    患者は60歳男性,主訴は便潜血検査陽性.当院の大腸X線内視鏡検査にて回盲弁から約4cm口側に,小さな陥凹部を有する大きさ25cmの隆起性病変を認めた,生検では高分化型腺癌と診断され手術した.切除標本は中心に陥凹を有する34×25mmの隆起性病変で,深達度はmpであった.回腸mp癌の報告は,非常に少なくその実態はまだ不明であることより極めて貴重な症例と考えられる.
  • 佐藤 真広, 矢島 義昭, 高橋 信孝, 青木 千花, 宮崎 敦史, 枝 幸基, 大平 誠一, 長沼 廣, 加藤 博孝, 酒井 信光
    2001 年 98 巻 8 号 p. 964-969
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    60歳の女性が,発熱を主訴として肝膿瘍の疑いのもとに紹介されてきた.肝S7領域に径7cmの腫瘤性病変が検出され,同部は造影CTにて周辺部のみ濃染した.エコー下狙撃生検で扁平上皮癌の診断となり,肝右葉切除術が施行された.術後の詳細な病理学的検討により,腫瘍の肝門部側に腺癌を認めたために肝原発腺扁平上皮癌の診断となった.HE染色で扁平上皮癌と診断された部位も腺癌部分と同様に粘液染色,CEA,CA19-9の免疫染色が陽性であった.このことは,肝原発腺扁平上皮癌の診断の発症機序を考えるうえで示唆に富むと考える.
  • 喜多 竜一, 蜂谷 勉, 木村 達, 米門 秀行, 澤武 建雄, 波多野 広美, 谷口 由紀子, 辻 賢太郎, 圓尾 隆典, 国立 裕之, ...
    2001 年 98 巻 8 号 p. 970-976
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    54歳,男性.交通外傷より約1カ月目に嘔気をともなう閉塞性黄疸および肝障害を発症,HBV・HCVのウイルスマーカーは陰性で,腫瘍マーカーはPIVKAIIのみが軽度高値を示した.US・CT・MRIにて肝内胆管拡張を認めるが,胆管閉塞の原因となる腫瘍は検出できなかった.内視鏡的胆管内US(IDUS)では,狭窄部総胆管壁第1層の全周性肥厚を認めたのみで腫瘍陰影は検出できなかったが,悪性腫瘍による胆管閉塞を否定しきれず,手術施行した.3管合流部の狭窄と胆管壁肥厚のみで悪性所見は見られず,胆管空腸吻合術が施行され,術後経過は良好である.
  • 池田 弘, 仁科 恭一郎, 金吉 俊彦, 狩山 和也, 清野 哲司, 井上 武紀, 島村 淳之輔
    2001 年 98 巻 8 号 p. 977-979
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
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