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特に acetylcholine 遊離との関連において
中本 光春, 裏川 公章, 斉藤 洋一
1987 年 84 巻 3 号 p.
653-660
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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胃運動抑制における dopamine の作用機序につき, ラットを用い主に acetylcholine 遊離の面より検討した. Dopamine は迷走神経, 交感神経を介することなく胃運動抑制作用を示したことより, その作用点は胃壁内にあると推察できた. 〔
3H〕choline を負荷した胃体部筋条片に経壁電気刺激を適用すると神経性の収縮と〔
3H〕acetylcholine 遊離増加が得られ, 10
-4M dopamine はこの遊離を有意に41%抑制した. この dopamine の抑制作用は domperidone により拮抗されたが, phentolamine や propranolol には影響されなかつたことより, dopamine はコリン作動性節後神経に存在する特異的 dopamine 受容体を介して末端からの acetylcholine 遊離を抑制することにより胃運動抑制作用を示すものと思われた.
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宮原 妙子
1987 年 84 巻 3 号 p.
661-669
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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虚血性腸炎と抗生剤関連性腸炎について, 血清中の各種免疫グロブリンと腸管局所に浸潤した各種免疫グロブリン含有細胞ならびに上皮内のSCについて検討した. 虚血性腸炎の irregular ulcer type では, 血清IgE値が有意に増加しており, また病変部でもIgE含有細胞の浸潤度が増加していたことから, この型の発症に即時型アレルギー反応が深く関与していると考えられた. 抗生剤関連性腸炎では, 病変部と病変部近傍の正常の外観を呈する粘膜ともにIgA含有細胞の減少と上皮内SCの染色性の低下がみられた. このことから, 病変部近傍の正常粘膜でもSIgA系の障害されていることがうかがわれ, すなわち腸管全体に腸炎発症の下地ができている可能性があることが示唆された.
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筒井 ひろ子, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 小林 絢三, 山本 祐夫, 森沢 成司, 大倉 靖史
1987 年 84 巻 3 号 p.
670-674
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌をマウスに静注し, 7日後に少量のグラム陰性菌由来の lipopolysaccharide endotoxin (LPS) を静注すると, ほとんどのマウスは広範な肝壊死を起こして死亡する. しかし, このような実験的肝障害を誘導する際に, 五味子から抽出精製した gomisin Aを投与すると, マウスの生存率は高くなり, 肝の組織学的変化も著明に改善される. この gomisin Aの肝障害抑制機構を明らかにするため, 著者らは肝障害を誘導する肝粘着性細胞の活性化に及ぼす gomisin A の影響を検討するとともに, 粘着性細胞由来の肝細胞障害因子に対する gomisin A の肝細胞防御作用をしらべた. その結果, gomisin A は肝粘着性細胞の活性化を抑制して細胞障害因子の遊離を抑制するばかりでなく, 肝細胞に直接作用して, 肝細胞を障害因子の作用から防御することが明らかになつた.
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斎藤 英胤, 森實 敏夫, 飯野 朗子, 土本 寛二, 浜田 慶城, 佐藤 逸朗, 沢口 健太郎, 稲垣 恭孝, 渡辺 哲, 土屋 雅春
1987 年 84 巻 3 号 p.
675-683
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
本教室で作製したマウスモノクローナル抗体H2の認識する抗原, すなわち human liver-specific antigen 1 (HLSA1) の物理生化学的性状につき検討を加えた. HLSA1 は大きな分子塊を形成しているが immunoaffinity chromatography で分離した抗原は15000daltonの小分子 unit から構成されていた. 抗原性は4°C, 37°C, pH 8.0では安定であるが60°C, pH 4.0では不安定であり, トリプシン処理により破壊された. HLSA1は Con A, PNA には親和性を有し, WGA には親和性を有さない糖鎖を持つ糖蛋白と考えられた. また HLSA1 は肝細胞内で核膜周囲, 粗面小胞体, 細胞膜に分布していることが免疫電顕で示され細胞膜蛋白の一つであると考えられた.
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松田 裕子, 松本 正廣, 水嶋 宣章, 玉腰 勝敏, 石井 英正, 中島 猛行, 金井 弘一
1987 年 84 巻 3 号 p.
684-689
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤を有する肝硬変患者50例に待期的および予防的に内視鏡的硬化療法を施行したさいの肝機能の変化について検討した. 静脈瘤周囲粘膜下注入法施行時は術後の T. Bil. 上昇度 (ΔT.Bil.) を, また静脈瘤内注入法施行時は硬化剤による溶血の影響を除外した T. Bil. 上昇係数I.I.を設定し肝機能悪化の指標とした. 肝予備能良好群 (I群, 28例) でのΔT. Bil. 0.44±0.37mg/dl, I.I. 0.28±0.19に対し, 肝予備能不良群 (III群, 8例) ではΔT. Bil. 1.65±0.68mg/dl, I.I. 1.01±0.70と治療後に肝機能の有意な悪化がみられた (p<0.01). 中間群 (II群, 14例) はΔT. Bil. 1.03±0.63mg/dl, I.I. 0.55±0.36であつた. 術後上昇した T. Bil. の回復もIII群で有意に遅延していた. 肝予備能低下例では硬化療法後に肝機能悪化をきたす可能性が大きいと思われる.
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太田 宏信, 野本 実, 尾崎 俊彦, 上村 朝輝, 市田 文弘, 曽我 憲二, 山田 俊彦, 本間 明, 清水 武昭
1987 年 84 巻 3 号 p.
690-697
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
昭和54年から昭和61年の間に当教室で経験した肝細胞癌 (HCC) の腹腔内破裂症例20例を臨床的に検討した. 20例中12例は明らかな破裂の誘因もなく発症しているが, 他の8例では上部消化管内視鏡や Adriamycin 動注, 排便などが発症の誘因, または原因となつていた. 初発症状は急激におこる腹痛で, shock となる症例もあり, また筋性防御や麻痺性イレウスを呈する症例も存在した. 止血目的にTAEを5例に施行したが, 長期延命を得た症例と, 肝不全を助長した症例を認めた.
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杉本 元信
1987 年 84 巻 3 号 p.
698-705
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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フリー
ヒト肝3検体から affnity chromatography と chromatofocusing により glutathione S-transferase のアイソザイムを精製した. 主に塩基性C1(等電点9.0), C2(8.7), 中性N1(6.8), 酸性A1(5.4) の各アイソザイムが分離され, そのパターンに個体差がみられた. SDS-polyacrylamide ゲル電気泳動でC1, C2, A1は分子量25000, N1は26000のサブユニットを示し, urea の存在下でC1, A1は分子量のわずかに異なるサブユニットのホモダイマー, C2はこれらのヘテロダイマーとして泳動された. A1のアミノ酸組成, 基質特異性はC1, C2と類似し, これまで報告された酸性アイソザイムの成績と異なつた.
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血行動態からの検討
西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 玉田 尚, 川崎 俊彦, 三浦 賢佑, 内野 治人, 酒井 正彦, 三宅 健夫
1987 年 84 巻 3 号 p.
706-711
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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特発性門脈圧亢進症 (IPH) と巨脾性肝硬変症 (LCS) の血行動態を比較•検討した. 対象はIPH11例 (女: 7, 男: 4), LCS 15例 (女: 6, 男: 9) である. 血管造影のフィルムより, 動脈径を測定したところ, 脾動脈径では, IPHとLCSに差異をみなかつたが, 固有肝, 左•右肝動脈径そして上腸間膜動脈径では, LCSで明らかに増大していた. 超音波ドップラー法による門脈血行動態の比較では, 上腸間膜静脈血流量がLCSで増加している傾向があつた. 他の血管では, 血流速度と血管断面積にわけても検討したが, 共に差異が見られなかつた. それぞれの血管内血中酸素分圧も比較したが, 有意な差異はみられなかつた. 圧の測定では, 門脈圧と肝静脈楔入圧の圧較差に, 有意な差があり, 肝内血管抵抗上昇部位の差異を明らかにしていた.
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時国 信弘, 高瀬 修二郎, 高田 昭
1987 年 84 巻 3 号 p.
712-718
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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小葉内局在の異なる肝ミトコンドリア (MT) 酵素である glutamate dehydrogenase (GDH), ornithine carbamyl transferase (OCT) などの血中での活性の測定が薬物性肝障害の診断に有用かを検討した. 薬物性肝障害での血清GDH活性はA型肝炎に比べやや高く, 血清OCT活性は逆に低い値を示した. 薬物性肝障害での血清MT GOT (m-GOT) 活性は各種急性肝炎より有意に低い値を示したが, m-GOTの cytosolic GOTに対する比はA型およびB型肝炎に比べ有意に高い値を示した. GDH/OCT比は薬物性肝障害ではほとんどが1.0前後の高値を示したが, ウィルス性肝炎で1.0以上を示したのはNANB型肝炎の3例にすぎなかつた. 以上のことは, 薬物性肝障害での病変は小葉中心部でのMTの障害が主体で, GDH/OCT比の測定は薬物性肝障害の診断に有用であることを示していると考えられた.
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溝口 靖紘, 宮島 慶治, 北村 瑞穂, 筒井 ひろ子, 武田 弘, 申 東桓, 阪上 吉秀, 関 守一, 小林 絢三, 山本 祐夫, 森沢 ...
1987 年 84 巻 3 号 p.
719-725
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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臨床症状や病歴によつて薬物アレルギー性肝炎と診断される患者においても, リンパ球幼若化反応やリンホカインの産生などの免疫学的パラメーターで起因薬物を同定できない場合がある. 本研究において, 著者らはこのような症例の患者末梢血単核細胞を起因薬物およびキャリア蛋白で刺激する際 suppressor macrophage から分泌される prostaglandin をブロックする目的でインドメサシンを添加することによつて, リンパ球幼若化反応およびリンホカインの1種である催胆汁うつ滞因子の産生が増幅されることを観察した. これらの研究は薬物アレルギー性肝炎の診断やその病態の解析に極めて有用な手段を提供するものと考えられる.
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特に限外濾過高分子相の意義について
山口 尚, 新谷 史明, 高橋 渉, 鈴木 範美
1987 年 84 巻 3 号 p.
726-732
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
限外濾過により胆汁を高分子相と低分子相に分画し, 両画分についてカルシウム濃度及びβ-グルクロニダーゼ活性抑制効果を測定し, ビリルビンカルシウムの析出を規定する因子について検討した. ヒト胆汁中の細菌性β-グルクロニダーゼ活性の大部分を担う物質は高分子相に存在し, それは胆汁酸と密接な関係にあると考えられた. またβ-グルクロニダーゼ活性抑制作用は対照例胆汁ではビリルビンカルシウム石例胆汁, 混合石例胆汁より強く, その差は対照例胆汁中により多く存在する低分子相抑制物質による可能性が示唆された. ヒト胆汁中で胆汁酸が結合捕捉すると考えられるカルシウム量は対照例胆汁, 混合石例胆汁でビリルビンカルシウム石例胆汁より多かつた.
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岡崎 和一, 山本 泰朗, 鍵山 惣一, 坂本 芳也, 森田 雅範, 田村 智, 山本 泰猛, 伊藤 憲一
1987 年 84 巻 3 号 p.
733-740
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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アルコール性慢性膵炎 (ア) 10例, 特発性慢性膵炎21例 (特) の膵管内圧, 乳頭部運動について検討した. 1) (ア) 群の階柾は55.7±28.9mmHg, (特) 群は44.5±25.8mmHgと健常群の16.2±8.7mmHgに比し有意に高値であつたが (p<0.01), 両膵炎群間に有意差を認めなかつた. 2) (ア) 群, (特) 群の乳頭部収縮期圧は各々127.4±74.8, 103.6±50.2mmHg (健常 (N) 群102.6±64.8mmHg), 収縮期-弛緩期圧差は87.6±44.9, 84.0±44.3mmHgと差異を認めないが, 弛緩期圧は39.9±40.7, 19.7±17.4mmHg ((N) 19.2±17.7mmHg) と (ア) 群で高い傾向が認められた. 平均周期は (ア) 群で0.19±0.02/secと (N) 群 (0.16±0.02/sec) より有意に高値であつた. 3) (ア) 群の膵管内圧は乳頭部圧, 平均運動周期と相関傾向を認めたが, (特) 群では相関関係は認めなかつた.
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中村 憲章, 広田 正毅, 福島 喜代康, 船津 史郎, 平谷 一人, 高木 芳秀, 本田 昇司, 早田 正典, 福嶋 弘道, 牧山 和也, ...
1987 年 84 巻 3 号 p.
741-748
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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膵癌症例の血液型と唾液中の血液型物質を調べるとともに, 膵組織内の抗原の局在をモノクローナル抗体を用いた酵素抗体法で検出して, 膵癌細胞での血液型関連糖鎖抗原と腫瘍マーカーとの関係を検索した. 非癌膵管上皮ではABO (H) 血液型に対応した糖鎖がみられたが, 癌細胞では55.3%の症例で血液型糖鎖抗原が欠如していた. この癌細胞におけるABO血液型糖鎖の欠如は分泌型よりも非分泌型の人に有意に認められた. Lewis
a抗原と sialylated Lewis
a 抗原は膵癌細胞に高率にみられたが, 非癌膵管上皮にもみられ, Lewis (a
-b
-) の人では認められなかつた. Sialylated Lewis
x抗原は非癌膵組織には全く認められず, 癌細胞にのみ高率にみられ, 膵臓においては癌特異抗原であつた.
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飯島 敏彦, 南部 勝司, 宮村 拓郎
1987 年 84 巻 3 号 p.
749-753
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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重光 美樹子, 城谷 光一, 原田 良策, 首藤 龍介, 井上 修二, 佐藤 賢士, 松股 孝, 平林 雅彦, 奥平 恭之, 恵良 昭一
1987 年 84 巻 3 号 p.
754-757
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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鴨川 由美子, 金子 篤子, 富松 昌彦, 栗原 毅, 橋本 悦子, 久満 董樹, 小幡 裕
1987 年 84 巻 3 号 p.
758-762
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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鈴木 都男, 明山 耀久, 戸川 雅樹, 鈴木 正昭, 吉田 勤, 宮本 岳, 妻野 光則, 神田 勤, 小豆沢 瑞夫, 末松 俊彦
1987 年 84 巻 3 号 p.
763-767
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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坂本 裕彦, 柴崎 正幸, 国土 典宏, 小山 広人, 針原 康, 大橋 一雅, 川崎 誠治, 三條 健昌, 出月 康夫
1987 年 84 巻 3 号 p.
768
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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浅田 武夫, 佐古 伊康, 三宅 健夫, 浅田 照夫
1987 年 84 巻 3 号 p.
769
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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坂東 毅, 田中 三千雄, 佐々木 博
1987 年 84 巻 3 号 p.
770
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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正田 純一, 馬原 礼二郎, 大菅 俊明, 藤間 貞彦, 大西 正三
1987 年 84 巻 3 号 p.
771
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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抗 Estrogen 投与肝組織との比較
姫野 泰雄, 小東 克次, 福田 善弘, 瀬古 修二, 井村 裕夫, 畑中 正一
1987 年 84 巻 3 号 p.
772
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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木岡 清英, 溝口 靖紘, 阪上 吉秀, 宮島 慶治, 申 東桓, 武田 弘, 李 載澹, 関 守一, 貫野 徹, 小林 絢三, 山本 祐夫 ...
1987 年 84 巻 3 号 p.
773
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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田村 智, 岡崎 和一, 森田 雅範, 鍵山 惣一, 坂本 芳也, 中田 博文, 中澤 慶彦, 山本 泰朗, 山本 泰猛, 伊藤 憲一, 美 ...
1987 年 84 巻 3 号 p.
774
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
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