日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
73 巻 , 2 号
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  • 粂川 幸雄
    1976 年 73 巻 2 号 p. 95-107
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    実験的胃潰瘍を Rat に作成し, その治癒過程における acid phosphatase, β-glucuronidase 活性の経緯と, colchicine 投与による分裂細胞数の変化とから粘膜再生現象を観察した. 急性潰瘍では, 潰瘍辺縁部に所謂 epithel ialingrowth を形成し潰瘍は治癒に向かうが, 慢性潰瘍ではこの形成不全の為に粘膜再生は遅れる. ingrowth 部は, 創傷修復の為に既存の成熟細胞が脱分化を起こしたものと, 頚細胞から帯状に降りてきた幼若細胞との合流と思われ, 粘膜結合組織, 潰瘍底結合組織に支持された, 分裂, 分化の盛んな細胞集団である. acid phosphatase, β-glucuronidase は細胞が正規の発育分化の為の分裂を起こした直後の代謝に関与していると推察する.
  • 今井 健二
    1976 年 73 巻 2 号 p. 108-122
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の成因を酸•ペプシン•粘液の個々の因子について検討した. 実験的には, ラットで著者らの考案せる Perfusion method を用いて, 酸•ペプシン•粘液と時間との関係から胃•十二指腸粘膜の抵抗性を検討した. 一方, 臨床では潰瘍経過に伴う胃液分泌動態を検索した. その結果, 胃粘膜は酸に対して抵抗が強く酸•ペプシンのみでは胃潰瘍発生に長時間を要したが, 粘液物質の減少時に潰瘍は短時間で発生した. 臨床例でも胃潰瘍急性期には治癒, 瘢痕期に比し粘液分泌の著明な減少を認めた. 十二指腸潰瘍では酸が重要な発生因子と考えられた. また, 以上の結果は胃潰瘍と十二指腸潰瘍の主要な役割を果す発生因子に相違のあることを示すものである.
  • 鵜浦 達也
    1976 年 73 巻 2 号 p. 123-135
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒト胃液中ヒスタミン分泌量と酸分泌量は, ガストリン刺激により経時的に平行して増減した. ガストリン刺激により, ラット腺胃粘膜内ヒスタミンは減少し, 胃液中ヒスタミンは逆に増加し, 両者は鏡像を呈した. C14-ヒスチジンは, 胃粘膜内でC14-ヒスタミンに変換され, ヒスタミンは胃粘膜から胃液に放出されることを確認した. ラット腺胃粘膜内ヒスチジン脱炭酸酵素活性は, ガストリン刺激で促進され, また胃粘膜から胃液に放出されたヒスタミンを補うため, その活性が上昇するものと考えられた. 以上から, 胃液中ヒスタミンは, 胃分泌能と密接な関係にあることが明確にされた.
  • 板倉 勝, 森田 證, 村岡 松生, 朝倉 均, 土屋 雅春
    1976 年 73 巻 2 号 p. 136-142
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 松本 由朗, 小野 博通, 山本 剛史, 中瀬 明, 永松 良夫, 本庄 一夫
    1976 年 73 巻 2 号 p. 143-151
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵全剔出術は, 将来膵癌根治術の主流をなす術式となるものと思われるが, その術後管理の繁雑さのために普及が遅れている. われわれは, 22例の膵全剔患者の術後管理の経験から, 術後の病期を surgical period と medical period に分け, surgical period はさらに immediate period と intermediate period に分けて考えるのが理解し易いことがわかつた. immediate period では糖質200g, レギュラーインシユリン(RI)40単位を混合し, 一定速度で24時間静注する. intermediate period では20単位以上のインシュリンを投与し, 食事制限を行なわず, 血糖の日内変動を頻回に測定してインシュリン量を決める. 消化剤は局方パンクレアチン20g前後を食事前, 中, 後と分割投与すると消化吸収障害は防止出来た.
  • 三輪 剛, 谷 礼夫, 原沢 茂, 鈴木 荘太郎, 崎田 隆夫
    1976 年 73 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    腸上皮化生胃粘膜からの glucose 吸収について, 試験液による double sampling 法を用いて5%又は10% glucose 溶液300ml投与により検討した. 結果は, 腸上皮化生例において, その約半数例で glucose 吸収がみられ, 他の半数例で吸収されないであろうという成績を得た. 本実験に関しては胃排出機能や腸上皮化生の範囲の広さと glucose 吸収率との間に特定の相関を認め得なかつた.
  • 飯野 四郎, 鈴木 宏, 三木 一正, 織田 敏次, 平野 和行, 杉浦 衛, 磯部 正和
    1976 年 73 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    死後24時間以内の剖検例より採取した小腸粘膜を用いて精製した小腸アルカリフォスフアターゼ (ALP) を用いて, 二抗体法による, 小腸ALPの radioimmunoassay 法を開発した. 1) この測定系での抗体濃度は10,000倍が至適であり, 測定範囲は, 0.5~25ng/tube であつた. 2) この測定系では血清中の肝性ALP, 骨性ALPおよび胎盤性ALPは, いづれも反応を示さなかつたが, 小腸性ALPの出現している血清では, 精製小腸ALPと同じ dose response curve を示すものと示さないものとがみられたが, この理由は明らかでない. 3) 精製胎盤ALPでは50μg/tube で小腸ALP 1ng/tube と同程度のB/Tを示し, 同様に胎盤ALP測定系でも小腸ALP50μg/tube で胎盤ALP 5ng/tube と同じB/Tを示した. これは高濃度では相互に交叉反応があることを示すものである.
  • 三木 一正, 鈴木 宏, 飲野 四郎, 丹羽 寛文, 織田 敏次, 杉浦 衛, 平野 和行
    1976 年 73 巻 2 号 p. 162-168
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ポリアクリルアミドゲル•デイスク電気泳動法(PADE)を用いて, 血清アルカリフォスフアターゼ(ALP)アイソエンザイムの検出を行ない, 潰瘍性大腸炎20例中4例(20%)に特異なALP(ALP6)が検出された. ALP6は活動期にのみ肝ALP (ALP2) の減少とともに血清中に出現し, 寛解期には, ALP6が消失するとともにALP2の再出現を認めた. L-フェニルアラニン, イミダゾール等の阻害剤に対する態度は肝ALPと同様であつた. 抗ヒト肝ALP抗体と反応後のPADE像ではALP6は消失し, 抗ヒト胎盤および小腸ALP抗体とは反応しなかつた. 以上の成績より, ALP6は肝ALPが何らかの修飾を受けて変化したものと考えられる.
  • 小林 顕彦, 竹田 彬一, 服部 誠一, 郡 大裕, 服部 隆則, 川井 啓市
    1976 年 73 巻 2 号 p. 169-178
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡を用いて平面的, 立体的に胃底腺領域及び幽門腺領域の粘膜内微細血管構築の相違について検討した. 切除胃新鮮標本を対象とし, 一群ではその主幹動脈 (主に左胃動脈) から墨汁を注入した材料の厚切りパラフィン切片を作製し, H.E染色後検鏡した. 二群では, 墨汁の代りに, メタアクリレート樹脂を注入して作製した血管鋳型標本を走査電顕にかけ検討した.
    その結果胃底腺領域と幽門腺領域の粘膜内血管構築には著明なる差異が認められた. 胃底腺領域では粘膜筋板を貫いた血管はほぼ垂直に胃内腔に向つて走行しながら腺部吻合枝網を形成し胃腺管を密に取り囲み, 被蓋上皮の直下には整然と規則性に配列した網目状の構造をもつた被蓋上皮下血管網がみられた. 一方幽門腺領域では腺部吻合枝網は胃底腺領域に比べて著しく粗で扇状に胃内腔に向つて走行し, 被蓋上皮下血管網も不規則な配列を示していた.
    また, 血管の分布密度についてみても胃底腺領域では幽門腺領域に比べて3倍強と血管密度は明らかに高かつた. 加令による血管構築上の変化をみると, 粘膜の加令性変化に附随し幽門腺型の血管構築をもつた領域が口側に向つて拡がる傾向が観察された.
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