潰瘍性大腸炎に対して,初期に行われた大腸全摘,回腸人工肛門造設術,または結腸全摘,回腸直腸吻合術と,現在主流を占める大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術,または回腸嚢肛門管吻合術症例の長期予後を,多施設共同研究(厚生労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班)によって検討した.対象は初回手術後5年以上経過した集計例552例で,術後長期経過例の排便機能は回腸嚢肛門吻合術,回腸嚢肛門管吻合術,直腸温存術ともに良好であり,術後合併症のなかでは痔瘻,腸閉塞,肛門狭窄の頻度が高かった.永久回腸人工肛門造設術症例を含めた各手術群で,日常生活,仕事,食事の制限はなく,旅行も可能で,術後妊娠,出産例もあり,術後長期を経過した本症手術例のquality of life(QOL)は良好であった.術後長期にわたるQOLは良好であることから,手術適応を十分考慮して適応のある症例には時期を失せず,手術を行うことが重要である.