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船津 隆
1983 年 80 巻 1 号 p.
1-8
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健常胃粘膜と胃潰瘍再生粘膜を内視鏡下に生検採取し, 走査電子顕微鏡にて観察した.
胃潰瘍再生粘膜は, 潰瘍底に伸びる一層の扁平な上皮から, 次第に柵状の構造を成し, 更にそれが分節して敷石状となり, 胃小窩が形成されて幽門腺類似構造をとり, 周囲の胃粘膜に移行していた. 高倍率の観察では, 細胞表面に多彩な形状をした突起を多数認め, 粘液分泌の一形態と考えられた. 同時に, 腸上皮化生も37%に認めたが, その発生, 進展形式は, 個々の胃小窩に別々に発生し, それが融合して, 次第に広がつてゆくと思われる. なお, 腸上皮化生部と胃上皮部, 胃底腺部と幽門腺部は, それぞれ画然と境されていた.
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血管鋳型の走査電顕による観察
竹内 一彰, 岸清 一郎
1983 年 80 巻 1 号 p.
9-15
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃潰瘍辺縁粘膜および肉芽組織の潰瘍治癒への関与を血管構築上から明らかにするために, ラット酢酸潰瘍の血管鋳型を作製し, 主として再生粘膜における血管の連絡状態を実体顕微鏡と走査電顕で観察した.
再生粘膜血管は, 辺縁粘膜血管と連続しており, 治癒過程における潰瘍辺縁粘膜血行の関与を形態的に立証した. また, 治癒の進展にともなつて, 再生粘膜血管と辺縁粘膜下層からくる潰瘍底の肉芽組織の新生血管との吻合が認められた.
再生粘膜血管は, 周辺部から幽門腺型のメッシュ構造を形成していつたが, 幽門腺領域潰瘍の方が胃底腺領域潰瘍よりも, メッシュ構造の形成が遅延した.
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十二指腸由来 luminal gastrin, その放出至適pHと由来についての検討
松澤 裕一, 宮田 道夫, 吉沢 章夫, 有馬 進太郎, 金澤 暁太郎, 森岡 恭彦
1983 年 80 巻 1 号 p.
16-23
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
十二指腸腸管内腔にガストリンが放出される際の放出至適腸管内pHと腸管内ガストリンの由来を決定するために34頭の雑種成犬を用いた急性実験を行なつた. 十二指腸内腔はpH-STAT法により一定のpHに保ちつつ持続潅流を行ない. RIAにより潅流液と血中のガストリン濃度を測定した. 内腔へのガストリン放出は内腔のpHにより差があつたが, 放出が顕著な例ではさらに標識ガストリンを用いてその由来について検討した. その結果, (1) 十二指腸内腔がpH1.0~3.0の場合, 内腔に多量のガストリンが放出される. (2) このガストリンは血中ガストリンに由来するのではなく, 直接ガストリン産生細胞であるG-細胞に由来する, ことが明らかになつた.
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亀山 仁一, 今野 喜郎, 土屋 誉, 内藤 広郎
1983 年 80 巻 1 号 p.
24-28
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
3例の Zollinger-Ellison 症候群 (以下, ZES) を対象として, 胃液ペプシン, 胃酸分泌およびペプシン, 酸分泌比について検討したところ, 以下の成績が得られた. ZESでは夜間分泌, ヒスタミン, インスリンおよびガストリン刺激のいずれでも胃酸分泌亢進に比べ, ペプシン分泌の亢進は著明ではなく, ペプシン, 酸分泌比は1.0以下の低値を示した. また, ZESでは術前のみならず, 迷切後あるいは胃切除後でも同様な成績が得られた. したがつて, 手術前後を問わず, 夜間分泌あるいは刺激後のペプシン, 酸分泌比が1.0以下の低値を示せば, ZESを疑うべきであると思われた.
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三木 一正, 小堀 鴎一郎, 飯野 四郎, 丹羽 寛文, 岡 博, 前田 守, 古田 雄一, 森岡 恭彦, 宮崎 純, 鈴木 宏
1983 年 80 巻 1 号 p.
29-35
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
純系 Wistar ラット腺胃に作製したMNNG誘発胃癌組織を, 同系ラット背部皮下に継代移植した第14~24世代の移植胃癌組織アルカリフォスファターゼ (ALP) アイソザイムの検出を行ない, その酵素学的•免疫学的性質の長期継代による変化の有無を検討した. 各世代の可移植性胃癌組織ALPの各種酵素学的•免疫学的性質は, 第20世代までは既報の初代および可移植性胃癌組織ALPと類似していたが, 第22世代以降では小腸性ALPが検出されないことから, ラットMNNG誘発胃癌細胞のALP産生, とくに小腸性ALPの産生に関与する遺伝子情報の発現異常は第22世代以上の長期継代移植により変化し, 移植胃癌細胞に引き継がれない可能性が示唆された.
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塚田 英昭, 加納 正, 三宅 健夫, 内野 治人
1983 年 80 巻 1 号 p.
36-47
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ホルマリン固定材料をトリプシン処理後, 蛍光抗体法に用いて, 胃大腸疾患における secretory component (SC), IgA, CEAおよび粘液の関係を組織学的に検討した. 本手技は従来行なわれている酵素抗体法に比して簡便であり, また以前の剖検, 生検および手術材料にも容易に適用でき, 有用な手段と考える. 前処置としての適切なトリプシンによる消化は, SC, IgA, CEAの染色性をアルコール固定に匹敵する明瞭なものにすることができた. またSC, IgA, CEAはいずれも胃粘膜に比して大腸粘膜につよい染色性を示し, 癌組織ではSC, IgAの染色性の低下とCEAの増強を認め, また大腸腺腫では, これらの染色性と組織学的異型度との間に, ある程度の相関性が認められた.
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諏訪 寛
1983 年 80 巻 1 号 p.
48-54
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
主として軽症の潰瘍性大腸炎の病型, 病因と血液凝固線溶能との関係を検討した. 血小板数は増多しており, とくに活動期症例は緩解期症例より有意に増多していた. 凝固因子のうち第VIII因子が有意に亢進していた. antithrombin IIIは増量し, α
1 antitrypsin, α
2 macroglobulin は有意に減少していた. thromboelastogram ではMa値が増加していた. 線溶能では euglobulin lysis time が短縮し, plasminogen が亢進していた. 各検査値について罹患範囲別による有意差はみられなかつた. 以上の成績から本症では元来血液凝固系亢進の状態にあつて, とくに活動期にこの傾向が著明となることが示された.
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松井 孝安, 北川 久能, 小林 雄一, 溝口 靖紘, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
1983 年 80 巻 1 号 p.
55-60
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
正常ラットの肝臓から分離肝細胞浮遊液を調製し, これに, クロールプロマジン (CPZ), アジマリン (AJ), セファロリジン (CER), セファロチン (CET), または四塩化炭素 (CCl
4) を一定量添加して2時間培養して肝細胞への影響を検討した. 肝細胞の生存率をトリパンブルー排泄試験で検討すると, 肝細胞障害はCCl
4>CPZ>AJ>CER_??_CETの順に認められた. または2時間の薬剤処理によつて分離肝細胞内に形成される過酸化脂質はCCl
4>CER>AJ_??_CET>CPZの順に検出された. これらの薬剤処理肝細胞を走査電子顕微鏡によつて観察すると, 薬剤非処理肝細胞表面に多数の microvilli が見られるのに反し, 薬剤処理によつて, microvilli の減少や消失傾向が認められた.
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溝口 靖紘, 沢井 寛子, 筒井 ひろ子, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
1983 年 80 巻 1 号 p.
61-67
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
臨床症状や病歴によつて薬物アレルギー性肝炎と診断される患者においても, リンパ球幼若化反応やリンホカインの産生などの免疫学的パラメーターで起因薬物を同定できない場合がある. これは感作リンパ球の数が少ないためとも考えられる. 本研究において, 著者らはこのような4症例の患者末梢血リンパ球を起因薬物及びキャリアー蛋白で刺激する際, インターロイキン-2を添加することによつて, リンパ球幼若化反応が増幅されることを観察した. また, 起因薬物, キャリアー蛋白及びインターロイキン-2を含む培養液で感作リンパ球を長期間培養することが可能であることを示した. これらの研究は薬物アレルギー性肝炎の診断やその病態の解析に極めて有用な手段を提供するものと考えられる.
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単独塞栓療法と肝動脈内制癌剤 one shot 注入療法との比較による検討
木村 道雄, 大藤 正雄, 土屋 幸浩, 税所 宏光, 木村 邦夫, 守田 政彦, 奥田 邦雄
1983 年 80 巻 1 号 p.
68-75
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌50例に対し制癌剤の動注を併用しない単独の肝動脈塞栓療法を行い, その有用性と適応を制癌剤の肝動脈内 one shot 注入療法を行つた21症例と比較検討する事により明らかにした. (1) 1年生存率は34.6%であり, 動注療法の18.2%に比較し高率であつた. (2) 著者らの効果判定基準による有効率は64.0%と動注療法の38.1%に比較し高率であつた. (3) 臨床所見における重症度と有効率を比較検討すると, 塞栓療法の良い適応は腫瘍の肝占拠率60%未満, 門脈閉塞 (腫瘍塞栓) 2次分枝以内, 総Bilirubin 5.0mg/dl以下, GOT 200I.U.以下, 腹水なしの全条件を満たす場合と考えられた.
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近藤 正道
1983 年 80 巻 1 号 p.
76-84
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胆道閉塞後のグルカゴン負荷に対する血漿cAMPの動態と黄疸肝切除耐術能を Wistar 系ラットを用いて検索した.
胆道閉塞後に血漿cAMP基礎値は20ないし60%増加した. グルカゴン負荷に対する血漿cAMP10分値 (G-cAMP試験) は胆道閉塞後に経時的に低下し, 2週以後では術前の20%以下になつた. 胆道閉塞を解除すると, 直後にG-cAMP10分値は一過性に上昇するが, 以後は再び低下し, 8週後でも80%の回復に止る. 黄疸持続2週後の70%肝切除耐術能は有意差をもつて低下し, G-cAMP試験の成績はこれと平行した. これらの結果から, G-cAMP試験は肝予備能を評価する示標になると考える.
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後藤 信雄, 後藤 和夫, 野口 良樹, 尾関 規重, 白木 茂博, 岸川 基明, 伊藤 信孝, 滝本 一, 林 弘太郎, 岡田 基, 伊藤 ...
1983 年 80 巻 1 号 p.
85-90
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
排泄性胆道造影法, 内視鏡的逆行性胆道膵管造影法 (ERCP), 経皮経肝胆道造影法 (PTC) によつて胆のうが造影されなかつた54例に対し, 超音波映像下胆のう穿刺造影を施行し, 46例 (85%) に成功した. 胆のう疾患43例における胆のう穿刺造影像を6型に分類したが, 34例 (79%) では良, 悪性の鑑別が容易であり, 本法は有用な検査法であるといえる. しかし, 胆のう頚部あるいは胆のう管が辺縁平滑な閉塞像を呈した Type Dでは良, 悪性の鑑別が困難であつた. また, 胆のう穿刺時に吸引した胆汁の細胞診では良性疾患は全例陰性であり, 胆のう癌は8例中5例に陽性所見が得られた. とくに Type Dでは胆のう癌4例中3例に陽性であり, 本法施行時には併用すべき検査と考える.
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木南 義男, 高田 道明, 宮崎 逸夫
1983 年 80 巻 1 号 p.
91-97
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性膵炎後における膵線維化と膵コラゲナーゼ活性との関連を検索するために, この研究が行われた. 膵の凍結処置により, Wistar 系ラットに急性壊死性膵炎が作製され, 経時的に膵の組織学的検索, Hydroxyproline 値および中性可溶性コラーゲン基質を用いた組織培養法によるコラゲナーゼ活性の測定がなされた. 膵の線維増生と Hydroxyproline 値は処置後4週目にピークに達したが, 膵組織中コラゲナーゼ活性は5週目に最高となり7週後検出されなかつた. また, Polyacrylamide gel disc 電気泳動により, 基質の分解産物はコラゲナーゼに基づくことが示された. これらの成績より, 膵組織中コラゲナーゼ活性は増生した膠原線維の分解吸収に重要な役割を果たすことが示唆された.
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多田 秀樹, 竹田 喜信, 佐伯 正彦, 斉藤 振二, 天津 孝, 福本 健治, 築山 順一, 板橋 司, 若林 明, 大柴 三郎
1983 年 80 巻 1 号 p.
98-104
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
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フリー
新しい type の histamine H
2-receptor antagonist, ranitidine を rat に4週間経口投与し, 膵外分泌機能に与える影響を観察した. その結果, ranitidine 投与群では, 基礎分画の膵液量, 重炭酸塩排泄量, 及びPS刺激後の膵液量が control 群に比して有意に低下した. 一方, amylase 排泄量, 蛋白排泄量には両群間で有意差を認めず, ranitidine 長期投与は膵管系細胞機能にのみ影響を与えることが示唆された. しかし, ranitidine 投与群の膵組織には異常がなく, また十二指腸内塩酸負荷前後の血清 secretin 値, 空腹時血清 gastrin 値にも両群間で有意差を認めず, 膵外分泌低下をきたした原因を明らかにすることはできなかつた.
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西崎 統, 高尾 信廣, 米倉 甫明, 久保田 譲, 牧野 永城, 士井 修, 斎木 茂樹
1983 年 80 巻 1 号 p.
105-108
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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押海 秀憲, 北野 厚生, 日置 正人, 松本 誉之, 橋村 秀親, 大川 清孝, 岡 史郎, 田中 吉之助, 桑島 士郎, 小林 絢三, ...
1983 年 80 巻 1 号 p.
109-113
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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海老原 洋子, 石井 裕正, 宗像 良雄, 永田 茂之, 加藤 真三, 土屋 雅春, 高木 敏, 荒井 正夫, 重田 洋介, 奥野 府夫
1983 年 80 巻 1 号 p.
114
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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杉原 潤一, 中村 俊之, 小森 裕文, 斉藤 公志郎, 瀬古 章, 橋本 修, 冨田 栄一, 武藤 泰敏
1983 年 80 巻 1 号 p.
115
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小堀 鴎一郎, 跡見 祐, 前田 守, 清水 利夫, 古田 雄一, 昌子 正実, 渡辺 二郎, 森岡 恭彦
1983 年 80 巻 1 号 p.
116
発行日: 1983年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー