重症急性膵炎は難治性膵疾患の特定疾患(難病)に指定されている.2003年の急性膵炎年間推定受療患者総数は35,300人,重症急性膵炎患者数は5,100人で,増加してきている.致命率は急性膵炎全体では3.0%,重症急性膵炎では9.0%であった.重症II,最重症の致命率はそれぞれ25.4%,59.3%と著明に高いのに対し,重症Iの致命率は3.7%と低いことから,急性膵炎を軽症と重症のみに分類することにした.救命率をさらに改善するには,急性膵炎発症早期の十分な輸液,動注治療の早期開始,感染症阻止対策が重要と考えられた.軽症や中等症急性膵炎に対しては急性膵炎診療ガイドラインに沿った治療で対応できるが,重症急性膵炎では個別の医療で対処しなければ,急性膵炎の救命率を改善することはできない.
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