日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
113 巻, 3 号
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総説
  • 松岡 克善, 渡辺 守
    2016 年 113 巻 3 号 p. 407-412
    発行日: 2016/03/05
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の診療は,ここ10年で大きく変貌した.最も劇的な変化は,治療目標が「症状の改善」から「粘膜治癒」へと大きく引き上げられたことである.粘膜治癒により,長期的な予後を変えることができることが示されたからである.基礎研究の進歩も著しく,潰瘍性大腸炎の病態における腸内細菌叢の関与が明らかになり,多くの疾患感受性遺伝子が同定された結果,病態の理解も劇的に進歩した.さらに再生医療も潰瘍性大腸炎の治療として,現実的な段階にまで来ている.このように,潰瘍性大腸炎の診療・研究は大幅に進歩したが,既存の基本治療薬を使いこなすことが,潰瘍性大腸炎の治療において最も重要であることは全く変わっていない.
今月のテーマ:潰瘍性大腸炎-診断と治療の最前線-
  • 清原 裕貴, 水野 慎大, 長沼 誠, 金井 隆典
    2016 年 113 巻 3 号 p. 413-423
    発行日: 2016/03/05
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の内科的治療は,難治例に対する生物学的製剤などの登場にともない近年選択肢が広がっている.タクロリムスの寛解維持における有用性の検証や生物学的製剤との効果の比較,さらにはInfliximabとAdalimumabの有用性の比較などが今後の課題である.またVedolizumabやAJM300などの細胞接着分子を標的とした製剤や,TofacitinibなどのJAK阻害剤といった新薬の臨床試験が現在進行しており,新規治療として期待される.一方で潰瘍性大腸炎における腸内細菌の役割が注目され,糞便微生物移植が試みられている.有効性に関しては方法の標準化などを含め今後エビデンスの集積が必要である.
  • 池内 浩基, 内野 基
    2016 年 113 巻 3 号 p. 424-429
    発行日: 2016/03/05
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸(UC)の手術の目的は,QOLの向上と救命である.内科的治療の進歩により,手術を回避できる症例が増加している反面,second line,third lineの治療まで行ったにもかかわらず奏効しなかったために緊急手術となる症例も増加傾向である.高齢者の緊急手術症例の周術期死亡率は高率であるため,手術の見極めが重要である.手術適応としては,癌/dysplasia症例の増加が著明である.術式はすでに確立されているが,ロボット支援下手術の報告例もみられるようになっている.術後の問題点としては,回腸囊炎と上部消化管病変の増悪であるが,病態解明は今後の課題である.
  • 畑 啓介, 石原 聡一郎, 渡邉 聡明
    2016 年 113 巻 3 号 p. 430-438
    発行日: 2016/03/05
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎患者は大腸癌のハイリスクであることが知られており,長期罹患全大腸炎型および左側大腸炎型を対象に大腸内視鏡によるサーベイランスが推奨されている.従来,一定間隔で生検を行うランダム生検が行われてきたが,欧州を中心に近年では色素内視鏡を用いた狙撃生検が推奨されている.しかしながら,そのエビデンスは必ずしも高くはない.現在,厚生労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班においてランダム生検と狙撃生検を比較するランダム化比較試験が行われており,その結果が期待される.
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