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渡邊 龍之, 永田 威, 田村 美歩, 山城 研三
2007 年 104 巻 10 号 p.
1480-1485
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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症例は79歳女性で腹痛,嘔吐にて発症,イレウスにて入院となった.イレウス管を挿入したところ,空腸と回腸の2カ所に狭窄を認めた.保存的に改善しないため開腹手術を行った.S状結腸の腹膜垂の1つが長く伸び先端が後腹膜に癒着しており,それによって形成された孔に小腸が陥入していた.腹膜垂によるイレウスの報告は,本邦において自験例を含め17例であり,文献的考察を加え報告する.
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中村 一久, 佐藤 悦久, 川越 圭, 浅葉 宣之, 平田 真理, 徳永 健吾, 川村 直弘, 森 秀明, 石田 均, 高橋 信一
2007 年 104 巻 10 号 p.
1486-1491
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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症例は64歳,女性.左下腹部痛と腹水にて入院.漿膜炎,腎障害,抗ds-DNA抗体陽性,抗核抗体陽性からSLEおよびループス腹膜炎と診断した.メチルプレドニゾロン500mgのセミパルス療法を施行したが,経口維持療法にて再び増悪したため,その後パルス療法とともに免疫吸着療法を併用し軽快した.高年齢でかつ,SLE病悩期間を経ずに腹膜炎により発症しており,非常にまれな経過であった.示唆に富む症例と考え報告する.
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工藤 克昌, 舟山 裕士, 福島 浩平, 柴田 近, 高橋 賢一, 小川 仁, 上野 達也, 羽根田 祥, 渡辺 和宏, 神山 篤史, 林 ...
2007 年 104 巻 10 号 p.
1492-1497
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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症例は72歳男性.1976年にクローン病を発症し小腸切除を施行.1982年11月,大腸造影検査にて回腸直腸瘻を認めたが,症状なく経過観察となった.2003年8月発熱あり,CTにて仙骨前面膿瘍を認め,回盲部切除·小腸部分切除·S状結腸瘻造設術を施行した.2004年12月CEAの上昇,肛門より粘液の排出を認め,瘻孔開口部付近の生検で粘液腺癌の診断となり,腹会陰式直腸切断·仙骨合併切除術を施行した.瘻孔からの発癌はまれであるが,定期的な経過観察が奏効した1例と考えられ報告する.
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高井 淳, 岡部 純弘, 青木 信裕, 高田 真理子, 山本 修司, 木本 直哉, 藤田 幹夫, 岡田 明彦, 河南 智晴, 滝本 行延, ...
2007 年 104 巻 10 号 p.
1498-1503
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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症例は77歳男性.平成13年10月に膵頸部の膵管内乳頭粘液性腫瘍に対して膵分節切除術を施行されている.平成16年1月に吐下血にて当院へ搬送された.上部消化管内視鏡検査では十二指腸球部に拍動をともなう粘膜下腫瘤様の隆起性病変が認められ,CTでは膵頭部付近に径1.5cmの動脈瘤を指摘された.腹部血管造影検査により胃十二指腸仮性動脈瘤と診断し,コイル塞栓術を施行した.その後十二指腸内へコイルの逸脱を認めたが,再出血なく経過中である.
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前川 智, 鈴木 智浩, 森 健次, 市井 統, 上田 城久朗, 田井 真弓, 落合 浩暢, 江尻 豊, 若槻 尊, 高木 忠之, 大平 弘 ...
2007 年 104 巻 10 号 p.
1504-1511
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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症例は30歳,女性.肝内腫瘤性病変の精査中に先天性門脈欠損症と診断された.Three-dimensional CTと腹部血管造影の両者で上腸間膜静脈,下腸間膜静脈,脾静脈は直接下大静脈に流入しており,門脈は認められなかった.先天性門脈欠損症は小児期に発見されることが多い,極めてまれな先天異常であるが,本例は成人女性の肝腫瘤精査を契機に診断されたまれな症例であるので報告した.
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富山 恭行, 大元 謙治, 吉岡 奈穂子, 河瀬 智哉, 柴田 憲邦, 吉田 浩司, 久保木 眞, 山本 晋一郎, 伊禮 功, 浦上 淳, ...
2007 年 104 巻 10 号 p.
1512-1518
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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77歳女性.発熱と頭痛を主訴に来院し細菌性髄膜炎と診断され,血液培養から
Klebsiella pneumoniaeが検出された.肝左葉に13cm大の嚢胞性腫瘤を認め,抗生剤投与で改善したため退院したが,再膨張し胃に瘻孔形成がみられた.感染を合併した胆管嚢胞腺癌も否定できず手術を施行したが悪性所見はみられず,肝膿瘍の胃穿通と診断された.胃瘻孔を形成した肝膿瘍はまれな疾患で,文献的考察を加え報告する.
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菅原 一彦, 斎藤 貴史, 渡辺 久剛, 三沢 慶子, 石井 里佳, 鈴木 明彦, 芳賀 弘明, 三條 麻衣, 奥本 和夫, 西瀬 雄子, ...
2007 年 104 巻 10 号 p.
1519-1525
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)·リバビリン(RIB)併用療法中に,発熱と腰痛を主訴に化膿性脊椎炎を合併した2例を経験した.症例1は抗生剤の投与により改善したが,症例2は内科的治療に抵抗し手術となった.化膿性脊椎炎などの腰背部感染症は,比較的まれな感染症であるが,IFN·RIB併用療法中の重篤な副反応として留意する必要がある.
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大野 芳敬, 酒井 武則, 宮田 朋史
2007 年 104 巻 10 号 p.
1526-1532
発行日: 2007年
公開日: 2007/10/05
ジャーナル
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症例は78歳,女性.下腿,顔面浮腫を主訴に当院を受診,腹部超音波検査,腹部造影CT検査で膵腫瘍,多発肝腫瘍を認めた.入院後,急速に低カリウム血症,筋力低下,下腿浮腫は増悪し,内分泌検査にてクッシング症候群と診断した.肝腫瘍生検で,膵内分泌腫瘍と診断し,膵腫瘍,肝転移にともなう異所性ACTH産生腫瘍と考えた.クッシング症候群を呈した膵内分泌腫瘍の1例は,比較的まれと思われ,若干の文献的考察を加え報告する.
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