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竹内 利行
1999 年 96 巻 10 号 p.
1133-1142
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
ガストリンは20世紀初頭にその存在が予測された極めて歴史の古いホルモンであり,なおかつ現在でもガストリンに関するトピックが絶えない.本稿では,ガストリンの分子生物学的研究の到達点であるガストリン過剰発現マウス,ガストリンおよびガストリン受容体ノックアウトマウスから得た進歩について,更に臨床におけるトピック,Helicobacter pylori (H.pylori)と高ガストリン血症,大腸癌の増殖とガストリンの関連について概説する.
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村脇 義和, 川崎 寛中
1999 年 96 巻 10 号 p.
1143-1152
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患では肝線維化が問題となるが,この対策を確立するためにも肝線維化の病態を正確に把握する必要がある.肝での細胞外マトリックスは主として肝星細胞で産生される.肝星細胞は正常肝ではその産生能は低いが,線維肝では活性化され筋線維芽細胞となりその産生能は著明に高くなる.肝星細胞の活性化にはTGF-β1が,増殖にはPDGFの関与が明らかにされている.一方マトリックス分解にも肝星細胞が強く関与しているが,MMP酵素群の特性およびその活性を規制しているTIMPについても詳細が明らかにされて来ている.最近ではこれら病態を踏まえて各種薬物の抗線維化作用が実験的肝線維化モデルで検討されている.
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川俣 博志, 舘野 温, 金子 昌裕, 高橋 修司, 田島 廣之, 隈崎 達夫, 小嶋 隆行, 田尻 孝, 恩田 昌彦, 恩田 宗彦
1999 年 96 巻 10 号 p.
1153-1158
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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近年間質腫瘍に包括されつつある小腸平滑筋腫は,時に大量消化管出血をきたすことが知られている.出血性ショックをともなった26歳,男性の空腸平滑筋腫に対して,マイクロ・コイルとゼラチン・スポンジ細片を用いて経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を施行,合併症もなく止血に成功し,出血の制御が可能であった1例を経験したので報告する.同様の報告は過去にほとんどみられないが,TAEは本症に対する有効な治療法となり得ると考えられた.
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矢島 義昭, 宮里 真一, 宮崎 敦史, 枝 幸基, 渋谷 大助, 大平 誠一
1999 年 96 巻 10 号 p.
1159-1164
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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25歳の男性が心窩部痛を主訴として来院した.腹部CTで上腸間膜静脈血栓症が疑われたので,直ちに腹部血管造影を施行した.上腸間膜静脈から門脈にかけて造影不良で,特に門脈右枝はほとんど造影されなかった.翌日,開腹下に上腸間膜静脈にカテーテルを挿入し,ウロキナーゼの持続投与を開始した.経過中,腸管麻痺と多量の腹水貯留に難渋したが救命できた.第95病日には空腸の虚血性狭窄部の切除を施行した.入院時の血清分析よりプロテインS欠損症と診断された.発症3年後の現在,ワーファリンを服用しながら元気に外来通院中である.
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大仁田 賢, 谷岡 一, 原口 増穂, 出口 剛, 浅井 貞宏, 六倉 正英, 坂井 裕之, 岩崎 啓介, 大曲 勝久, 村瀬 邦彦, 河野 ...
1999 年 96 巻 10 号 p.
1165-1168
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は41歳,女性.腹部エコー,腹部CT上,門脈の拡張を認め,上腸間膜動脈造影にて,動脈相早期から拡張した上腸間膜静脈,門脈が描出された.上腸間膜動静脈瘻と診断し,手術予定であったが,胃静脈瘤破裂による大量吐血を来たし死亡した.剖検では上腸間膜動脈と空腸静脈との間にシャントがあるものと推測された.極めてまれな成因不明の上腸間膜動静脈瘻の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.
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中井 隆志, 木岡 清英, 追矢 秀人, 佐野 弘治, 青木 哲哉, 森吉 靖子, 倉井 修, 根引 浩子, 大川 清孝, 岡 博子, 針原 ...
1999 年 96 巻 10 号 p.
1169-1174
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は50歳,女性.急性肝障害の精査,加療にて入院となった.既知の各種肝炎ウイルスマーカーや抗核抗体は陰性であったが,抗ミトコンドリア抗体が640倍と高値を示した.肝生検組織像では小葉間胆管上皮の壊死など,原発性胆汁性肝硬変に矛盾しない所見であった.また橋本病を合併していた.肝障害は強力ミノファーゲンCの投与およびウルソデオキシコール酸の内服にて改善した.本症例は以前の健診では一度も肝障害を指摘された既往は無く,臨床経過的に原発性胆汁性肝硬変を急性発症したものと考えられた.
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田口 誠一, 泉 俊昌, 斉藤 貢, 玉木 雅人, 高見 史朗, 岩城 真, 阿部 芳道, 広瀬 和郎, 山口 明夫
1999 年 96 巻 10 号 p.
1175-1180
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は70歳女性.十二指腸乳頭部癌の術前検査にて肝S6に径3cmの門脈瘤が発見されたが,無症状のため膵頭十二指腸切除術のみ施行された.術後約4年の経過を経て手指の振戦とふらつきが出現,高アンモニア血症・門脈瘤の増大・門脈肝静脈短絡血流量の増加を認めた.経皮経肝的門脈造影下に金属コイルを用い塞栓術を施行,著明な改善を得た.
本例での門脈肝静脈短絡血流量の増加・肝性脳症の発生は肝内門脈瘤の自然経過によると考えられ,背景に慢性肝疾患を持たない肝内門脈瘤であっても定期的な経過観察が必要と考えられた.金属コイルによる経門脈的塞栓術は比較的侵襲が少なく,著明な症状の改善が得られ,門脈肝静脈短絡の有効な治療法と考えられた.パルスドプラ検査での短絡血流量の測定・門脈瘤近傍の右肝静脈波形の観察は治療効果を良く反映し,非侵襲的に繰り返し可能であり,経過観察の指標として極めて有用であった.
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田端 晃博, 畑山 充, 清水 泰夫
1999 年 96 巻 10 号 p.
1181-1185
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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肝硬変に合併した
Aeromonas hydrophila(以下
A.hydrophila)の敗血症の3例を経験した.2例は代償性肝硬変で,1例は膿胸を合併したがともに抗生剤投与で軽快した.1例は非代償性肝硬変で糖尿病合併の大酒家.抗生剤には反応せず,最終的に死亡した.
A.hydrophilaは免疫不全患者に敗血症を惹起し致死的になりやすい,肝硬変患者では肝臓でのfiltration機構が破綻し敗血症へ進展しやすく早期に治療を開始する必要がある.最近の本邦報告例の検討を含め報告する.
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今村 史人, 丸山 常彦, 設楽 佐代子, 池澤 和人, 島倉 秀也, 野末 睦
1999 年 96 巻 10 号 p.
1186-1189
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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胸腔内病変を認めず,胆道領域を中心にした腹腔内のみに病変を認めたリンパ節結核を経験した.症例は46歳の男性.主訴は右上腹部痛,発熱.結核の既往はない.腹部CTにて胆道周囲を中心とした腹腔内に,内部低濃度で造影にて辺縁が高濃度なリンパ節の腫脹を認めた.診断の確定のため,開腹リンパ節生検を施行し,リンパ節結核と診断.抗結核薬投与にてリンパ節の縮小,症状の軽快をみた.
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國田 哲子, 岡 志郎, 伊藤 博之, 木村 誠一郎, 二神 安弘, 桑井 寿雄, 山田 勝士, 大田垣 純, 高上 眞一, 嶋本 文雄
1999 年 96 巻 10 号 p.
1190-1195
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
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症例は63歳女性,主訴は腹部膨満感.腹部超音波検査,CT,MRI,超音波内視鏡検査,ERCP,腹部血管撮影にて膵頭部から腹側にかけて平滑で菲薄な壁を有する多房性嚢胞を認めた.嚢胞壁の壁内隆起,嚢胞壁の造影効果,嚢胞と膵管との交通は認めなかった.画像所見より膵あるいは膵近傍に発生したリンパ管腫を疑い,経過観察中であったが腫瘍の増大が疑われ,腫瘍切除術を行った.結果は嚢胞状膵リンパ管腫であった.
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石塚 淳, 杉山 敏郎, 大川原 辰也, 神島 雄一郎, 片桐 雅樹, 小松 嘉人, 佐藤 富士夫, 水嶋 琢二, 助川 真, 加賀谷 英俊 ...
1999 年 96 巻 10 号 p.
1196
発行日: 1999/10/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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