日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
96 巻 , 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 与芝 真
    1999 年 96 巻 7 号 p. 803-808
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    我国の劇症肝炎の診断基準(犬山シンポジウム,1981年)の問題点を述べた.劇症肝炎と病名で呼んでいるが,肝生検が不可能な状況でどのようにして肝炎と診断するのかが明確でない.更に,「肝炎のうち」といいながら急性のみか慢性を含めるかが明確にされていないため,いわゆる“acute on chronic”と内容が重複する余地があり,臨床現場が混乱している.治療上の立場からはプロトロンビン時間40%以下,脳症II度以上という診断基準は治療開始を遅らせる危険性が懸念される.更に,急性型,亜急性型の区別は原因を言い換えたものに他ならない.以上,診断基準の問題点を指摘し,改訂の必要性を主張した.
  • 国場 幸均, 大谷 剛正, 柿田 章, 山下 和也
    1999 年 96 巻 7 号 p. 809-816
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    直腸癌患者の原発巣より直腸癌細胞株RKK-YKの樹立に成功した.倍加時間は36.2時間であった.ヌードマウスへの移植能は50%で,移植腫瘍は組織学的に原発巣と同様の組織像を呈し,中分化型腺癌の像と低分化腺癌の像とが混在する二つの分化度の異なる癌細胞の樹立であった.腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,AFP)は,培養上清と担癌ヌードマウス血中で経時的上昇を認め,移植腫瘍の免疫学的検討においても,抗CEA,抗CA19-9,抗AFP抗体は共に陽性に染色された.分子生物学的解析では,K-ras(exon1,2),p53(exon5~11),MCCにおいて点突然変異や欠失は認められなかった.
  • 山崎 総一郎, 吉原 秀一, 佐々木 睦男
    1999 年 96 巻 7 号 p. 817-823
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肝内結石症肝胆汁中のムチン糖タンパク質の性状を調べるために,本症患者と対照群の肝胆汁からムチン糖タンパク質をゲルろ過,超遠心法を用い精製し,生化学的に分析し比較検討した.またムチン糖タンパク質からヒドラジン分解で糖鎖を切り出し同様に比較検討した.本症肝胆汁中のムチン糖タンパク質の濃度は,対照群に比較し約10倍であった.また分子量,アミノ酸では,有意な差異はなかったが,糖組成ではN-ガラクトサミン,硫酸が本症胆汁で有意に増加していた.ムチン糖タンパク質の構成糖鎖を検討すると,本症のムチン糖タンパク質の糖鎖は糖鎖長の短い糖鎖が主体に構成されており,対照群ムチン糖タンパク質とは異なる代謝や生理機能を有する可能性を持つことが示唆された.
  • 児玉 桂一, 小松 弘一, 佐島 敬清, 長谷川 直樹, 石井 公道
    1999 年 96 巻 7 号 p. 824-828
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Sweet病は隆起性有痛性皮疹などを特徴とする原因不明の,皮膚科領域でも比較的まれな疾患である.本症は15~20%に悪性疾患を合併するが,多くは骨髄増殖性疾患であり,充実性腫瘍の合併例の報告は少なく,その中でも泌尿生殖器系の癌が多い傾向にある.今回われわれは発熱を契機にSweet病を発症し,食道癌を合併した極めてまれな1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 阿部 恒一, 田中 彰一, 末丸 俊二, 川村 比呂志, 黒目 学, 三宅 康之, 熊木 天児, 河村 秀康, 大本 昌樹, 田丸 正明, ...
    1999 年 96 巻 7 号 p. 829-833
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    今回我々は,家族性大腸腺腫症(FAP)に腹腔内腫瘍を合併した1例を経験した.この腫瘍は典型的なデスモイド腫瘍とは異なる像を呈し,線維肉腫とも組織学的に異なるため腸間膜線維腫症と診断した.本症例は以下の点で従来のデスモイド腫瘍と異なっていた.
    まず第一に血管造影上,血管増生が豊富であった.一般的に腸間膜デスモイド腫瘍はhypovascular tumorである.第二に肉眼像で被膜を有していた.一般的にはデスモイド腫瘍は浸潤傾向が強く境界不鮮明で被膜は形成されないと言われている.第三に病理組織学的にみて従来の典型的なデスモイド腫瘍に比べて全体的に細胞密度の高い部分が多く膠原線維の量が少ない.細胞密度が高いのは線維肉腫を疑わせるが,細胞異型,核分裂像の点で明らかに線維肉腫とは異なっている.以上を総合して,本症例はデスモイド腫瘍と線維肉腫の中間的な性格を持つ腫瘍と考えられた.
  • 伊藤 博彰, 飯塚 政弘, 湯川 道弘, 堀江 泰夫, 千葉 満郎, 渡辺 純夫, 正宗 研
    1999 年 96 巻 7 号 p. 834-839
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    成分栄養(elemental diet : ED)療法施行中に便中Clostridium difficile toxin(C.D.toxin)が陽性を示した5症例(Crohn病4例,単純性腸潰瘍1例)を呈示した.5例ともCD.toxinが陽性化した時期より2カ月以内に抗生物質の投与はなく,またEDを中止した4例ではC.D.toxinはいずれも陰性化した.これらより,5症例のC.D.toxinの陽性化にEDが関与していた可能性が示唆された.
  • 星野 純一, 菅原 和彦, 石川 茂正, 速水 陽子, 桜沢 俊秋, 田中 達朗, 山本 信彦, 橋本 光代, 山本 敬, 星原 芳雄
    1999 年 96 巻 7 号 p. 840-845
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    我々は潰瘍性大腸炎(以下UC)の患者にsulfasalazine(以下SASP)を投与し,葉酸欠乏性巨赤芽球性貧血を呈した症例を経験した.この様な報告は本邦5例目である.貧血,葉酸欠乏はSASPの投与中止にて軽快し,新たに投与したmesalazineでは貧血,葉酸欠乏は認めなかった.
    またmesalazineと比較した報告は検索し得た限りでは存在しない.このため本症例は今後SASPにより同様の経過を辿る症例に対し,貴重な症例であると考えられた.
  • 山元 隆文, 松元 淳, 吉田 愛知, 北島 信一, 後藤 正道, 有馬 暉勝
    1999 年 96 巻 7 号 p. 846-850
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    患者は72歳,男性.主訴は食欲不振.胃前庭部に高~中分化型のIIa+IIc型早期胃癌と上行結腸に中~低分化型のびまん浸潤型大腸癌を認めた.またS状結腸のIsp型ポリープを切除.粘膜は中等度異型腺腫であったが,粘膜下層では中~低分化腺癌のリンパ管侵襲を認めた.剖検でもS状結腸から直腸の粘膜下層以深は同様であった.胃癌は脈管侵襲陰性の早期癌であったことより,リンパ管侵襲は上行結腸癌が原発と診断した.リンパ管侵襲の点から興味深い症例と考えられた.
  • 柳川 伸幸, 真口 宏介, 小山内 学, 高橋 邦幸, 潟沼 朗生, 伊藤 英人, 桜井 康雄, 春山 恭子, 三好 茂樹, 泉 信一, 渡 ...
    1999 年 96 巻 7 号 p. 851-855
    発行日: 1999年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.ERCP,EUSにて膵管,胆管の間から一本の膵導管が,十二指腸全周を背側から腹側へ回り込み,santorini管への流入を確認した.また,EUS,CTで十二指腸全周を取り囲む膵実質を認め,完全型輪状膵と診断した.本例は,胎生期に腹側膵原基左葉と右葉の癒合が起きずに,左葉が過剰発育し背側膵原基と癒合した可能性が考えられ,発生学的に重要な示唆を与えるまれな導管系を有した輪状膵と考えられた.
feedback
Top