日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
104 巻 , 9 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
総説
  • 鈴木 拓, 豊田 実, 篠村 恭久, 今井 浩三
    2007 年 104 巻 9 号 p. 1319-1328
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/05
    ジャーナル フリー
    DNAメチル化やヒストン修飾異常などのエピジェネティックな機構は,癌における遺伝子発現異常に重要な役割を果たしている.特に遺伝子プロモーターのCpGアイランドのメチル化によるサイレンシングは,癌抑制遺伝子の不活化機構として広く認識されるに至った.これまでの研究から,細胞周期,アポトーシス,シグナル伝達,転移·浸潤など,発癌に必要なあらゆるプロセスに関わる遺伝子にメチル化異常がおこることが明らかとなった.近年では遺伝子メチル化を腫瘍マーカーや抗癌剤感受性の指標として用いる試みもなされている.またメチル化阻害剤やヒストン脱アセチル化阻害剤による癌抑制遺伝子の発現回復が新しい癌治療戦略として注目されている.
今月のテーマ:膵嚢胞性腫瘍の新展開
  • 古川 徹
    2007 年 104 巻 9 号 p. 1329-1337
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/05
    ジャーナル フリー
    膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)と膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は浸潤性膵癌の前駆病変に相当する膵管上皮内腫瘍として対比される病変であり,PanINが顕微的で肉眼的には認識不可能な病変で,異型が弱い病変から強い病変に変化して浸潤性膵管癌に至るone pathway上の病変と考えられるのに対し,IPMNは肉眼上認識可能な病変であり,組織学的に種々のバリエーションがあって浸潤像も多様なmultiple pathwaysの病変に相当する.分子異常については少なくとも高異型度病変においてSMAD4の異常の頻度が全く異なる.関連する浸潤癌の予後も異なる.このように,両者は対照的病変であって厳に鑑別される必要がある.PanIN,IPMNの診断能の向上が浸潤性膵癌の早期発見,ひいては予後改善につながることが期待される.
  • 田中 雅夫
    2007 年 104 巻 9 号 p. 1338-1343
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/05
    ジャーナル フリー
    2004年に仙台で開催された第11回国際膵臓学会でIPMN/MCNの診断と治療に関するシンポジウムが企画され,会議後Clinical Questionに対する合意に基づく解答の形で診療ガイドラインが策定された.画像は国内の委員のものが構図も画質も優れ多く使用された.2005年3月に投稿しオンライン刊行は11月30日であった.これにより統一された定義のもとに臨床的,画像診断的,病理組織学的特徴の理解が進んで来ている.本邦の研究者は,その改訂に向けてとくにIPMNの病態解明に多くの役割を果たすことが期待されている.本稿にもIPMNについての問題点を列挙した.
原著
  • 松川 英彦, 白神 伸之, 継 敏光, 足立 美穂, 宮澤 正治, 柏崎 一男, 日比 紀文
    2007 年 104 巻 9 号 p. 1344-1351
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/05
    ジャーナル フリー
    平成16年から17年に当院で施行したガストログラフィン注腸121例を,後向きに評価した.本検査を選択した理由により5グループに分類,安全性と見落とし率を検討した.全症例で狭窄性病変,腫瘍性病変,出血性病変の有無を安全に評価することができた.58例で通常の注腸造影検査や大腸内視鏡検査との対比を行い,8例で小さいポリープや浅いびらんの見落としがあったが,見直し診断で指摘された大きな病変は1例のみであった.ガストログラフィンを用いた注腸造影検査は安全かつ有用な検査であり,狭窄性病変や出血性病変の存在が疑われる症例や高齢者においては最初に行うべき検査の選択肢の1つとなりうる.
  • 野村 幸伸, 乾 和郎, 芳野 純治, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 小林 隆, 三好 広尚, 中村 雄太
    2007 年 104 巻 9 号 p. 1352-1358
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/05
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎の回復期における栄養管理の重要性と経腸栄養剤の有用性を明らかにするために,急性胆嚢炎111症例を摂食開始時の栄養状態に分けて比較検討し,経腸栄養剤を使用した16症例の臨床経過を検討した.低栄養群の入院期間は栄養良好群と比べて長く,低栄養群では入院時のADLに回復するまでの期間が栄養良好群と比較して長期間を要した.また栄養剤使用群の入院期間は,未使用群と比べ短く,栄養剤使用群の入院前のADLに回復するまでの期間は未使用群と比べ,短期になる傾向であった.急性胆嚢炎の食事開始時期に中鎖脂肪酸トリグリセリド含有の経腸栄養剤を使用することにより,早期の栄養状態回復と入院期間短縮が期待できる.
症例報告
症例に学ぶ
feedback
Top