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松井 敏幸, 飯田 三雄, 江頭 芳樹, 渕上 忠彦, 尾前 照雄
1981 年 78 巻 9 号 p.
1707-1712
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
炎症腸疾患患者7例について,約1ヵ月間の完全静脈栄養が胃液分泌能,血中ガストリン値および胃前庭部粘膜内ガストリン値に及ぼす影響について検討した.
基礎酸分泌量は有意の上昇が認められた(p〈0.05).最大酸分泌量は変化しなかつた.空腹時ガストリン値も変化しなかつた.試験食に対するintegrated gastrin responseは低下の傾向が認められた(p〈0.1).粘膜内ガストリン値は低下したが明らかな有意差は認められなかつた.TPN施行中,びらん性胃炎が1例で悪化,1例で新生した.以上の結果から約1ヵ月程度のTPNによつては明らかな胃液分泌能の低下をきたすことはないと考えられる.
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第1編:ヒト胃粘膜内UDP-galactosyl transferaseの基礎的検討
岡本 伸
1981 年 78 巻 9 号 p.
1713-1719
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
防御因子として重要な役割を有する胃粘膜内糖蛋白質の生合成を検討するために,ヒト胃粘膜内UDP-galactosyl transferase活性の測定法を検討し,その基礎的な性質もあわせて検討した.assayは,pH 7.5下において,Mn
++,Triton X-100, asialo-agalacto-fetuinを必要とし,またendogenous acceptorのみではその活性は3.2%にすぎず,胃粘膜の-15°C下の凍結保存では,8週間は酵素活性の低下なしに保存可能であつた.
本酵素は,胃粘膜homogenateのmicrosomal fractionに最もspecific activityが高く,Sephadex G-100ゲル濾過では[
3H] galactoseはacceptor protein fractionと一致していて,その81%は2時間でβ-galactosidaseによつて遊離した.
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高崎 幸治
1981 年 78 巻 9 号 p.
1720-1730
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変症例の糖負荷時,膵原性ホルモンレベルを門脈および末梢血において測定し,正常肝例と比較検討した.肝硬変例では,相対的インスリン分泌能の低下とグルカゴンの分泌亢進が存在した.以上の観察に基き,慢性障害肝例(肝硬変,慢性活動性肝炎)に対して,経門脈的にインスリンを補充投与し,その効果を,肝機能,血糖曲線の改善,アンモニア負荷試験,血中アミノグラム,ICG Rmax,肝生検等により観察した.
その結果,慢性肝障害例に対する経門脈的インスリン療法は,肝の代謝,肝機能,肝組織燥を改善させ,肝切除のみならず,腹腔内臓器手術後の肝不全の防止,手術適応の拡大に有効であることを確認した.
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伊藤 良一
1981 年 78 巻 9 号 p.
1731-1738
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒトアルコール性肝障害に特徴的な小葉中心性肝細胞索周囲線維化像について,生検で得た肝臓を組織化学的および超微形態学的に検索した.研究対象は30症例で,これを線維化と肝細胞障害度によりおのおの三群に分類し,伊東細胞の数量および形態学的変化,基底膜との相互関係について検討した.伊東細胞は,線維化および肝細胞障害軽度群では脂肪滴に富むが,高度群では含有脂肪滴を減じ類線維芽細胞となつた.基底膜はほぼ全例にみられ,肝細胞障害高度群ではよく発達していた.以上より,伊東細胞はヒトアルコール性肝障害の線維化進展に形態学的変化を伴ない,線維化での関与を示す.基底膜は肝障害度を反映することから線維化の可逆性構成分と考えられた.
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衛藤 公治, 須田 都三男, 矢部 秀樹, 佐藤 春喜, 西野 晴夫, 宇井 忠公, 林 孝祥, 山崎 晴市, 田中 照二, 堀口 正晴
1981 年 78 巻 9 号 p.
1739-1746
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
われわれは40g galactose tolerance test (GaTT)時の血中glucoseの変動 (ΔGlucose)に着目した.インスリン分泌能が充分な症例ではGaTT時のΔGlucoseは,galactose代謝能と無関係に平坦型の変動となつた.低インスリン分泌能の症例は,慢性肝疾患では大酒家に多く,GaTT時のΔGlucoseはgalactose代謝能(肝機能)に応じた特異的な変動を示し,ΔGlucose 30分値はgalactose 120分値と負の相関を示した.このようにGaTT時のΔGlucoseの変動はインスリン分泌能と肝機能によつて決まり,GaTT時のΔGlucose 30分値とΔGlucoseの曲線を用いて慢性肝疾患に高頻度に伴う耐糖能異常と糖尿病あるいはそれらの合併例との有用かつ簡便な鑑別法を提示した.
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竹本 寛, 加治 弘, 山岡 義生, 岩崎 至利, 松永 義則, 森 昭夫, 井上 潔
1981 年 78 巻 9 号 p.
1747-1752
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
CTと同じ平面でスライスした14例の剖検肝切片の肉眼的観察結果をもとに,940例の肝門部CT像を検討し,その基本的構造を明らかにした.肝門部はCT上,fat densityの肝実質内透亮像として描出され,周囲肝実質に向つて放射状に広がる4つの裂を伴つている.このうち右背側に向う裂は胆管•門脈などの右葉枝が通過する部分であり,右葉枝裂と呼ぶことが出来る.他は何れも,肝の臓側面に形成されている葉間の裂溝によるものであり,おのおの,胆嚢裂,鎌状靱帯裂,静脈索裂と呼ぶことが出来る.肝門部門脈は左葉枝,右葉枝共にCT面に平行に横走しているが,前者は後者よりも1スライス頭側に位置している.肝門部胆管もほぼこれと同一の走行をとる.
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松村 直幸, 田上 広樹, 堀田 忠弘, 竹村 周平, 吉川 敏一, 近藤 元治
1981 年 78 巻 9 号 p.
1753-1759
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝疾患患者の血清補体価測定に際し問題になつている現象に,「補体のcold activation」があり,従来報告されている補体価のデータが再検討されねばならない状態にある.そこで,原発性肝癌(HCC)20例,肝硬変(LC)22例における血清補体価(CH50)および補体蛋白成分を比較検討した結果,(1) HCC患者にも補体のcold activationが認められ,cold activationを完全に防止した血清では,HCCのCH50は健常群に比し有意の高値を呈した.(2) HCCにおける補体蛋白成分の解析では,Clq, C5, C9, CIINHが健常群に比し有意に増加し,HCCにみられた高補体価を反映すると考えられた.(3) 一方,LCのCH50は健常群に比し有意の低値を呈したが,LCにHCCを合併するとCH50およびC4, C3, C5, CIINHの各補体蛋白成分は有意に高値を示し,両者鑑別の補助的診断に役立つと考えられた.
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I. T-cell mediated cytotoxicityの意義
野々村 昭孝, 西村 功, 原武 譲二, 車谷 宏, 大森 浩司, 加登 康洋, 小林 健一, 杉岡 五郎, 太田 五六
1981 年 78 巻 9 号 p.
1760-1771
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト培養肝細胞に精製HBs抗原をBDBで被覆し,その細胞に対する末梢血リンパ球の細胞障害性を,
3H-prolineを用いた細胞障害試験で検討した.慢性肝炎の約30%の症例にそれら細胞に対するT-cellmediated cytotoxicityが観察された.T細胞による細胞障害陽性反応は,HBs抗原に対するリンパ球芽球化陽性反応と平行し,HBs抗原に対するリンパ球芽球化陽性例のリンパ球培養上清中にはlymphotoxin活性が証明されることから,上記T細胞による細胞障害性はリンホカイン産生T細胞による反応と推定された.血中HBs抗原陽性慢性肝炎では,T細胞による細胞障害陽性例は約20%と低頻度だが,細胞障害陽性例は,陰性例に比較して,血清トランスアミナーゼが高く,T細胞による細胞障害が肝細胞崩壊に関与しているものと推定された.
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山中 桓夫, 掘口 正彦, 長沢 貞夫, 吉田 行雄, 田中 昌宏, 関 秀一, 井戸 健一, 酒井 秀朗, 木村 健, 伊藤 喜久, 高木 ...
1981 年 78 巻 9 号 p.
1772-1776
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
α
1-tnicroglobulin (α
1-m)は,新たに尿中より単離された蛋白質である.最近肝癌細胞培養株を用いた研究から,肝がその産生部位の1つであることがほぼ確実となつた.α
1-mの臨床的意義を明らかにする目的で,各種肝疾患における血清α
1-m濃度を検索した.
肝細胞癌群を除く各肝疾患群では,血清α
1-m濃度は肝障害の程度に随伴して低下し,血清アルブミン量と相関を示したことから,臨床的にもα
1-mが肝で生合成されていると考えられた.肝細胞癌群のα
1-m濃度は,肝硬変群のそれに比べむしろ上昇傾向を示したが,両群の分布範囲に重複がみられた.したがつて,現在のところ血清α
1-m測定の肝細胞癌診断に対する有用性は少ないと考えられた.
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高瀬 修二郎, 高田 昭, 中谷 泰康, 森川 俊洋, 笠島 真
1981 年 78 巻 9 号 p.
1777-1781
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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体質性ICG排泄異常症の4例を対象として,患者血漿蛋白結合ICGおよびBSPのラット肝における摂取率を検討した.摘出肝潅流では,家族集積例3例のICG摂取率は健康成人よりもやや高い値を示したが,散発例の1例のそれは明らかに低い値であつた.BSP摂取率についてもICGと同様の成績であつた.また,遊離肝細胞によるICG摂取率でも,散発例の1例のみが明らかな低値を示した.このように本症には2型の存在する可能性が示唆されたが,散発例での非リボ蛋白分画へのICG分布率は22%にすぎず,その異常のすべてを血清側の要因のみでは説明できなかつた.したがつて本症の病因の本態は肝臓側にあると考えられ,散発例では同時にアルプミンの機能異常を合併していると推定された.
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とくに細菌および寄生虫の検出について
中村 憲章, 藤岡 利生, 赤司 文広, 松永 研一, 福嶋 弘道, 樺島 淳, 本田 昇司, 早田 正典, 牧山 和也, 原田 嘉文, 原 ...
1981 年 78 巻 9 号 p.
1782-1790
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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PSテストによる十二指腸液検査が膵外分泌機能検査法としてだけでなく,胆道疾患存在の補助診断法としても有用であることを確認した.パンクレオザイミン注射後10分間の分画(P10)の黄疸指数は100以上,セクレチン注射後40分および60分の分画(S40, S60)では10以下が,臨床的な正常値の指標となつた.細菌学的検査では,胆道感染の存在を決定するためには,十二指腸液内の分離菌が105/ml以上の菌数を有する場合は,病原的意義をもつことが多いと考えられたが,α-Streptococcus, Micrococcus, Staphylococcusなどのグラム陽性球菌は病因としての役割を演じていることは少ないものと考えられた.また,PSテストで採取された十二指腸液内に,Giardia lambria, Isospora belli, Strongyloides stercoralisなどの寄生虫が,510例中の11例(2.2%)に見出された.
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井上 潔, 岩崎 至利, 松永 義則, 北中 秀法, 森 昭夫, 加治 弘, 竹本 寛, 山岡 義生
1981 年 78 巻 9 号 p.
1791-1796
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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上腹部CT画像解析の一環として,胆道系の描出率および読影能を向上させるためにHydrochol, Padrin, Conrayを併用したHydrochol-Padrin-Conray (HPC)法を考案した.
その結果胆嚢は有意に拡張し,CT画像上その存在の同定と壁の性状および内腔の状態の読影に著効を示した.
HPC法に無反応の症例がみられたが,これらのなかには多数の胆道系疾患症例が含まれていた.
胆管の描出率も15%からHPC法により64%に上昇し,胆管の走行をCT画像上に辿ることが可能であった.このことより肝内外の胆管の軽度拡張または局所拡張例の早期発見に手掛りを得た.
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的場 清和, 勝又 伴栄, 覧 正雄, 桑田 肇, 中沢 秀昭, 西元寺 克禮, 岡部 治弥, 陳 春謀, 前川 和彦, 勝岡 憲生, 大井 ...
1981 年 78 巻 9 号 p.
1797-1820
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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谷野 幹夫, 太田 五六, 米島 学
1981 年 78 巻 9 号 p.
1803-1806
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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鬼束 惇義, 林 勝知, 雑賀 俊夫, 加納 宣康, 梅本 琢也, 後藤 明彦, 森脇 久隆, 吉田 洋, 高井 哲
1981 年 78 巻 9 号 p.
1807-1811
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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小田 浩之, 難波 研一, 神坂 和明, 前沢 秀憲
1981 年 78 巻 9 号 p.
1812-1816
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
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松井 修, 鈴木 正行, 伊藤 広, 井田 正博, 角谷 真澄, 井上 一彦, 高島 力
1981 年 78 巻 9 号 p.
1817
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
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竜 崇正, 植松 貞夫, 渡辺 義二, 古川 隆男, 菊池 俊之, 尾崎 正彦, 山本 宏, 小野田 昌一, 小高 通夫, 佐藤 博
1981 年 78 巻 9 号 p.
1818
発行日: 1981/09/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー