肝疾患には血清中に抗体らしき活性を有する因子が存在しているが, これらの診断的価値については, いまだ明らかでない. 各種肝疾患117例につき, 免疫グロブリン, RA因子などを検索し, 疾患の進展および組織変化と対比し次の結論を得た.
(1) 免疫グロブリンは急性肝炎ではIgMが高値をとり, IgG, IgAは軽度上昇する. 慢性肝炎では免疫グロブリン濃度はばらつきが多いが, 特に活動型の症例では IgG, IgA, IgMともに高値をとる. 肝硬変症では免疫グロブリン濃度は高値をとるが, IgMの特に高い症例と, IgAの低い症例がある.
(2) RA因子は急性肝炎11.4%, 慢性肝炎43.1%, 肝硬変症45.1%にみとめられる. RA因子はとくに慢性肝炎の活動型の症例に高率に出現しその活性も高い. RA因子はIgMと粗ではあるが相関した.
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