内視鏡的胃炎や組織学的胃炎の程度は必ずしも上腹部症状の存在と一致はしない.また,
H. pyloriの除菌治療も上腹部症状の改善への有効性は少ない.これらの事実からは,
H. pylori感染やそれによる慢性炎症のFDへの関与は少ないかのように思える.しかし,関与する遺伝子多型からみると,
H. pylori感染下のディスペプシアと非感染下のFDは全く異なったものであるように思われる.すなわち,本来のFDは中枢への刺激伝導の系の感受性が重要であり,
H. pylori関連ディスペプシアでは末梢での炎症の激しさとそれによる侵害受容の変化が重要であると考えられる.
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