日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
111 巻 , 6 号
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総説
  • 春間 賢, 楠 裕明, 眞部 紀明
    2014 年 111 巻 6 号 p. 1049-1057
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    機能性ディスペプシア(FD)は,症状の原因となる器質的疾患がなく,胃を中心とした上部消化器症状(いわゆるディスペプシア)を慢性的に訴える疾患である.FDに当たる病名として,日本では長く慢性胃炎が実地診療では用いられてきたが,ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ)の発見,さらに新たな胃運動機能改善薬の開発により,日本でも傷病名としてのFDが実地診療に浸透しつつある.しかしながら,欧米の診断基準では症状が限られ,さらに罹病期間の設定が長く,日本の実臨床には適しているとはいえない.FDの成因としては,胃十二指腸運動機能の異常,胃酸や脂肪に対する知覚過敏,ピロリ感染など胃および十二指腸粘膜の炎症,遺伝的素因,ストレス,消化管ホルモンの関与などがこれまでの検討で明らかにされているが,単一の病因で説明することはできないことが多い.日本の診療に適した診断基準の作成,個々の患者に応じた病態の解明により,治療の新たな展開が期待される.
今月のテーマ:機能性ディスペプシア(FD)診療のこれから
  • 武田 宏司
    2014 年 111 巻 6 号 p. 1058-1070
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    機能性ディスペプシア(FD)は,慢性的に上腹部愁訴を呈するものの器質的疾患を認めない疾患群である.FDの病態として,胃排出遅延,知覚過敏,胃適応性弛緩障害などの関与が指摘されてきたが,最近では脳腸相関の関与が注目を集めている.脳機能画像を用いた研究により,FDでは脳内の侵害情報の処理機構に構造的・機能的異常が生じていることが明らかになっており,その原因として幼少時期の強いストレスの関与が示唆されている.一方,胃十二指腸領域に限定して不快な自覚症状が発生する原因として,消化管感染症を基盤とした十二指腸の慢性炎症によって脂肪や酸に対する知覚過敏が引きおこされるというプロセスが明らかになりつつある.
  • 大島 忠之, 三輪 洋人
    2014 年 111 巻 6 号 p. 1071-1078
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    機能性ディスペプシア(functional dyspepsia;FD)は,つらいと感じる食後のもたれ感,早期飽満感,心窩部痛および心窩部灼熱感といった慢性の上腹部症状があるにもかかわらず器質的疾患を認めない症候群である.その病態の1つとして消化管運動異常の関与が指摘されている.これまで消化管運動機能異常と症状発現の関係について精力的に検討がなされているが,未解決の部分が大きい.最近,消化管運動機能を改善する新たな薬剤としてコリンエステラーゼ阻害作用をもつアコチアミドがFDに対する治療薬として保険収載され,今後さらにFDの病態解明が進むとともに薬剤開発が進むことが期待される.
  • 富永 和作, 藤川 佳子, 田中 史生, 谷川 徹也, 斯波 将次, 渡辺 俊雄, 藤原 靖弘, 荒川 哲男
    2014 年 111 巻 6 号 p. 1079-1087
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    機能性ディスペプシア(FD)の認知度が高まり,2013年3月には本邦で保険病名として収載されることにもなった.しかし,FDに対する定義・診断にいたっては,2006年に出されたRome III基準に準拠している現状がある.Rome III基準が,日本人に適した基準,日本の保険制度に適した基準であるかについて疑問視される状況の中で,本邦におけるFD診療ガイドラインも2014年に提唱されている.このような現状において,日本人FDの特徴について改めて振り返り,日本の医療現場におけるRome III基準の適性について検証する時期に来ているのかもしれない.本稿ではこれらの点について概説することにする.
  • 有沢 富康
    2014 年 111 巻 6 号 p. 1088-1095
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/06/05
    ジャーナル フリー
    内視鏡的胃炎や組織学的胃炎の程度は必ずしも上腹部症状の存在と一致はしない.また,H. pyloriの除菌治療も上腹部症状の改善への有効性は少ない.これらの事実からは,H. pylori感染やそれによる慢性炎症のFDへの関与は少ないかのように思える.しかし,関与する遺伝子多型からみると,H. pylori感染下のディスペプシアと非感染下のFDは全く異なったものであるように思われる.すなわち,本来のFDは中枢への刺激伝導の系の感受性が重要であり,H. pylori関連ディスペプシアでは末梢での炎症の激しさとそれによる侵害受容の変化が重要であると考えられる.
症例報告
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