近年, 膵癌においても骨転移合併例に遭遇する機会が増加しており, その臨床的特徴について検討し, 対策について考察を加えた. 膵癌骨転移は膵体尾部癌で多く, 肝転移をともなう症例が多かった. 骨転移の型は溶骨型で, 骨代謝マーカーで溶骨を反映する血清1CTPの上昇が認められた. 骨転移成立には破骨細胞の活性化が重要な過程であるが, 膵癌骨転移症例では破骨細胞活性化作用を有するPTHrP, IL-6, VEGFの血中レベルが上昇していた. 膵癌で骨転移合併後の生存期間は長くないが, 診断および治療開始の遅れからQOL低下を招いている. 膵癌の経過観察では, 骨転移を念頭におくことと, 1CTPの定期的な測定が早期診断にとって重要と考えられる.
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