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大久保 剛, 渡部 洋三, 城所 仂, 石原 和彦, 堀田 恭子
1986 年 83 巻 6 号 p.
1111-1116
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットを用いて水浸拘束 stress 潰瘍形成過程における胃粘膜粘液糖タンパク質の変動を検討した. stress 負荷前, および負荷後2, 4, 6, 8時間目のラット胃を摘出し Ulcer Index (UI) を算定したところ, UIは stress 負荷後漸増傾向を示し, 6時間目以降は増加しなかつた. また胃体部より粘液糖タンパク質を分離定量した結果, stress 負荷前に胃乾燥重量(g)あたりのヘキソース量で5.71±0.24mgあつたものが2時間目より有意な減少を示し, 6時間目で75%, 8時間目には68%になつた. 一方 stress 負荷による粘液糖タンパク質の糖鎖部分の変化を検討したところ, 中性糖であるガラクトース, およびフコースの減少が見いだされた.
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上坂 好一
1986 年 83 巻 6 号 p.
1117-1125
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットにシステアミン (cysteamine) を皮下注射し, 経時的に, 十二指腸潰瘍の形成過程を光学及び電子顕微鏡を用いて観察した. 初期の変化は十二指腸絨毛先端の吸収上皮細胞の変性で, ついで変性細胞の villous core からの剥離, さらに絨毛の損, 潰瘍形成へと進む過程が確認された. 固有層の血管内皮細胞の変性は, 近くの吸収上皮細胞の変性よりも軽度であつた. 絨毛傷害がありながら Brunner 腺の粘液減少のないものも多かつた. 有意な胃液分泌亢進をきたさないとされるシステアミンの投与量, 投与後時間において粘膜傷害が観察されたこと, システアミンが十二指腸粘膜に高濃度に長時間集積するとの報告と考えあわせると, 少なくとも, 初期の粘膜傷害の原因として, 従来いわれている胃酸分泌亢進のほかにシステアミンの直接的細胞傷害も推定された.
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特に無菌ラットを用いた実験的研究
山口 裕通
1986 年 83 巻 6 号 p.
1126-1134
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
偽膜性大腸炎の発症にはたす Clostridium difficile 毒素の役割を追求するため, 無菌ラットに本菌強毒株を単独汚染した. その結果, 投与後数日間は激しい下痢を呈し, 死亡する例も認められた. その際, 死亡例も含め偽膜の発生は全くみられなかつたばかりか, 投与2週間後では腸管の炎症所見は回復傾向を示した. また, 本菌投与3日後に直腸を縫合閉鎖すると, 臨床例と同様の偽膜が大腸に形成された. その際の腸管内容中に非結紮群に比して多量の毒素が検出されたことより, 臨床的にみられる偽膜性大腸炎の発症には本菌の異常増殖に加えて, 腸管内容停滞による本菌毒素の増加が重要な一因子となることを証明した.
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Indomethacin による腫瘍抑制効果
小池 光正, 中澤 三郎, 小沢 高将
1986 年 83 巻 6 号 p.
1135-1142
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1,2-Dimethylhydrazine 投与ラットを indomethacin (IND) の投与の有無, 投与時間により4群に分け, ラット大腸癌と内因性 prostaglandin (PG) との関連について検討した. 前期16週間のIND投与で大腸癌の発生個数は有意な減少を認めなかつたが, 後期12週間のIND投与により癌の大きさの総和は有意に減少した. 非癌部のPGEはINDの後期投与により有意に減少し, 癌の大きさの総和で観察された結果と一致していた. 癌部のPGEはIND投与後48時間では差を認めなかつた. PGF
2αは非癌部•癌部ともIND投与後48時間では一定の傾向を認めなかつた. 以上より, ラット大腸癌において, 内因性PGEの上昇が癌の増殖に促進的に関与している可能性が示唆された.
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太田 弘昌
1986 年 83 巻 6 号 p.
1143-1152
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
モノクローナル抗体を使用した酵素抗体間接法を用いて, 潰瘍性大腸炎大腸粘膜のリンパ球 subsets について検討した. その結果, 潰瘍性大腸炎の炎症部大腸粘膜固有層で Leu 3a
+/Leu 2a
+比の増加傾向を, 上皮細胞間で Leu 3a陽性細胞の増加を認めた. HLA-DR及び Leu 10陽性細胞は, 対照, 潰瘍性大腸炎とも同様の分布を示したが, 潰瘍性大腸炎の症例の一部で炎症部大腸粘膜上皮細胞にHLA-DR抗原がみられた. また, 潰瘍性大腸炎の炎症部大腸粘膜固有層で IgG, IgM, IgE, IgD 含有細胞の増加を,また, 非炎症部でも IgE, IgD 含有細胞の増加を認めた. 以上より, 本症の病態に, T細胞系, 抗体産生亢進, 即時型アレルギーが複雑に関与していることが示唆された.
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島津 元秀, 青木 春夫, 三田 盛一, 宮北 誠
1986 年 83 巻 6 号 p.
1153-1160
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝機能障害のない胆石症15例を対象として開腹手術中に dopamine 3μg/kg/minを末梢静脈より投与し, 肝および全身の循環動態に与える影響を検索した. 局所熱希釈法により測定した門脈血流量は前値818±256ml/min (mean±SD) から後値1018±361ml/minへと dopamine 投与後, 有意に増加したが, 電磁流量計で測定した肝動脈血流量には有意の変動は見られなかつた. Swan-Ganz catheter で測定した心拍出量などの全身循環動態には有意の変動はなく, 門脈血流量は心拍出量とは無関係に特異的な増加を示した. また門脈圧には明らかな変動はなく, 門脈血管抵抗は有意に減少した. 門脈血酸素分圧は有意に上昇し, 門脈血流量の増加と相俟つて肝への酸素供給の増大が見られた.
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筒井 ひろ子, 宮島 慶治, 溝口 靖紘, 阪上 吉秀, 関 守一, 山本 祐夫, Hiroaki KINOSHITA, 森沢 成司
1986 年 83 巻 6 号 p.
1161-1167
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Propionibacterium acnes (
P. acnes) 加熱死菌をマウスに静注し, 一定期間後に少量の lipopolysaccharide (LPS) を静注すると, ほとんどのマウスは死亡し, その肝には広範な壊死巣が認められる. この
P. acnes 処理7日後のマウス肝から粘着性細胞を分離し,
in vitro でLPSを加えて培養すると, 培養上清中に著明な肝細胞障害因子活性が検出され, 本因子が肝障害を惹起するものと考えられた. この肝細胞障害因子は Sephadex G-75カラムゲル濾過による分析で, 分子量10Kから40K dalton の物質と推定され, trypsin 処理に対して不安定で, DNase, RNase あるいは neuraminidase に安定であることが判明した. また, 温度に比較的不安定で56°C30分間処理で失活した. これらの結果から, この肝細胞障害因子は蛋白性の物質であると推測された.
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特に脂質過酸化の関与について
高橋 久雄
1986 年 83 巻 6 号 p.
1168-1175
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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エタノール摂取のハロセン肝障害に与える影響を検討する目的で, 慢性エタノール投与ラットに10%および35%O
2下で1%ハロセン麻酔を行つた. その結果, 両群とも小葉中心性の肝細胞壊死, 炎症性細胞浸潤, 血清GOT, GPT活性の上昇を認め, さらに肝過酸化脂質の増加傾向, 肝グルタチナンペルオキシダーゼ活性の低下を認めた. 10%O
2下ハロセン群では還元型グルタチオンの減少, 血清遊離フッ素の増加も見られた. したがつて慢性エタノール投与に伴なう薬物代謝酵素誘導, 肝組織酸素消費の増加, 脂質過酸化に対する防御能低下などにより, ハロセンの嫌気的還元反応が亢進し脂質過酸化反応を介して肝障害を惹起する可能性が示唆された.
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松尾 尚樹, 大石 元, 仲川 房幸, 村田 敏彦, 吉岡 哲也, 葛城 正己, 大上 庄一, 細木 靖弘, 打田 日出夫, 福井 博, 辻 ...
1986 年 83 巻 6 号 p.
1176-1186
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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肝動脈塞栓術 (TAE) 施行後3年以上生存した肝細胞癌11例の腫瘍形態と主な臨床所見を予後との関連において検討した. 9例が生存中で, 最長経過例は4年4カ月である. 10例は結節型, 6例が腫瘍径5cm以下であり, 門脈閉塞は3例で, 2•3次分枝に限局していた. 1例に肺転移を, 7例に娘結節を伴つていた. 経過中2例にPTOを併用した. AFPが100ng/ml以上は7例で, 10例が Child 分類のAに属していた. 塞栓物質は, 経時的TAE時に抗癌剤混入 Lipiodol と gelatine sponge を併用した4例以外は全て gelatine sponge のみを用いた. 比較的早期にTAEを繰り返すものの予後が良好であり, 側副血行路に対しては Lipiodol を用いたTAEが有用であつた.
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成木 行彦, 西野 執, 横沢 禎二, 志村 博基, 飯田 和成, 鈴木 誠, 水落 勝明, 井上 和子, 大塚 幸雄, 野口 雅裕, 工藤 ...
1986 年 83 巻 6 号 p.
1187-1191
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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水野 雅博, 宮田 学, 荒木 厚, 浜島 博, 奥野 資夫, 関 真理, 村上 元庸, 井上 良一, 稲田 雅美, 三宅 健夫, 酒井 正 ...
1986 年 83 巻 6 号 p.
1192-1198
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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関根 毅, 須田 雍夫, 島村 香也子, 野口 行雄
1986 年 83 巻 6 号 p.
1199-1203
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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岩尾 忠, 樋野 隆文, 山下 文彦, 久永 孟, 中嶋 文行, 井手 耕一, 山下 健, 佐々木 英, 豊永 純, 谷川 久一
1986 年 83 巻 6 号 p.
1204-1208
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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吉岡 敏文, 渡辺 明治, 薄元 亮二, 塩田 哲也, 中山 美智子, 杉原 徹, 友田 純, 糸島 達也, 長島 秀夫
1986 年 83 巻 6 号 p.
1209-1213
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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東本 好文, 姫野 誠一, 黒川 正典, 篠村 恭久, 黒島 俊夫, 奥野 優, 金山 周次, 川本 博司, 辻 景俊, 樫村 雅典, 山崎 ...
1986 年 83 巻 6 号 p.
1214-1220
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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窪田 敬一, 河合 大郎, 原口 義座, 高橋 寿久, 斎藤 慶一, 若林 利重
1986 年 83 巻 6 号 p.
1221-1224
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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川井 啓市, 渡辺 能行
1986 年 83 巻 6 号 p.
1225-1227
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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本稿は第27回日本消化器病学会大会 (松山) に併催された International Symposium, Part I: New Trends in Peptic Ulcer-Its Epidemiology, Pathophysiology and Therapy における日本での記述疫学的実態の発表を機会に調査させて頂いた資料の集計報告である. すなわち, 都道府県別に公的病院を選び, 昭和59年 (1984年) の1年間に内視鏡検査によつて診断された全消化性潰瘍患者を性別, 年齢階級別, 部位別に集計したものである. 収集した全消化性潰瘍患者21, 622人を標準人口として, 地方別の胃潰瘍と十二指腸潰瘍の訂正相対頻度を計算し, 胃潰瘍/十二指腸潰瘍比を求めたところ, 各地方とも胃潰瘍が優位であつたが, 胃潰瘍の占める割合は北海道が最も高く, 九州が最も低かつた.
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一瀬 雅夫, 三木 一正, 降旗 千恵, 張 景明, 黄 士哲, 丹羽 寛文, 岡 博, 松島 泰次郎, 高橋 健次
1986 年 83 巻 6 号 p.
1228
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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特にPIVKA-IIとの関係について
藤山 重俊, 森下 愛文, 飯田 三郎, 相良 勝郎, 佐藤 辰男, 本原 邦彦, 松田 一郎, 白幡 聡
1986 年 83 巻 6 号 p.
1229
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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横井 幸男, 松崎 研一郎, 小町谷 恭平, 荻原 牧夫, 黒田 博之, 浪久 利彦
1986 年 83 巻 6 号 p.
1230
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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泉 並木, 田中 雄二郎, 服部 光治, 佐藤 千史, 蓮村 靖, 武内 重五郎
1986 年 83 巻 6 号 p.
1231
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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白井 睦訓, 西岡 幹夫
1986 年 83 巻 6 号 p.
1232
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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野尻 秀一, 高後 裕, 笹川 裕, 蟹沢 裕司, 上野 芳経, 新津 洋司郎, 漆崎 一朗
1986 年 83 巻 6 号 p.
1233
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
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