ラット22匹を用い, 穿孔性腹膜炎および腸閉塞を実験的に作製し, 膵および耳下腺の組織学的検索, アミラーゼ測定を行ない, あわせて血清アミラーゼ値を測定し, 比較検討した結果, 次の成績を得た. 1) 穿孔性腹膜炎および腸閉塞は, それ自体では耳下腺に直接的影響を及ぼさないが, 膵に異常変化を来した場合に, はじめて耳下腺にも変化を来した. 2) 耳下腺に異常変化を認めた場合には, 膵に異常変化を認めるが, 耳下腺が正常の場合でも膵に異常が認められる場合がある. 3) 血清アミラーゼ値は, 膵病変とは全く有意の関係を有しない. 以上から, 穿孔性腹膜炎, 腸閉塞の場合でも, 耳下腺の機能低下から膵病変を診断しうる可能性を主張した.
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