日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
107 巻 , 12 号
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総説
  • 松井 敏幸, 上野 文昭
    2010 年 107 巻 12 号 p. 1887-1896
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    最近出版された本邦のクローン病(CD)診療ガイドライン(GL)はevidence-based medicine(EBM)の手法に則る完全なる文書であり,多くの項目を一般医に対してわかりやすく解説している.本GLの目的は,EBMによるCD患者の一般診療の充実にある.本稿では,その作成過程を解説し,幾つかのポイントを指摘したい.問題点としては,作成過程が長いため急速に発展する最新の治療法に対処ができていない点が挙げられる.また,すべてのCD患者が有する臨床状況に対応する標準医療を確実に導くものでもない.すなわち,エビデンスとコンセンサスを統合して,全体の60~70%程度の状況に支援を与える内容となっている.また,欧米のGLも紹介して,本邦のGLとの比較により両者の相違点を明らかにしてみたい.本GLは今後短期間に改訂する必要があると同時に,GLにより一般診療が向上するか否かを評価する必要もある.
今月のテーマ:薬剤起因性腸管障害
  • 鈴木 康夫
    2010 年 107 巻 12 号 p. 1897-1904
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    抗生物質投与後に菌交代現象によって各種腸炎が引きおこされる.抗生物質起因性腸炎として,Clostridium difficile関連性腸炎,急性出血性大腸炎,そしてMRSA腸炎がある.急性出血性大腸炎は,比較的若年の女性に生じる特徴を有し,原因となる抗生物質を中止することにより比較的速やかに症状は改善し予後は良好である.偽膜性大腸炎を典型像とするClostridium difficile関連性腸炎は,抗生物質投与後の菌交代現象によって感染した毒素産生株Clostridium difficileの増殖により発症する.MRSA腸炎は抗生物質投与後の菌交代現象により既感染MRSAが増殖し,腸管感染し発症する.ともに重篤な基礎疾患を有し長期入院中の高齢者に発生しやすい特徴を有し,発症後重篤な経過を辿る恐れがあり速やかな対応が必要である.
  • 石原 誠, 大宮 直木, 後藤 秀実
    2010 年 107 巻 12 号 p. 1905-1909
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    近年,人口の高齢化にともない,関節炎などの慢性疼痛を訴える患者が増加し,そのため非ステロイド抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drug;NSAID)の長期使用が増加している.近年カプセル内視鏡やバルーン内視鏡の開発により,NSAID起因性小腸障害の臨床像が明らかにされつつあるが,その予防や治療法に関しては一定のコンセンサスが得られていない.またカプセル内視鏡により多くの小腸障害症例が発見されているが,実際に症状を有する症例は少なく,今後は障害発症のメカニズムを解析するとともに,発生リスク因子の解析や予防対策などの研究が必要になると思われる.
  • 柴田 知行, 鎌野 俊彰, 平田 一郎
    2010 年 107 巻 12 号 p. 1910-1915
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    低用量アスピリン(low-dose aspirin;LDA)の腸管に対する副作用については,これまで十分に検証されていなかった.最近,虚血性心疾患や脳血管障害の二次的発症予防目的でLDAの長期服用患者が増加していることから,LDAによる腸管傷害は増加することが予想される.LDAによる腸管傷害は小腸・大腸ともに認められ,小腸では多発潰瘍や膜様狭窄,大腸では潰瘍型と腸炎型の存在が明らかとなっている.治療として今のところPG製剤の有効性が示されているが十分なデータとはいい難い.今後のさらなる研究が期待される.
  • 松本 主之, 梅野 淳嗣, 飯田 三雄
    2010 年 107 巻 12 号 p. 1916-1926
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    collagenous colitisの臨床像と内視鏡所見の特徴,病態,および診断と治療について概説した.本症は1970年代に初めて報告され,北欧・北米で症例が蓄積された疾患である.中・高年の女性に好発する持続性の下痢が主たる臨床像であり,組織学的に大腸上皮直下の粘膜固有層に膠原線維帯(厚さ10μm以上)がみられる.大腸内視鏡所見はほぼ正常とされてきたが,本邦では血管網増生,顆粒状粘膜,易出血性,線状粘膜欠損が比較的高率に認められている.非ステロイド性消炎鎮痛に加えて,最近ではプロトンポンプ阻害薬が発症に関与する可能性が示唆されている.しかしながら,発症メカニズムに関してはいまだ不明である.
症例報告
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