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白土 雅美
1985 年 82 巻 7 号 p.
1665-1674
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
担癌生体の局所における防御機構の一端を知るために, 18例の胃癌剔出組織から癌部•周辺部•健常部別にリンパ球 (TIL) とマクロファージを分離し, そのNK (NC) 活性とADCC活性を検討した. (1) TILのNK活性は癌周辺部において他部より高値であつた. ADCC活性は部位による差を示さなかつた. (2) TILはT細胞がB細胞より優位であり, null 細胞率とTγ細胞率の高値が認められた. Tγ細胞率は, 癌周辺部で高値であつた. (3) 癌組織内マクロファージに比較的高いNC活性とADCC活性が認められた. しかし, 組織各部位間に差は認められなかつた. (4) TILのNK活性は, 予後良好群において, 予後不良群より高値であつた. マクロファージのNC活性も同様の傾向を示した.
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とくに γ-Glutamyl transpeptidase を中心として
和田 雅世
1985 年 82 巻 7 号 p.
1675-1683
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
腫瘍マーカーとして注目されているγ-Glutamyl transpeptidase (以下GGT) を胃癌, 腸上皮化生粘膜および固有胃粘膜で生化学的ならびに組織化学的に検索し, Alkaline phosphatase (以下ALP) および Carcinoembryonic antigen (CEA) の局在と比較検討した. 生化学的にGGT活性は胃癌, 化生粘膜および化生のある幽門腺粘膜で有意に高値を示した. 組織化学的にGGTの局在は化生上皮のある幽門腺および偽幽門腺にみられ, また完全型腸上皮化生腺管の全てに, 不完全型の約半数に認められ, ALPの活性局在よりも広範囲であつた. GGTは胃癌組織でも高率に出現し, CEAと同様の局在を示した. 以上のことよりGGTは胃癌とその関連病変との関係を追求する上で有用な指標酵素となることが示唆された.
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水田 和彦, 森賀 本幸, 鳴澤 博昭, 内野 治人, 青野 充
1985 年 82 巻 7 号 p.
1684-1692
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
prostaglandin E
2 (PGE
2) 誘導体, 15(R)-15 methyl PGE
と15(S)-15 methyl PGE
2の静脈内投与及び胃内投与による胃液分泌に対する作用を, Ghosh-Schild ラットを用いて検討した. 基礎及びペンタガストリン刺激胃分泌に対して, 酸分泌抑制と作用時間に用量反応性を認め, S体がR体よりも活性が強く, 両誘導体とも静脈内投与よりも胃内投与の方が有効であつた. 一方ペプシン分泌には, 用量反応性の変化は認めなかつた. 両誘導体の作用機序として, 胃内でのR体からS体への転換が推定され, それらが胃内で直接に壁細胞に作用しての酸分泌抑制が推測されるとともに, 全身性の作用も推測された.
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ハムスターにおける迷走神経の関与
吉中 正人
1985 年 82 巻 7 号 p.
1693-1702
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ハムスターに幹迷切を行い
3H-TdR ARGを用い, まず胃粘膜増殖細胞帯およびG細胞の標識率の経時的推移を検討した. 迷切直後には増殖細胞帯およびG細胞の標識率は一過性に上昇するが, 以後次第に沈静化し, 迷切後10週を経過すると, 無処置群と比べ, 幽門腺は高値で, 胃底腺は低値で安定化した. またG細胞の標識率は幽門腺の標識率と相関を示した. そこで迷切10週後のG細胞の細胞更新の過程を正常群と比較検討した. 迷切後は, 増殖細胞の世代時間が短縮し, またG細胞への分化が早まる. 更に迷切後長期を経過すると胃底腺の増殖細胞の世代時間は延長し, 細胞生産の低下が見られ, 壁細胞の細胞生産も低下することが示唆された.
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早期内視鏡検査の役割
藤田 善幸, 須川 暢一
1985 年 82 巻 7 号 p.
1703-1709
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
過去3年10カ月間に14例の腐蝕剤飲用患者に対して, 小径のパンエンドスコープを用いて, 早期内視鏡検査を施行した. 強酸を飲用した3例では, 胃に巨大潰瘍ど散在するびらんを認めた. 内1例は幽門狭窄を合併した. アルカリ液を飲用した5例では, 全例にびまん性食道炎, 内3例に胃潰瘍を認めた. 3例中2例は, 黒色潰瘍底を有し, 他1例は全層壊死を来たしていた. 洗浄剤を飲用した3例は食道にのみ傷害がみられ, アンモニア, 漂白剤を飲用した4例では, 食道, 胃, 十二指腸の広範囲に表層性変化を見たが, 潰瘍はなかつた. 治療は, 絶食, 安静, 輸液療法, 抗生剤投与を原則とし, 必要に応じてステロイド投与を行なつた. 全層壊死を来したアルカリ液飲用例及び, 幽門狭窄を来たした強酸飲用例には, 手術が行なわれた. 腐蝕剤飲用患者に対する早期内視鏡検査は, 安全に行なえ, 治療及び予後の指標に非常に有用な検査である.
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trichloroethylene 使用歴との関係について
山口 孝太郎, 白井 忠, 嶋倉 勝秀, 赤松 泰次, 仲間 秀典, 中村 喜行, 松田 至晃, 古田 精市, 倉沢 和成
1985 年 82 巻 7 号 p.
1710-1716
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大腸腸管嚢腫様気腫 (PCC) と各種の仕事環境との関係について症例対照研究を行つた. 原発性PCC13例に対し, 対照として症例に年齢, 性, 入院年を一致させた65例を入院台帳より無作為に抽出した. この結果原発性PCCと有機溶剤トリクロロエチレン (TCE) 使用歴との間に有意な関係を認めた. 症例13例のうち12例 (92.3%) にTCEの使用歴を認め, その使用歴とPCCの治癒, 再発との間に密接な関係を認めた. また2職場で職場内発生例を認めた. この結果に基づきTCE使用工場の職域集検を施行したが, PCCは発見されなかつた. 以上からPCCとTCE使用との相関関係が疑われたが, PCCの発症とTCE使用との関係についてさらに検討が必要であると思われた.
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特に各種臓器におけるウイルスDNA増殖形態について
田川 まさみ, 小俣 政男, 横須賀 収, 今関 文夫, 広田 勝太郎, 内海 勝夫, 森 順子, 伊藤 よしみ, 松山 泰久, 山中 理, ...
1985 年 82 巻 7 号 p.
1717-1723
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
孵化1日のアヒルに Duck Hepatitis B Virus (DHBV) 陽性血清10μlまたは50μlを腹腔内投与し, 実験的DHBV持続感染アヒルを作製し, 感染成立初期におけるDHBV DNAの出現及び存在様式を, 血清, 肝, 膵, 腎, 脾臓について経時的に検索した. 10μl接種群では肝内には6日目より, 血清中には10日目よりDHBV DNAが出現し, 50μl接種群では肝内には3日目, 血清中には6日目からと, より早期に認められた. 肝内増殖開始初期には中間産物である Single Stranded (SS) DNAを主とする形態がとられた. 膵, 腎, 脾いずれの臓器からも, SS DNAを含む肝内増殖 pattern に類似した autoradiography が得られ, 既に報告されている膵及び腎のみならず, 脾においてもDHBVの増殖が行なわれていることが認められた.
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島口 晴耕, 有山 襄, 須山 正文, 小川 薫, 伊藤 正樹, 猪狩 功遺, 泉 嗣彦, 白壁 彦夫
1985 年 82 巻 7 号 p.
1724-1730
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
非手術的胆道内瘻法である経皮経肝胆道エンドプロテーゼ, percutaneous transhepatic biliary endoprosthesis, PTBEを安全, かつ確実に行う手技と用具を開発し, 本法を行つて治療した閉塞性黄疸60例を対象にその成績を検討した. PTCDで治療した閉塞性黄疸214例を対照とした. PTBEはPTCDに比較して減黄効果, および全身状態の改善効果がすぐれ, ドレナージ中断頻度を低下させる. また, PTBEにより悪性閉塞性黄疸切除不能例の家庭復帰率, および累積生存率が著しく改善される. PTBEの晩期合併症ではエンドプロテーゼの内腔閉塞による黄疸再発があり, 今後解決されるべき課題である.
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多変量的解析による診断能向上の試み
川西 昌弘, 藤田 粛, 国田 哲子, 古川 善也, 山田 博康, 中村 松美, 梶山 梧朗
1985 年 82 巻 7 号 p.
1731-1741
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
腫瘍マーカーによる膵癌診断法の研究が盛んに行なわれているが, 単独のマーカーでは充分な診断能が得られない. そこで我々は同一血清で測定した13の膵癌マーカーで膵癌群と control+慢性膵炎群の判別を試みた. 膵癌診断能は, 単一マーカーではCA19-9が最も良く, 組み合わせ診断ではCA19-9, TPA, ferritin, α
1-ATの組み合わせが優れているがspecificity は低下した. そこで判別分析理論を用い, CEA, ferritin, α
1-AT, CA19-9に重みづけをし, 判別式y=-13.5+0.32ln (CEA)+0.32ln (ferritin)+1.83ln (α
1-AT)+0.20ln (CA19-9) を導き control+慢性膵炎群に対する膵癌群の判別能を正当率95%にまで向上させた. またこの式は十分な臓器特異性を有し, 乳頭部癌を除き臨床的にも有用と考えられた.
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慢性膵炎に対する膵外分泌機能検査の評価
竹田 喜信, 天津 孝, 福本 健治, 多田 秀樹, 築山 順一, 板橋 司, 黎 維明, 大浦 元孝, 藤田 亨, 馬嶋 和雄, 大柴 三 ...
1985 年 82 巻 7 号 p.
1742-1747
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Pancreozymin Secretin test (PS test) を施行した慢性膵炎20例及び健常対照群10例に対しN-benzoyl-L-tyrosyl-PABA (BT-PABA) 0.5gを経口投与し, 投与後1時間, 2時間の血清PABA濃度を測定した. 両試料のうち濃度の高い値 Maximal value of serum PABA (MS-PABA) を膵外分泌機能障害の指標とし, その臨床的評価を検討した. MS-PABAの平均値はPS test 正常群, 1因子低下群, 2~3因子低下群慢性膵炎の各群間に格差があり, 正常群に対しては1因子低下群から有意の低下をみた. MS-PABAと6時間尿中PABA排泄率 (6HU-PABA) の陽性率の比較では1因子低下群慢性膵炎では前者が3/5, 後者が3/5, 2~3因子低下群は6/7, 7/7となり, 一方PS test 正常群では各々2/8, 4/8が陽性を示した. 以上の結果よりMS-PABA test は中等度から高度の膵外分泌機能障害のある慢性膵炎の外分泌機能の判定に有効であろうと思われる.
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大柳 治正, 石田 常之, 上坂 邦夫, 山本 正博, 奥村 修一, 斉藤 洋一, 上村 八尋, 西田 正行
1985 年 82 巻 7 号 p.
1748-1755
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
新しいモノクローナル抗体KMO1-antibody, KMO2-antibody を作製した. これらを用いて, 逆受身赤血球凝集反応 (RPHA) 試薬を作製し, 基礎的, 臨床的検討を行なつた. これらの抗体は, 膵組織に対する親和性が高く, これらの抗体に対応する抗原KMO1, KMO2の抗原決定基は, 糖鎖抗原CA19-9とほぼ同じであつた. RPHA法は, 特異性, 再現性とも良好で, 臨床応用に耐えられることが明らかとなつた. 一方, 慢性膵炎19例を対照とした膵癌40例の鑑別診断能を sensitivity specificity predictive value でみると, 各々, CA19-9の82.5%, 78.9%, 90.0%に対し, KMO2は80.0%, 84.2%, 91.4%と specificity, predictive value でKMO2が勝り, 膵癌の腫瘍マーカーとして有用であつた.
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竹原 健, 小暮 道夫, 赤須 文彰, 吉永 輝夫, 湯浅 圭一朗, 大嶋 寛, 土岐 宗利, 松崎 勉, 竹沢 二郎, 長嶺 竹明, 西岡 ...
1985 年 82 巻 7 号 p.
1756-1760
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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梅北 信孝, 出月 康夫, 川崎 誠治, 三條 健昌, 別府 倫兄
1985 年 82 巻 7 号 p.
1761-1764
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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加藤 繁夫, 朝倉 均, 三浦 総一郎, 浜田 慶城, 市川 栄基, 永田 茂之, 楠原 正俊, 米井 嘉一, 吉田 武史, 小林 研介, ...
1985 年 82 巻 7 号 p.
1765-1770
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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北村 和也, 桑田 克也, 佐々木 義文, 石井 孝, 蒲池 正浩, 渡辺 信介, 小林 忠男, 高橋 俊雄
1985 年 82 巻 7 号 p.
1771-1774
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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川本 勝, 福島 恒男, 杉田 昭, 諏訪 寛, 山崎 安信, 久保 章, 山岡 博之, 古島 薫, 土屋 周二, 犬童 伸行
1985 年 82 巻 7 号 p.
1775-1779
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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竹川 節男, 萩原 魏, 石井 裕正, 浜田 慶城, 小林 研介, 宗像 良雄, 朝倉 均, 土屋 雅春
1985 年 82 巻 7 号 p.
1780-1785
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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荒井 博義, 田中 昌宏, 堀口 正彦, 木村 健, 野見山 紘子, 野見山 一生, 山口 隆子, 斎藤 建
1985 年 82 巻 7 号 p.
1786-1790
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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池田 健次, 熊田 博光, 森 隆, 村島 直哉, 吉場 朗, 海上 雅光
1985 年 82 巻 7 号 p.
1791-1794
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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相楽 衛男, 牧野 勲, 中畑 久, 武部 知夫, 鎌田 義正, 渡久地 到
1985 年 82 巻 7 号 p.
1795-1797
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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三澤 一仁, 上泉 洋, 西部 学, 齋木 功, 渡辺 修一, 佐野 秀一, 川村 明夫, 中西 昌美, 野島 孝之, 井上 和秋
1985 年 82 巻 7 号 p.
1798-1802
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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カルシウムイオンの役割
川野 淳, 佐藤 信紘, 辻 晋吾, 福田 益樹, 房本 英之, 鎌田 武信
1985 年 82 巻 7 号 p.
1803
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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芳野 裕明, 曽和 融生, 加藤 保之, 梅山 馨
1985 年 82 巻 7 号 p.
1804
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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伊東 進, 溝渕 美恵子, 岩崎 明温, 北川 直之, 辻 泰弘, 森 博愛, 松田 佳子
1985 年 82 巻 7 号 p.
1805
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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吉村 高士, 記井 英治, 田中 洋輔, 真辺 忠夫, 戸部 隆吉, 赤路 健一, 矢島 治明
1985 年 82 巻 7 号 p.
1806
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー