Wistar 系雄性ラットを用いて, PYYの胃酸分泌に対する作用を, 胃酸分泌量, 胃粘膜血流量, 摘出胃筋状片を用いた胃壁在神経叢における〔
3H〕ACh遊離量, 摘出胃血管灌流標本を用いた灌流圧を測定し検討した.
baclofen は用量依存性に胃酸分泌, 胃粘膜血流量を増加させ, この作用は atropine 前処置及び迷切群で消失することから baclofen の作用は迷走神経を介するものと考えられた.
PYYは baclofen による胃酸分泌亢進, 胃粘膜血流増加を用量依存性に抑制し, pentagastrin, histamine による胃酸分泌亢進を軽度抑制したが, bethanechol による作用は抑制しなかつた. また, PYYは胃壁在神経叢のコリン作動性神経終末からの経電気刺激によるAChの遊離を抑制した. PYYは, 基礎状態の胃血管灌流圧および基礎酸分泌にはほとんど影響を与えなかつた. 従つて, PYYは迷走神経刺激性の胃酸分泌を最も強く抑制し, 胃酸分泌抑制機序には胃壁在神経叢のコリン作動性神経終末からのACh遊離抑制作用が関与していると考えられた.
抄録全体を表示