日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
104 巻, 12 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
総説
  • 東口 高志
    2007 年 104 巻 12 号 p. 1691-1697
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    2001年,日本静脈経腸栄養学会は学会主導のもと,全科型栄養サポートチーム(nutrition support team;NST)導入の有用性を啓発し,その設立·運営を支援するNSTプロジェクトを立ち上げ,活動を開始した.その結果,2007年9月末までに把握できる範囲でもNST稼動施設はすでに1000を超えようとしている.一方,2006年4月の診療報酬改正に際して,『栄養管理実施加算』が新設され,この加算取得のためには実質的なNST活動が要求されており,さらに活動の質の保証が重視されるようになった.今後も多くの施設でNSTの稼動が開始されるものと思われるが,その質の保証や向上を念頭に置いた運営や活動が問われる時代に突入したものと考えられる.
今月のテーマ:消化器疾患の栄養療法
  • 古田 賢司, 足立 経一
    2007 年 104 巻 12 号 p. 1698-1706
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    古くは病気の治療といえば食事療法が中心であったが,近年の医療のめざましい進歩により食事(栄養)はあまり重要視されなくなっていた.しかしながら,最近,改めて疾患治療における栄養の重要性がクローズアップされ,各医療機関に栄養サポートチームが設置されるなど医療従事者の栄養に対する認識が変わりつつある.われわれの専門である消化器領域の中でも,胃食道逆流症,機能性胃腸症,Barrett食道腺癌など日本人のライフスタイルの変化,とくに食生活の変化がその発症に影響を及ぼしていると考えられる疾患が増加している.われわれ消化器医も食事(栄養)の重要性を再認識し,消化器疾患と食事(栄養)との関係をよく理解しておく必要があると考えられる.
  • 高添 正和
    2007 年 104 巻 12 号 p. 1707-1713
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    クローン病の病因が解明されて根治療法が登場することを願いつつ、多くの患者が治療を受けながらも相当な症状を抱えているのが現状である。クローン病は病因の解明いまだしとはいえ、免疫担当細胞間の情報伝達の混乱により炎症が惹起されることが明らかになり、この腸管粘膜の炎症に関連する特定の分子標的を抑制することに治療の主眼を置いた生物製剤が出現してきたが、それをもってしても病勢を制御出来ない難治例が存在している。そこで、わが国のクローン病治療指針にある栄養療法の位置付けを再検討してみた。
  • 加藤 章信, 鈴木 一幸
    2007 年 104 巻 12 号 p. 1714-1721
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    肝疾患ではさまざまな栄養代謝障害が生じ栄養学的介入が必要である.急性肝炎では,バランスのとれた食事を摂取するようにする.劇症肝炎を中心とする急性肝不全では意識障害が出現する前から食物摂取は困難あり栄養管理の基本は中心静脈栄養法となる.慢性肝炎ではバランスのとれた食事が基本であるが,ことにC型慢性肝炎では鉄制限食の併用が有用である.脂肪肝·非アルコール性脂肪肝炎(non-alcaholic steatohepatitis; NASH)ではダイエットによる急激な体重減少は避ける.肝硬変ではバランスのとれた食事とともにエネルギー代謝異常対策としての就寝前補食や,蛋白·アミノ酸代謝異常に対する経口分岐鎖アミノ酸製剤が用いられる.肝癌では過不足のない栄養療法が発癌抑制の面から重要となる.
  • 伊藤 鉄英, 安田 幹彦, 河辺 顕, 大野 隆真, 加来 豊馬, 久野 晃聖
    2007 年 104 巻 12 号 p. 1722-1727
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/05
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎においては病期にあった栄養療法が必要である.代償期では,疼痛予防,急性再燃の予防を主眼とした栄養管理が主体となり,膵への過度の刺激を避ける食事療法,特に脂肪制限が重要である.非代償期では,栄養療法に加え適切な薬物療法を行わないと消化吸収障害および膵性糖尿病が顕在化することで低栄養状態が進行する.便中への脂肪喪失を考えても一律に低脂肪食を指導すべきでなく,十分量の脂肪を摂取させ,十分量の消化酵素剤を投与すべきである.また,膵性糖尿病の治療は,消化酵素剤を投与した上でインスリン量を決定する必要がある.栄養状態を改善することが重要であり,高血糖回避のためのエネルギー制限は必要でない.
症例報告
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