日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
107 巻, 2 号
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総説
  • 長瀬 清
    2010 年 107 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    1961(昭和36)年に国民皆保険制度が確立し,わが国の医療は制度として世界に比類ないものとなった.以来,制度の整備に加え医学·医療の進歩·発展があり,小児死亡率の著明な低下と世界一の長寿国となった.わが国の疾患別受診率は消化器系疾患が多く,消化器病を専門領域とする医師,すなわち消化器病医が多く,複数科のある病院の多くは消化器科(胃腸科)を開設した.単科病院や診療所も消化器科(胃腸科)を標榜しているものが多い.これらの病院,診療所を軸として,地域医療にはたす消化器病医の役割は大きいものがある.
今月のテーマ:地域医療における消化器病診療のあり方
  • 八島 一夫, 香田 正晴, 河口 剛一郎, 原田 賢一, 武地 幹夫, 村脇 義和
    2010 年 107 巻 2 号 p. 206-213
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    わが国では高齢化社会を迎えて,アスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に起因する消化管出血および消化管癌が増加している.これら疾患は頻度が高く,病診連携が必要であり,また緊急性を要する疾患として地域医療に携わる医療関係者,行政は対応しなければならない.消化管出血では,後方医療機関への紹介も含めた迅速かつ適切な対応が必要となる.消化管癌においては「病気を治す」ことのみならず,「病気を予防する,検診などで病気を早期に発見する」こと,すなわち1次·2次予防が重要である.消化管疾患における地域医療の整備には,この分野に従事する医師のための内視鏡研修を含む教育システムの構築,消化器専門医と協力できる体制作りが望まれる.
  • 長谷部 千登美, 大竹 孝明, 高後 裕
    2010 年 107 巻 2 号 p. 214-219
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    肝疾患治療の実践において,地域での病診連携の強化と症例の拾い上げが重要な課題である.全国的には厚生労働省の計画に基づき,都道府県ごとの肝疾患診療連携拠点病院選定とそれを中心とした連携システムや相談センターの整備がすすめられている.医療費助成制度として全国的に肝炎治療特別促進事業が実現しているが,北海道では肝炎進行防止対策事業としてさらに手厚い助成が行われており,今後助成範囲の拡大が期待される.われわれは,病診連携強化のためのネットワーク構築を行い,患者への情報提供·講演会などの啓蒙活動を行っている.行政と医療者全体の綿密な連携を保ち肝炎治療を促進して肝癌撲滅の目標に近づくことが望まれる.
  • 明石 隆吉, 中原 和之, 清住 雄昭, 上田 城久朗, 田中 秀紀, 佐々木 裕
    2010 年 107 巻 2 号 p. 220-226
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    胆·膵専門医の地域医療における役割は,医療提供施設相互間の機能の分担に貢献することにある.2007年4月,厚生労働省により施行された"新しい医療計画"の規定では,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するための評価法として"地域連携パス利用率"があげられている.ところで,膵·胆嚢癌は今日においても極めて予後不良の疾患である.熊本市医師会は,尾道市医師会の"膵·胆道癌の早期発見プロジェクト"をモデルとした"地域連携パス"を活用した試みを開始した.プロジェクトの骨子は1.かかりつけ医による膵·胆道癌危険因子の拾い上げ,2.精密検査のためのEUS施行可能な専門施設への患者紹介,3.かかりつけ医,専門施設共同によるEUSを含めた定期的なフォローアップである.尾道市医師会より始まった本プロジェクトが全国に普及し,膵·胆道癌の予後改善に寄与することを期待したい.
症例報告
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