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小林 由夏, 杉谷 想一, 大関 康志, 飯利 孝雄
2011 年 108 巻 10 号 p.
1696-1704
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
フリー
症例は71歳男性.前庭部2型胃癌に対して幽門側胃切除を施行,腹膜播種陽性に対して化学療法を行っていたが,術後2年目に頭痛を主訴とする癌性髄膜炎再発をきたした.ステロイド,鎮痛剤に抵抗性であったが,MTX・Ara-Cの髄腔内投与で症状が改善し,3カ月間の在宅管理が可能であった.胃癌の生存延長とともにまれとされていた再発形式が増加しているが,治療法は定まっておらず,局所・全身化学療法を組み合わせた治療法の開発が必要である.
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平野 敦之, 土田 研司, 中村 誠, 足立 和規, 稲垣 佑祐, 山川 慶洋, 河合 宏紀, 木村 吉秀, 妹尾 恭司, 小杉 伊三夫, ...
2011 年 108 巻 10 号 p.
1705-1711
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
フリー
症例は76歳,男性.十二指腸上行部に腫瘍を認め,同部からの生検では未分化な異型細胞に混在し,核異型がない多核巨細胞を認めた.免疫組織学検討により破骨細胞型巨細胞(OGC)をともなった間葉系由来の未分化な悪性腫瘍と考えられた.OGCは種々の癌や肉腫に出現することがあるが,その頻度は非常にまれである.これまでにOGCをともなった十二指腸原発の悪性腫瘍は報告されておらず,極めて貴重な症例と思われた.
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小倉 健, 田近 正洋, 丹羽 康正, 河合 宏紀, 近藤 真也, 澤木 明, 水野 伸匡, 原 和生, 肱岡 範, 中村 正直, 樋口 和 ...
2011 年 108 巻 10 号 p.
1712-1719
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
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症例は54歳女性.再発大腸癌に対する7次治療のXELOX療法中,4コース目day 4に浮遊感,全身倦怠感が出現,血液検査でHb 4.6g/d
l,Cr 8.77mg/d
lと貧血および腎機能障害を認め緊急入院となった.直接および間接クームス試験が陽性と判明,血清ハプトグロビン<10mg/d
lより免疫性溶血性貧血と診断した.文献的な報告からoxaliplatinが免疫性溶血性貧血の原因として最も疑われた.
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中島 隆善, 塚本 忠司, 濱辺 豊, 田中 賢一, 豊川 晃弘, 津村 英隆, 向井 秀一, 橘 真由美, 寺村 一裕
2011 年 108 巻 10 号 p.
1720-1725
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
フリー
症例は50歳代,男性.下血を主訴に来院.緊急上部消化管内視鏡検査にてVater乳頭の約2cm口側に潰瘍をともなう隆起性病変を認め,同部からの出血に対し内視鏡的止血が困難なため,緊急手術として隆起性病変を含めた十二指腸部分切除術を施行した.病変は直径1.5cm大で副乳頭に一致して存在し,病理組織学的に十二指腸に潰瘍を形成した膵組織であった.十二指腸副乳頭からの潰瘍出血はまれであり,文献的考察を加え報告する.
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橋口 慶一, 山崎 和文, 市川 辰樹, 竹島 史直, 中尾 一彦
2011 年 108 巻 10 号 p.
1726-1734
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
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66歳女性.アルコール性肝硬変・肝細胞癌で通院中,肝性脳症による入退院を繰り返すようになった.薬物療法は無効で,CTにて門脈枝P7から右腎静脈へ連続する門脈大循環シャントを認めたため,B-RTOにてシャントを遮断したところ,高アンモニア血症・脳症とも著明に改善した.肝内から右腎静脈へ排出する門脈大循環シャントおよびこれに対するB-RTOの報告はこれまでなく,若干の文献的考察を加えて報告する.
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森田 剛文, 坂口 孝宣, 柴崎 泰, 大石 康介, 鈴木 淳司, 福本 和彦, 稲葉 圭介, 馬場 聡, 竹原 康雄, 鈴木 昌八, 岡井 ...
2011 年 108 巻 10 号 p.
1735-1742
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
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68歳男性,発熱・体重減少を主訴に来院.高度の炎症反応をともない,腹部CTにて液体成分と充実成分からなる腫瘤を認め,肝膿瘍を疑った.経皮的膿瘍ドレナージにて全身状態は改善したが充実成分は縮小せず,PIVKA-IIも高値であることから肝切除を施行した.病理組織診断にて肝放線菌症と診断した.原発性肝放線菌症は比較的まれな疾患であるが,肝腫瘤性疾患の鑑別診断において考慮すべき疾患の1つと考えられた.
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虻江 誠, 鈴木 雅貴, 宮崎 武文, 野村 栄樹, 内海 潔, 野口 哲也, 鈴木 眞一, 小野寺 博義, 佐藤 正幸, 伊藤 しげみ, ...
2011 年 108 巻 10 号 p.
1743-1751
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
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症例は72歳,男性.近医のUSで胆嚢壁肥厚を指摘され,経過中CA19-9上昇を認め,紹介された.CTおよび超音波内視鏡検査で胆嚢管内に腫瘤像を認め,経口胆道鏡下生検で胆管水平方向進展を示す胆嚢管癌の診断にて幽門温存膵頭十二指腸切除術を施行した.組織学的には総胆管に表層進展をともなう高分化型の早期胆嚢管癌で,胆嚢は黄色肉芽腫性胆嚢炎であった.黄色肉芽腫性胆嚢炎を合併した胆嚢管癌の報告はまれであり,報告する.
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小林 知樹, 山口 厚, 山本 宗平, 木村 治紀, 柾木 慶一, 平田 真由子, 桑井 寿雄, 河野 博孝, 高野 弘嗣, 倉岡 和矢, ...
2011 年 108 巻 10 号 p.
1752-1760
発行日: 2011年
公開日: 2011/10/05
ジャーナル
フリー
症例は64歳,男性.左腎盂腫瘤の摘出1年後にCTで膵尾部に15mm大の腫瘤性病変を認めた.限局性自己免疫性膵炎が疑われたが,EUS-FNAで異型細胞を認め,膵癌の診断で外科的切除施行.切除標本で自己免疫性膵炎と病理診断された.限局性自己免疫性膵炎は膵癌との鑑別診断が困難な例が存在し,膵外病変やステロイド反応性を含めた診断基準の必要性も示唆された.
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