消化器外科分野において,近年大きく進歩・向上した手術術式の1つに,潰瘍性大腸炎の根治性(炎症の源と発癌リスクのある大腸粘膜の完全切除)と自然肛門機能の温存(永久的回腸人工肛門の回避)とを両立させた術式が挙げられる.この術式は正確には「結腸全摘+近位側直腸切除+遠位側直腸粘膜切除+回腸嚢肛門吻合術」と表現されるべき術式である.大腸粘膜の完全切除,かつ永久的回腸人工肛門の回避ができることより,術後症例のquality of lifeが飛躍的に改善している.現在,回腸嚢の種類としてS,J,H,W,K型の5種類が報告されているが,著者らの施設では主にW型を作製しての回腸嚢肛門吻合術を行ってきたので,その術式と成績について述べてみたい.